第十三回 驃騎北征馳草原 三族一致戦漢朝 五段
広陽郡薊県。高順がその地を新たな本拠と定めてから、すでに幾年かが過ぎていた。かつて彼が并州で培い、冀州で広げた法と秩序の種は、この幽州の地にも確かに根付きつつある。薊県の城壁は補強され、城内には新たな学堂が建ち、市場には烏桓や鮮卑から買い入れた馬が並び、遠く遼東から運ばれた木材や毛皮が商人たちの手で売り買いされていた。
北伐を終えた高順の軍勢が薊県の城門をくぐったのは、秋の深まりゆくある日の夕刻だった。九万にまで減った将兵たちの隊列は、それでも整然と規律を保ち、疲れを見せながらもその足取りには確かな誇りが宿っていた。城門の両側には、留守を守っていた兵士たちや、将兵の家族たちが集まり、帰還を待ちわびていた。彼らは手を振り、涙を流し、あるいはただ無言で頭を下げて、草原を征した戦士たちを迎えた。
高順は驍風に跨がったまま、城門をくぐる将兵たちの姿をじっと見つめていた。百万の軍勢は九万近くにまで減った。十万を超える将兵が草原の土に斃れ、傷つき、あるいは残疾を負って故郷へと帰っていった。一兵たりとも無駄な死はなかったとは言えぬ。しかし彼らの犠牲が、これからの北方の平和を築いたこともまた、紛れもない事実だった。
夜の宿営地で、高順は自ら篝火を囲んで兵士たちと語り合った。彼は上将軍としてではなく、共に戦場を駆けた一人の戦友として、そこに座っていた。魏越が酒壺を持ち出し、成廉が干し肉を配り、古参の兵士たちが若い兵に戦場での武勇伝を語り始める。ある老兵は肩に深い傷を負い、左腕の自由を失っていたが、その目は異様に輝いていた。
「俺はな、若い頃からずっと北の異民族と戦ってきた。公孫瓚の時も、袁紹の時も、そして将軍の下でも。正直な、もううんざりだったんだ。戦っても戦っても、奴らはまたやってくる。草原の広さが、奴らを何度でも蘇らせる。だが今回は違う。将軍は草原そのものを変えたんだ。奴らと交易し、奴らに法を与え、奴らの王を立てた。これでもう、俺たちの子供や孫が、北の脅威に怯えることはない」
若い兵士は黙ってその言葉を聞いていた。彼はまだ二十歳にも満たない若者で、この北伐が初めての実戦だった。彼の手にはまだ豆が残り、肩には烏桓の騎兵に斬りつけられた傷が癒えたばかりの痕があった。彼は先輩の言葉を胸に刻みながら、自分が歴史の一部になったことを静かに噛みしめていた。
「なあ、若いの。お前はこれからどうする」
老兵が尋ねると、若者は少し考えてから答えた。
「俺は将軍の下で、もっと勉強したい。文字を覚えて、法律を学んで、いつかは県の役人になりたいんだ。戦だけじゃねえ、この国をちゃんと治める側になりたい」
老兵はその言葉を聞いて、にやりと笑った。
「そいつはいい。将軍がいつも言ってる通りだ。戦は終わらせるためにある。これからは、この国を治めるための戦いが始まるんだ。お前みたいな若いのが、その戦いを引き継いでくれりゃ、俺たち老兵も報われるってもんだ」
高順は少し離れた場所で、その会話を静かに聞いていた。彼は何も言わず、ただ小さく頷いた。彼の目には、遠くの闇に消えていった無数の命の姿が映っていたが、同時に、これから育っていくであろう無数の未来の姿もまた、確かに映っていた。
ひと月の休養が明けると、高順は全軍に再び動員をかけた。今回は九万の全軍ではない。すでに疲弊した兵たちをさらに酷使することは避け、三万の精鋭を選抜して遼東へと向かった。公孫度の残党を徹底的に掃討するためである。すでに公孫度本人は滅んでいたが、その一族や残党は広大な遼東の山岳地帯に逃げ込み、ゲリラ戦を展開していた。
