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決着


朱音(あかね)が手渡した首飾りのお(かげ)で、九死に一生を得た衛実(もりざね)。だからと言って安心出来るわけでもなく、むしろ次はない、という圧力が重くのしかかってくる。


だが、衛実の顔に焦りの表情は浮かんでいなかった。ただ、ひたと鬼を見据(みす)え、獲物を狙う狩人(かりゅうど)(ごと)く、鬼を討ち取る機会をうかがっている。


「朱音、動けるか? 技は使えそうか?」


「大丈夫じゃ。脚の怪我も深くはない。これならば、じきに止まるであろう。」


衛実がちらと朱音に視線を向けると、朱音は膝の上あたりから血を流している。


「止血しておけ。それぐらいの時間は稼ぐ。それとも自分じゃ出来ないか?」


「出来るに決まっておる。じゃが、この痛みはわらわを守る為に命を散らした者よりも遥かに軽い。」


朱音は鬼の向こうで(たお)れている者たちに視線を向けながら、自分の拳を握りしめる。


「これはわらわのけじめじゃ。己の(あさ)はかさのな。」


朱音のどことなく悲壮感(ひそうかん)(ただよ)う目を視界の端に()めておきながら、衛実は 1つ嘆息(たんそく)し、


「本当に、どこまで生真面目(きまじめ)なんだ、お前は。」


朱音には聞こえない程の大きさの声で(つぶや)き、そのまま鬼を見据え続け、間合いを(はか)っていた。


鬼もまた、先の攻撃で、衛実が命を落とさなかった事で迂闊(うかつ)に攻め込もうとしない。考えなしに飛び込めば、今度はどんな仕掛けが鬼自身を襲うのか分からない以上、衛実達の出方を(うかが)うことにしていた。




そのまま両者が(にら)み合いを続けて数分、先に動いたのは、衛実だった。


「ハッ!」


鋭い踏み込みと共に繰り出される横薙(よこな)ぎの一閃(いっせん)が、鬼を襲う。


鬼はそれを左の腕で受け止め、残った方の右手を上から降り下ろして衛実の薙刀(なぎなた)を叩き折ろうとする。


鬼の反撃に気づいた衛実は、身体の向きを入れ替える事で鬼の右手を(かわ)し、その勢いを使って薙刀のもう一方の刃で鬼の首筋を狙いに行く。


鬼は身体を(ひね)って()けようとするが、躱しきれず、右の肩甲骨(けんこうこつ)辺りにかすり傷を()った。

だが、それで()られる鬼ではない。捻った勢いを使って衛実に回し蹴りを()らわせる。


衛実はそれを薙刀の()で受け止めるが、鬼の蹴りの威力は凄まじく、10mほど後ろに飛ばされてしまった。


「くっ…!」


咄嗟(とっさ)受身(うけみ)をとって、体勢を立て直しかけた所に、鬼からの石や枝などの投擲(とうてき)が衛実を襲う。(はじ)こうとするが、全てを弾きあげることが出来ず、投擲物のいくつかが衛実に命中する。


「チィっ!」


石や枝の鋭い部分が、衛実の鉄板が付いていない布地を切り破り、肌を浅く切り裂いていく。


立ち上がり、鬼へと再び襲いかかりに行く衛実の全身は先の一騎打ちもあって、既にボロボロだった。



衛実の突撃に意識を向けていた鬼に突然、()()が襲いかかる。


「グウッ!?」


(きょ)をつかれた鬼は動揺(どうよう)し、全身に軽い火傷(やけど)を負う。何事かと、火の粉の飛んできた方向に目を向けた先に、手をかざしながらこちらに向けて第2撃を放とうとしている鬼の少女がいた。


