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私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~  作者: ビオラン
対乙女ゲーム令嬢 案件

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令嬢第四事例 報告7(リンデンの証言と照合)

 程なくしてエドウィンとリゼットがやってきた。なんとか2人の登場には間に合ったらしい。

 胸を撫で下ろした私達。


 すると、エドウィンが設置してある銃を手にした。


「ほう、これがリゼット嬢の担当する射的か。見事な設営だ。どれ私もやってみよう」

 どうやらエドウィン自ら射的ゲームの試し撃ちをするらしい。


 ーーここで皆様お気づきだろうか? エドウィンは射的の腕が良いことを。


 エドウィンは銃を構えると、左のぬいぐるみから狙いを定め……順番に命中させていった。他の人と違い訓練されているためか、正確に的に当たる当たる。


 ーーここでビビるは、リンデンである。


 ただのぬいぐるみに扮している中、横でスナイパーばりにスパンスパンと順番にぬいぐるみが射抜かれているのだ。

 私からオッケーの合図も無く、逃げることもできないリンデンは左から順番に自分の番が迫ってくるのを耐えるしかない状況に陥った。


 一つ一つ正確にぬいぐるみが撃ち抜かれ、ジリジリと自分の番に近づくのを察したリンデン。


 リンデンは「べ、別に怖くなかろう」と言った表情をしているつもりらしいが、目が明らかに動揺を隠せていない。


 ーー半分くらい撃ち込まれた頃だろうか。


 また一つ正確にぬいぐるみが撃ち抜かれる。


 すると、こちらから見ても分かるくらい、リンデンはガタガタと震え出した。先がスポンジである玩具の銃とはいえ、銃口を向けられると思うと怖くなってきたらしい。


 震え方はもはやマナーモードだ。小刻みに上下に振動し、冷や汗もダラダラとかいている。動くぬいぐるみと思われて誰も気づかないのが幸いである。



 徐々に迫りくる自分の番。


 そしてまた一つ命中し、ぬいぐるみが壁に叩きつけられる。

 可愛い顔が変形しながら壁に叩きつけられる光景を見てしまったらしい。


 リンデンの悲鳴のような声が振動で地鳴りのように聞こえ始めた。


「ブブブ……ババブブブベベバ……」


 もはや恐怖で言葉を話していない。

 ついに強がりは出来なくなったらしく、私達の方に助けを求める目をして見だした。


 クワッと目が開き、震えながらなにかパクパクと口を動かして私に伝えようとしている。ついに言語能力をも失ったようだ。


 可哀想だと思うが、妖精リンデンは丈夫なのを知っている。あれくらいでは別に怪我もしない。

 それを知る私は残念そうに首を横に振った。


 リンデンは絶望感溢れる顔でこちらの様子を見つめたが、私は気にせず頑張ってとエールを送った。


 この私の様子にカチンときたらしく、ガンを飛ばすような目つきに変わる。止まらぬ振動と睨むような目つきで、ある意味怖い感じになっている。うわぁほんとにごめん、リンちゃん……


 そして、ついにリンデンの横のぬいぐるみが撃ち抜かれた。


 リンデンの振動がとまった。何かを悟ったのだろう。


 リンデンは腕を広げ、「さぁ来い」と言わんばかりの寛大な気持ちで迎え入れるポーズをした。目は完全に据わっている。何かの境地に至ったような、そんな顔だ。……あれは、諦めたな。


 リンデン、君の勇姿は私が見届ける……!


 その時だった。

「と、言う訳さ。狩で鍛えた銃の腕を見てくれたかい?」

「はい、とても素晴らしかったですわ!」


 そう言うとリンデンに向かいそうだった銃口が降ろされる。


 リンデンは目が点になり動かなくなった。ついに本物のぬいぐるみになったのだろうか。……後で迎えに行こう。


 そんなリンデンの恐怖も知らず、エドウィンとリゼットは会話を続ける。

「エドウィン様、さすがでございます!」

「君に私の勇姿を見せることができて私も満足だよ」

「素晴らしゅうございました!」


「設営も問題なさそうで安心したよ。そうだ、私の担当するところも一応完成したんだ。見ていくかい?」

「はい、参考にさせてください」

 そう言うと、2人はその場を後にした。


 その場に残されたリンデン。

 私が迎えに行こうとすると……ガッツリ私を睨んでいた。


「おのれ、エミリーよ……我をあんな目に合わせてただですむと思っておるのか」


 あ、めっちゃ怒ってる。


 リンデンは物凄いスピードでこちらに突進して来た。


「リンちゃん!まって、誤解だよこんな流れになるとは思わなくっ……」

「じゃかましい!」

「どふっ」


 リンデンの渾身の一撃を顔面に喰らう私。痛い。いやモフモフだから痛くないか。どっちだろ。


「我をぬいぐるみ扱いする上に的にするとは! 留まるだけときいたから寛大な気持ちで座っておったが、狙われるとは聞いておらん!」

「だって、的になるって言ったら絶対座ってくれなかったでしょ?!」

「当たり前だ!」


 なんやかんや逃げ出さず座っていてくれたリンデン。健気であるが、申し訳ないことをした。

 ポフポフと体当たりを繰り返してくるリンデンに平謝りする。


「ごめん、めちゃくちゃ困ってたから、リンちゃんがいてくれて本当に助かったよ! ありがとう」

 多分80度くらいお辞儀をしただろう、最大級のお礼の気持ちを込めて言った。


 しばらく黙ったリンデン。体当たりが止まった。


「ま、まあ、あのようなことで我はやられるくらい柔ではないからな。今回は許してやろう」


 許してくれるそうだ。なんだかんだ心が広くて尊敬する。


「ありがとう!!」

 思わず抱きしめた。


 思いっきり抱きしめたせいか「つっ、潰れる……!」と悲鳴を上げるリンデンだった。


ここのリンちゃんが好きなんです

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