遼東は幽州の東端に位置し、山が多く、冬は厳しい寒さに閉ざされる。公孫度の残党はこの地の利を熟知しており、正面からの戦いを避けて神出鬼没の襲撃を繰り返した。彼らは山中の洞窟や峡谷に潜み、夜陰に紛れて高順軍の補給部隊を襲い、村落を焼き、撤退を繰り返した。
しかし高順はすでにこの手の戦法に慣れていた。彼は草原で烏桓の遊撃戦に苦しめられた経験を活かし、小部隊による掃討戦を展開した。張燕の遊軍が山中に分け入り、斥候を放って残党の隠れ場所を探り出した。張燕はもともと黒山賊の頭領として山岳戦を得意としており、彼の部隊はまるで山の獣のように峻険な地形を自在に駆け巡った。田豫は地元の人間であり、遼東の地理を熟知していた。彼は残党が逃げ込むであろう峡谷や洞窟を事前に把握し、包囲網を狭めていった。村々の古老から情報を集め、時には残党に協力していた者たちを説得して味方につけ、情報網を広げていった。
華雄は自ら大刀を振るって山中の残党を討伐した。彼は雪の中を徒歩で進み、洞窟に潜む残党を見つけ出すと、自ら先頭に立って突入した。その剛力は狭い洞窟の中でも遺憾なく発揮され、残党の戦士たちは華雄の大刀の前に次々と討ち取られていった。
「公孫度はすでに死んだ。お前たちに勝ち目はない。武器を捨てよ。投降すれば命は保証する。抵抗すれば殲滅する。選択の余地はない」
高順の布告は、山々に谺した。公孫度の残党は徐々に追い詰められ、降伏する者が相次いだ。最後まで抵抗を続けた一派も、華雄の率いる大刀隊によって壊滅させられた。こうして遼東の公孫度勢力は完全に掃討され、遼東の地は平定された。高順は董昭を呼び寄せ、遼東の統治を彼に一任した。董昭はただちに遼東の戸籍調査を命じ、郡県の境界を確定し、遼東半島の南端に新たな港を築く計画を立案した。草原の民との交易の拠点として、遼東はこれから重要な地となる。高順の構想は、すでにそこまで見据えていた。
遼東から薊県に戻った高順は、ある決断をした。自邸の安全を根本から見直すことである。彼はこれまで、自邸の警備を近衛兵に任せてきた。魏越や成廉をはじめとする古参の兵たちは忠誠心も能力も申し分なかったが、彼らは戦場の将であって、邸内の細やかな警備や家族の日常を守るには適さない面があった。彼の家族、特に蔡琰と董媛、そして六人の子供たちを守るには、より優れた人材が必要だと考えたのである。
そこで彼が招聘したのが、董祀という屯田都尉の男だった。董祀は文官でありながら剣術にも長け、かつて呂布と剣を交えてその腕前を認めさせたという異色の経歴を持っていた。屯田都尉として農業政策にも通じ、民政と武芸の両方に優れた、稀有な人材だった。高順は賈詡を通じて董祀の身辺を調べさせ、彼が信頼に足る人物であることを確認した上で、自邸の警備兵の長として招聘したのである。
しかし高順には、董祀を選んだもう一つの理由があった。それは董祀が、蔡琰の幼なじみだったという事実である。二人は同じ陳留郡の出身であり、幼い頃から共に学び、共に遊んだ仲だった。蔡琰の父である蔡邕が洛陽に出仕する前、陳留の地で二人は同じ師に文字を習い、同じ庭で遊び、同じ書物を読み合ったという。そして何より、高順が知る史実では、蔡琰が匈奴から帰還した後に曹操が彼女を董祀に嫁がせたという事実があった。今この世界では、蔡琰は高順の妻であり、董祀とは何の関係もない。しかし高順の心の奥底には、その史実を知っているがゆえの、かすかな嫉妬の炎が燻っていた。
董祀が初めて高順の邸宅を訪れた日、高順は彼を書斎に招き入れた。董祀は年の頃三十前後、穏やかな物腰の男だった。その目は理知的でありながら、剣を握る者特有の鋭さを秘めている。挨拶を終えると、董祀は静かに言った。
