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第9話 悲鳴の正体①

皆さんお久しぶりです!

投稿頻度高くすると言ったのにとても久しぶりの投稿となってしまいました。申し訳ございません。読者の方にはご迷惑をおかけしました。

これからも投稿は続けてまいります。待っていただきありがとうございました。

では本編に続きます。

俺、音羽、紗雪の順に走る。先程から全力で走っているが、不思議と息苦しさはない。あのステータスにも書いてあった効果の一つだろう。

走っている最中に、木々の間から得体の知れない動物が顔を覗かせることもあった。

一瞬にして俺たちが通り過ぎてしまうため、その動物たちには、俺らの姿を確認する事はできず強い風が吹いたくらいにしか感じとられなかっただろう。

俺のすぐ後ろからは紗雪と音羽が相談している声が聞こえるのに対し、遠い前方からは人間の声、そして木々が倒れる音が聞こえた。遠くから聞こえる人間の会話の内容までは流石に聞き取れない。


(木の倒れる音が増えているじゃないか!

と言うことは…状況はより一層深刻になっていると考えられる。

こうして俺達が向かっている間にも傷ついている人が…

速く。速く。もっとだ。)


そう思うと走る足に自然と力が込められていく。これだけの距離を走っていれば体力的にスピードが落ちてきても良い頃なのだが、走るスピードは遅くなるどころか、速くなってきている。改めてここは異世界であり、自分達には特別な能力が与えられたのだと実感する。

さらに、走る中俺は分かったことがあった。


体力や筋力だけでなく聴力と視力も良くなっている、ということだ。


近くにいる紗雪、音羽の声が聞こえてくるのは何もおかしくない。だが、遥か先の物音が聞こえるのは人事を超えている。それは視力も同様だ。千里眼という千里を見通すことのできる目の伝説を知っているが、今の視力は千里とはいかないが遠くまでくっきりと確認することができる。

その明らかに進化している目が、森の少し開けた場所に何か大きい生き物がいるのを捉えた。何かの生き物の周りには、ゴマ粒ほどの大きさで人間が数人見える。その人間達は何かの生き物を囲うようにして立っているようだ。そしていくつかキラリと光るものが見える。尖っているようなので剣だろうか?

だが、実際に行ってみて、現場の状況を近くで見て判断しなくてはならない。面倒事にはなるべく関わりたくないものの、困っている人は助けたい。大きく矛盾を引き起こしており、一種のエゴだとも言えるだろう。少なくとも今回の場合は、異世界に来て何も分かっていない状態なのに危なそうなことに首を突っ込んでしまっている。絶対に紗雪と音羽に迷惑や危害を与えられるわけにはいかない。なので俺は紗雪と音羽だけでも怪我をしないように、逃げられる準備を常にしておくように伝えた。


『音羽!紗雪!一応俺の後ろにいてくれ!危ないと思ったら俺のことは気にせずに逃げろ!もし何かあってはぐれたら、俺達が異世界から最初に転送されてきた場所に集合だ!』


と、俺は斜め後ろを左右に振り返りながら2人にそう言った。


『どうせ止めても言うこと聞かないんでしょ?

妹を守りながらも、目の前に困っている人がいたら、自分が助けられる範囲で助ける。

そんな馬鹿で真っ直ぐな性格なのがゆづ兄だからね…


はぁ……


まだ私達こっち来たばかりなんだから、何も分かってないし、危ないって思ったらゆづ兄もすぐ逃げてよ?』


紗雪が心配そうにこちらを見ている。瞳を見ると「ゆづ兄の強さを信頼しているから任せるんだからね?」という紗雪の意思が伝わってくる。


それは音羽も一緒だった。


『私達もすぐ後ろで待機してるから!いくらでも頼って!』


音羽が元気よくではあるが、心配そうにして言ってくれた。


2人共、昔はただ俺の後ろをちょこちょこついて来るだけだったのに、いつの間にやら、精神面で自分は追い抜かれてしまっていたのだと感じる。

何故か胸が「ギュッ」と締め付けられたように痛んだ。妹達が俺の支えがなくても良いぐらい成長して欲しいという願いは自分の一番の願いだったはずだ。それなのに感じてしまうこの胸の強い痛み。この痛みと似たものを俺は何度か経験したことがある。


