第8話
魔王との戦いを終えて、三年近くほど経った。俺は未開の地とも言える山中に居を構えて、己が持っている刀を振るい、銃の改良に精を出しながら、様々な発明を行った。
馬車がメインである世界を想像し、馬を必要としない車。魔導エネルギー機関を用いた車を開発した。山中に道を作り、走ったはいいが、自身の魔導エネルギーを吸収する欠陥品が完成。残念ながら、人の生命エネルギーを使って運転なぞしたくはないはずだ。少なくとも俺はごめんだ。
改良を重ねた現在、魔導クリスタルと呼ばれる魔導エネルギーを生成する石が必要となった。お陰様で俺の居の近くの洞窟に魔導クリスタルが存在していた。俺が見上げるほどの大きさのクリスタルであり、大きなエネルギーを感じた。
「賢人の結晶 クリスタルねぇ……こんな山中で見つけられるとは思わなんだ」
クリスタルは別名「賢人の結晶」と呼ばれている。ときには賢人の魔獣というクリスタルを守護する魔獣が存在している。むしろ今までの魔獣はクリスタルから遠ざけるための魔獣なのでは? と仮説を立てるが、単純な問題ではないと断じる。
そもそも魔獣は魔王の魔力カウンターとしてその土地の獣が変化し異形の姿を見て、魔獣と呼び始めたのが始まりだ。クリスタリスについてもクリスタルの魔力カウンターとして土地の獣が変化しているとのことから、同様とみなして魔獣と呼んでいるのだ。
俺たち人間もなかなか業の深い存在である。
ーーヒトですか?
声が聞こえた瞬間に銃を構えて後ろを向く。まさか魔獣を見逃していた? それともここに住んでいる奴がいるのか……警戒しているとまた声を聞いた。
ーーあなたの後ろです。ここにはあなたとクリスタルだけですよ?
恐る恐る後ろを向いたとき、クリスタルには確かに人が映り込んでいた。全裸で。
流石に俺は直視できないため、目を伏せて声をかけた。
「クリスタルに人が閉じ込められていたのか、なかなかエグいな」
ーーヒトと話す時は目を見ましょうね? 私はそう教わりましたよ?
「常識は教わってないの?」
ヒトと話す常識はあるのに、服装に関する常識は備わってないクリスタルでびっくりした。頼むから、目に毒だから魔導エネルギー使って服を生成してくれ。
「まあ、とにかくクリスタルから開放してやるよ。砕くと人格崩壊を起こしかねない」
ーーいえ、私はこのクリスタルが出来てから2億年ほど経って構成された人格です。人工クリスタルで無理やり人を閉じ込めて作った魔導礼装ではないですよ。
驚いた。クリスタルが世界の始まりという学説があるのだが、証明できる素材がここにあるとは思わなんだ。しかしだ。ここのことを言えば、このクリスタルが大変なことになる。