「高将軍、このたびは私のような者を警備兵の長にお迎えいただき、誠に光栄に存じます。及ばずながら、この董祀、全身全霊をもってお仕えいたします」
高順は董祀の顔をじっと見つめた。彼はこの男に、理不尽な嫉妬を感じている自分を自覚していた。史実では、この男が蔡琰の夫となる。それは今のこの世界では決して起こらないことだ。高順が董卓を討ち、王允から蔡邕を救い、自ら蔡琰を妻としたことで、歴史はすでに変わっている。蔡琰が匈奴に連れ去られることもなければ、曹操が彼女を董祀に嫁がせることもない。それでも高順の心の奥底には、その史実を知っているがゆえの、かすかな嫉妬の炎が燻っていた。
「董祀、お前に我が邸の警備を任せる。私の妻子を守ってほしい」
「承知いたしました。この命に代えましても、必ずやお守りいたします」
董祀は深く頭を下げた。その誠実な態度に、高順は小さく頷いた。理性では理解していた。董祀は有能であり、信頼できる人物である。蔡琰の幼なじみであることも、むしろ好都合ですらあった。蔡琰が何か困った時に、気軽に相談できる相手がいることは良いことだ。しかし感情は違った。高順は自嘲した。自分はこれまで、董卓を討ち、王允と対決し、曹操と渡り合い、百万の軍勢を率いて草原を制圧してきた。その男が今、一人の屯田都尉に嫉妬している。男の嫉妬というのは、実に面倒なものである。高順はそんな自分を、心の中で静かに笑った。
蔡琰は董祀の招聘を知ると、驚いたように夫を見つめた。彼女はすぐに、高順が董祀との関係を知っていることに気づいたのである。
「旦那様、まさか私のために董祀を」
「勘違いするな。警備の強化は以前から考えていたことだ。董祀は剣の腕が立ち、人柄も信頼できる。適任だ」
高順の声はあくまで平静だったが、蔡琰は夫の心の奥底を見透かすように、しばらくその顔を見つめていた。やがて彼女は微かに微笑んだ。その微笑みには、愛情と、かすかな呆れと、そして深い理解が混ざっていた。
「あなたは本当に、不器用な方ですね。これほどの大軍を率いて草原を制しながら、たった一人の屯田都尉に嫉妬するなんて」
「自覚している」
高順は短く答え、茶を一口啜った。蔡琰はそれ以上何も言わなかった。彼女は夫の心の内を、すべて理解していたからである。
幽州に戻ってからの高順は、家族と過ごす時間を最優先にした。皇帝への戦後報告を後回しにしたのも、そのためだった。朝廷がどう動こうと、曹操が何を考えようと、今は妻子と共にいることの方が大切だった。
高順には六人の子供がいた。上から順に、高景、高昭、高輝、高婉、高娟、高蘭。長男の高景はすでに十二歳になり、父親の背中を追って毎日槍の稽古に励んでいる。朝は夜明け前に起き出し、庭で素振りを百回。それが彼の日課だった。高順はそんな息子の姿を、書斎の窓から静かに見守ることもあれば、時には自ら庭に出て手ほどきをすることもあった。
次男の高昭は十歳で、兄とは対照的に学問を好み、蔡琰の膝元で『詩経』や『論語』を学んでいた。彼は書物を読むことに夢中で、時には食事の時間も忘れて書斎に籠もることがあった。高順はそんな次男の姿を見て、蔡琰に言った。
「昭は学者に向いているようだ。私に似ず、穏やかな子だ」
「あなたも、戦場に立たなければ穏やかな方だったのですよ」
蔡琰の言葉に、高順は少しだけ照れたような表情を見せた。
三男の高輝はまだ七歳で、兄たちに混じって剣を振り回そうとしては董媛に叱られている。彼は三人の男子の中で最も活発で、じっとしていることが嫌いだった。馬を見れば乗りたがり、剣を見れば振り回したがる。董媛はそんな息子を「まるで小さなじゃじゃ馬」と呼んでいたが、その目は愛情に満ちていた。