「グウォォォォォッ!」


激高(げきこう)した鬼は怒りに身を任せ、朱音に向けて真正面から猛然と襲いかかる。


「わらわを見くびるな、たわけ!」


一喝(いっかつ)と共に爆炎を放つ朱音。その威力に身の危険を感じた鬼は咄嗟に跳躍(ちょうやく)することで躱す。

地面に着地し、再度、朱音に襲いかかろうとする鬼の背後に何者かの強烈な殺気(さっき)が浮かび上がる。

すんでのところでそれに気づいた鬼だが、今度は躱す動作を取ることさえ叶わなかった。


「ハアッ!」


衛実の薙刀が鬼の背を完璧に捉える。刃は鬼の背中を深々と斬り裂いていった。


「グガァァァァァッ!」


あまりの痛みに鬼の口から苦悶の叫びが(あふ)れ出る。


「タアッ!」


衛実が返す一閃で追撃をかけるが、鬼は有り得ない程の跳躍を見せて衛実達から距離を取る。


15m程の間合いを取って、両者はまた睨み合っていた。ただ、先の睨み合いと違うのは、鬼が肩で息をしており、その表情に焦りの感情が浮かんでいた事である。

衛実達は確実に鬼を追い詰めていた。



だが、衛実達も万全の状態ではない。

衛実は身体の至る所にかすり傷を負い、満身創痍(まんしんそうい)である。

また、朱音も鬼に付けられた脚の傷が完全に治りきっておらず、自分の能力を使い続けた疲労が蓄積(ちくせき)されていた。


衛実が若干(じゃっかん)前に出るような形で、2人は横に並んだ状態のまま、鬼と向かい合う。


そんな中、衛実が朱音に問い掛けた。


「朱音、さっきの爆炎はあと何発撃てる?」


鬼から目を離さないまま、朱音は衛実の問いに答える。


「体力の限界が近い。撃ててあと 1発じゃな。」


「分かった。それなら俺が出て、あいつに(すき)を作る。お前はそれに渾身(こんしん)の爆炎をたたき込んでくれ。」


「出来るのか?」


「出来るんじゃない、やってやるんだ。行くぞ。」


その言葉を合図に衛実が鬼へと突進していく。それを見た鬼も迎え撃つ体勢を取る。


衛実の刃と鬼の両腕が交差し、火花を散らす。



「(確かに、俺は今まで失敗ばかりしていた。)」



互いに一度距離を取り、今度は鬼が衛実に突撃する。


衛実は(かたわ)らに落ちていた刀を足で拾い上げ、薙刀を持っていない方の手で(つか)み取ると、それを思いっきり鬼の(ひたい)めがけて投げつけた。


鬼はそれを左腕で(かば)いながら、右腕で払いのける。この(かん)に生じた死角が、衛実の動きを鬼に悟られないようにしていた。


鬼の視界が開けると、先程までその場所にいた衛実の姿が見当たらない。ふと、鬼が下の方に何か違和感を感じて見下ろすと、低い姿勢から袈裟(けさ)()りの(かま)えの衛実が、すぐそばまで肉薄(にくはく)していた。



「だからと言って、生きることを諦める訳には、いかねえんだ!」



衛実の薙刀が鬼の右足を斬り飛ばす。バランスを崩した鬼は動きが一瞬とまる。


「朱音!行けるか!?」


「任せよ!」


朱音の繰り出す爆炎が鬼を襲う。鬼はそれを躱すこともなく、真正面から受けた。


「ガアアアアア!?」


炎に焼かれ、鬼は完全に動きを止め、悶える。


朱音の大技でできた隙を見逃さず、衛実が追い討ちをかける。その刃はしっかりと鬼の首を捉え、決定的な勝利を衛実達にもたらしたのだった。


こんばんは。また日が空きましたね。すみません!

さて、この物語も、もうすぐ第1部が終わろうとしています。もちろん、まだ物語は続きますが、第2部を投稿していくのに、また時間が空いてしまうと思われますので、読者の皆様、ご理解の程よろしくお願い致します。


今回の話、衛実&朱音 vs 鬼という内容でしたが、少し分かりにくい所があったかも知れません(特に衛実の武器が)。

これが物語の理解に繋がる補助になれるかどうかは分かりかねますが、一応、衛実の武器のイラストを12話目で載せておこうと思います。(もし上手く見れない場合はTwitterにて画像を投稿するので、そちらをご覧下さい。Twitterアカウント名:「mOKoeNa」@mOKoeNa22750108 ※上手く検索に出てこなかった場合はごめんなさい!)

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