2人の妹達が俺の元から離れ、自立するんだと感じた瞬間。そう言う時は毎回胸が痛くなる。


この胸の痛みは………きっと…………



自分なりに答えを考えてみた。この胸を締め付けるような痛みは父親が感じる胸の痛みに似ているに違いない。

娘が親離れをする瞬間の父親の心境に近いのだと思う。

実際俺も、紗雪や音羽が誰かと結婚して俺の元から離れていく、という夢を見てしまった時には涙を流していた。

それには妹が結婚したことへの嬉しさや結婚相手への嫉妬心など色んな感情が混ざっている気がしたが、涙を流した1番の理由は寂しさからだろう。


(紗雪、音羽を守る,守るって言いながら、俺が2人から離れたくて束縛してしまっているだけなのかもな…近い将来に妹離れしないといけないんだろうな…)


これは今考えることではないので一旦忘れて気持ちを切り替えるために、ニコッと引きつるように無理矢理笑顔を作った。

それでは足りず、前後に振っていた手を自分の顔に寄せて、両側から自分の顔を「パチンッ」と大きな音を鳴らしながら挟み、ビンタした。


(今は目の前のことだけに集中しなければいけない。)

心の中で思ったこの言葉は決して口に出しては言わなかった。


もうすぐすれば森の中の少し開けた場所に出る。悲鳴の主がいるであろう場所だ。


『2人共出るぞ!!』


『『うん!!』』


「ガサァッ」


草と木々の間を抜け、俺達は一斉に飛び出した。


飛び出した瞬間、俺は一気に周りを見渡し状況を把握、判断した。


そこには、長い木で出来た杖の様なものを持つ人が3人、中世に出て来る様なロングソードを持つ人が2人ほどいる。よくあるゲームのキャラ達の装備に似ている気がする。

俺のすぐ前には体を小さく丸めている紅色のドラゴンがいる。

彼らは全員フードを被っていて顔が確認できない。みた感じだと怪我をしていない。というより全員服に一切傷がついていない。

それに対しドラゴンは体のあらゆる箇所から血が噴き出ている。勢いはまだ弱いが、どうにか首の皮一枚で耐えている様な状態だ。


(どう言うことだ?ドラゴンを彼らが退治しているのは分かる…だが、誰の体も傷ついていない。不自然なほど順調そうに討伐は進んでいる。この大きさのドラゴンが尻尾や手を振れば、それを回避すれば土くらいつくはず…


なら、あの悲鳴は何だったんだ?

ドラゴンの攻撃が誰かに当たりかけたってことか?

それで反射的に悲鳴が出たとか…)


そんなことを考えていると、俺達が草木から飛び出た際の音に反応したのか、ドラゴンに対峙している彼らの内の1人が、


『何者だ?!』


と、フードを下げ、睨みつけながら叫んできた。剣の先をこちらに向けている。俺らに敵意はないが、彼らはどうやら違うらしい。助けに来たつもりなのだが相手には伝わらないのだろう。

その叫んできた人物は黒い髭を生やした男で、額には花のタトゥーが彫られている。とりあえず彼の質問に答えなければならない。相手の顔をジロジロ見ただけで、質問に答えないとなると、とても失礼だ。


『私達は悲鳴を聞きつけやって来ました。ピンチならお助けしようと思ったのですが…

このようにドラゴンを目の前にしていても話が出来るほど余裕があるのなら大丈夫そうですかね?』


男はフッと悪そうに笑うと、


『ああ。心配ご無用だ。アンタらが聞いた悲鳴は俺の部下のものだろう。

このクソドラゴンが、魔法をぶつけた時にに尻尾で反撃してきやがってな。

それに驚いた俺の若い女の部下が叫んでしまったんだよ。

わざわざ駆けつけてくれてありがとなぁ。』


何故か嫌味の様に言ってくる。正直言って嫌いなタイプの人間だ。まさか異世界に来て最初に会う人間がこんな奴だとは…俺もついていない。


『なるほど。なら大丈夫ですね。お邪魔なようなので私達は退散しますね。』


そう俺が言っている時だった。

紅色のドラゴンの方から、弱々しいとても小さな声が聞こえた。


『たすけて………』


と………


俺はその瞬間全ての違和感の意味に気付いた。


まさか………!!

今回も読んでいただきありがとうございました!

このお話もまだまだ続きますので根気強く付き合っていただきたいです。投稿頻度はまちまちですが、必ず投稿を行います。主人公の性格上少し長めの考察シーンや、謎の回想入りがちですが伏線なので回収されるのを楽しみにしておいてください笑


ではまた次話でお会いしましょう!


もう一度、この度はお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。

これからもよろしくお願いします!

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