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第1話 入学!統剣学園

十数年前。


俺は眼獣ガントに全てを奪われた。


燃え盛る街の中で、俺はただ立ち尽くしていた。


耳を塞ぎたくなるような悲鳴。


崩れ落ちる建物。


そして――血に染まった両親の姿。


「蒼志……逃げろ……!」


それが、父の最後の言葉だった。


俺は何もできなかった。


助けることも。


戦うことも。


ただ泣きながら、必死にその場から逃げた。


あまりにも、無力だった。


だから誓った。


二度とあんな悲劇を繰り返させないと。


眼獣ガントを倒せる剣士になると。


そして今日ーー。


俺は人類を守る剣士を育成する統剣学園へ入学する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おっはよー!」


朝の通学路に、聞き慣れた元気な声が響いた。


「おはよ。お前は相変わらず元気だな、花夏(かな)


「もちろん!だって今日から入学だもん。ワクワクして眠れなかったよ」


「お前は小学生か。でも、そうだな。やっとこの日が来た」


俺の隣で満面の笑みを浮かべるのは、大鳥花夏(おおとり かな)


家が近いこともあり、物心ついた頃から一緒に過ごしてきた幼馴染だ。


そして今日ーー俺たちは人類を脅かす眼獣ガントから世界を守るために作られた剣士育成学園〈統剣学園〉に入学する。


俺の名は、舞鶴(まいづる) 蒼志(そうし)


自分で言うのもなんだが、特別な才能があるわけじゃない。


飛び抜けた剣の才能もなければ、強力な封印シグルを持ってすらない。


この学園にいる生徒たちと比べれば、俺は平凡そのものだ。


――少なくとも、俺はそう思っていた。


そして俺は、統剣学園の巨大な校門をくぐる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そうちゃんと一緒のクラスになれたらいいなぁ」


「あぁ、俺もだ」


そう言って玄関に貼られているクラス名簿を見た。


「えっと、A組…、B組…、C組…、D組…あった私の名前!」


「花夏は、D組か。俺と一緒だな」


「そうちゃんも!?よかったぁ」


「君たちも、Dクラス?」


不意に後ろから声をかけられた。


振り返ると、腰まで届きそうな黒髪をなびかせている、美しい女の子が立っていた。


「あぁ、そうだ」


「私もDクラスなの。よろしくね」


「こちらこそ」


「よろしくーー!」


「ところで自己紹介がまだだったわね。私は、毛呂(もろ 夢羽(ゆめは。好きなことはーーーん〜なんだろ、寝ることかしら。あなたたちは?」


「俺は舞鶴蒼志まいづる そうし。こいつは俺の幼馴染で大鳥(おおとり 花夏(かな。特にこれといった特技はないが頑張っていくつもりだ。よろしく頼む」


「がんばっていこー!えい、えい、おー!」


「こいつはいつもこんな感じだ。いつも元気で関わっていると疲れる」


「えーー!そうちゃん私のこと雑じゃない?いつもなら一緒に乗ってくれるのに。『おーっ』て」


「よし、時間もないし教室に向かうか」


「あ、そうちゃん誤魔化した」


「ふふっ。仲良いんだね。上手くやっていけるか心配してたけど、楽しい学園生活になりそうだわ」


そうして俺たちは、D組へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

教室の扉を開けると、ほとんどの席が埋まっていた。どうやら俺たちが来るのは、遅かったらしい。

教室を見回した俺は思わず目を瞬かせた。


女子が少し多い。


クラスの半分どころか、七割近くが女子ではないだろうか。そうやって考えているとガラリとドアが開いた。


現れたのは、俺たちとそう年齢が変わらないように見える美しい女性だった。


「よーし。みんな席についたか。では入学式へと行こうか」


そうやって俺たちは式場へと向かった。


「みなさまご入学おめでとうございます」


壇上に立った女性が語りかける。


「本日、皆さんは統剣学園の生徒となりました。この学園に入学したということはーーー」


そこから、いかにも入学式らしい長い話が続く。


ふと隣を見ると、花夏はいかにも眠たそうな顔で話を聞いていた。


お前、さっきまであんなに元気だっただろ。


「――学園の規則を正しく守り、誇りある剣士として行動してもらいます」


ようやく本題に入った。


「この学園は人類を脅かす眼獣ガントに対抗する剣士を育成するために設立された教育機関です」


会場の空気が少し引き締まる。


「本学園では、生徒一人ひとりに評価ポイントが与えられます。訓練成績、模擬戦、討伐任務など、あらゆる実績が評価の対象です」


ざわり、と会場がざわついた。


「また、その評価を基に学園ランキングが作成される」


学園ランキング。


その言葉に俺も思わず背筋を伸ばした。


「ランキングは定期的に更新され、卒業後の進路や待遇に大きく影響する」


「つまり、順位が高いほど有利ってこと?」


花夏が小声で呟く。


「たぶん、そういうことだろ」


「うわぁ……プレッシャーすごそう」


「さらに、ランキング上位六名には特別な称号が与えられます」


壇上の女性の声に、会場の視線が集まる。


「その名を――《六位争冠シックスクラウン》」


会場がどよめいた。


六位争冠シックスクラウンは本学園最高の栄誉であり、将来の精鋭部隊候補として扱われます」


「へぇ……面白そうね」


夢羽が興味深そうに呟いた。


女性は続けて話す。


「それと、自分はここにいる生徒の中でも劣っていると感じている生徒もいるだろう。しかし、心配はいらない」


多数の生徒が真剣な眼差しを壇上に向ける。


封印シグルは後から覚醒する。入学時に弱かった生徒が三年後には、六位争冠シックスクラウンまで成り上がることもある。だから、大丈夫だ」


その女性の話に生徒は安堵している者もいれば、やる気に満ち溢れている者もいる。


「以上で説明は終わる」


そう言った瞬間だった。


「これより、封印シグル適性試験を行う」


会場はざわついた。


「現段階での君たちの価値をここで測らせてもらう」


やっぱりここはただの学園ではなさそうだ。


「そして俺はまだ知らない。


この適性試験が、俺の運命を大きく変えることになるなんて。


――封印シグル適性試験が始まる。

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