長女の高婉は九歳で、母親譲りの美貌と気の強さを持ち合わせていた。彼女は弟や妹たちの面倒をよく見る一方で、自分も馬に乗りたいと言い張る活発さも持っていた。次女の高娟は五歳、まだ幼く、庭で蝶を追いかけて遊んでいる。末の高蘭はまだ三歳で、高順が抱き上げると「おとと」と拙い言葉で父を呼んだ。高順はそんな娘の頭をそっと撫でながら、この子たちを守るために戦ってきたのだと改めて思った。
ある日、高順は子供たちを連れて薊城の郊外に馬を走らせた。高景と高昭はそれぞれ自分の馬を与えられ、誇らしげに父の後を追った。高婉もまた「私も馬に乗る」と言い張り、高順は苦笑しながら彼女を自分の鞍の前に乗せてやった。高輝はまだ自分の馬を持っていなかったが、董媛の馬の前に乗せられて、嬉しそうに手綱を握っていた。
薊城の北には、なだらかな丘陵が広がっている。かつて烏桓の騎兵が駆け抜けた草原は、今は平和そのものだった。高順は馬を止めて、子供たちを振り返った。
「父上、私はいつになったら戦場に立てますか」
高景が真剣な顔で尋ねた。彼はすでに父の北伐に同行し、戦場の現実を目の当たりにしている。その目には、父と同じように戦場の厳しさを知りながら、なおも戦士としての道を志す決意が宿っていた。
高順はしばらく息子の顔を見つめていた。その目は、かつての自分自身を見ているかのようだった。
「戦場に立つのは簡単だ。しかし、戦場から生きて帰ることが最も難しい。お前が戦場に立つ日が来るなら、その前に生き延びる術を学べ。槍を振るうだけが将の役目ではない。戦わずに勝つことこそが、最も優れた勝利だ」
高景はまだその言葉の真意を理解できなかったが、それでも深く頷いた。高昭は少し離れた場所で、父と兄の会話を静かに聞いていた。彼は馬を駆ることよりも、書物を読むことに喜びを感じる少年だった。高順は次男のそんな性格をよく理解しており、彼には彼の道があると思っていた。
「昭、お前は学問を続けよ。戦場だけが男の道ではない。この国を治めるには、法と秩序を理解した者が必要だ。お前はその道を進め」
「はい、父上」
高昭は静かに頷いた。彼の目には、父親とは違う形でこの国を支えようとする、静かな決意が宿っていた。
蔡琰と董媛は、庭に設えられた東屋で茶を飲みながら、夫と子供たちの姿を微笑ましく見守っていた。秋の陽射しが庭の樹々を金色に染め、風が落ち葉を舞い上げる。蔡琰の傍らには、警備兵の長となった董祀が控えている。彼は無言で庭の隅に立ち、家族の団欒を静かに見守っていた。
その姿を見つめながら、蔡琰はぽつりと呟いた。
「董祀がこうして邸にいるのは、なんだか不思議な感じがします。幼い頃、彼と一緒に字を習ったことを思い出します」
董媛が面白そうに身を乗り出した。
「へえ、そうなのか。どんな子供だったんだ、あの男は」
「とても真面目で、いつも私のことを気遣ってくれました。私が字を間違えると、そっと正してくれたり。でも、少し不器用で、自分の気持ちをうまく言葉にできないところがありました。今も、あまり変わっていないようですね」
「不器用な男に好かれるのが、あんたの宿命なのかね」
董媛がからかうように言うと、蔡琰は少しだけ頬を染めた。
「宿命、かもしれませんね」
「でもまあ、不器用な男ほど、一度決めたことは曲げないからな。あんたの旦那も、その董祀って男も、きっとそういう質なんだろうよ」
蔡琰は董媛の言葉に、静かに頷いた。彼女は遠くで子供たちと共に馬を駆る夫の姿を見つめながら、この平穏がいつまでも続くことを願った。
その夕餉の席には、家族全員が揃った。湯気の立つ麦飯、塩漬けの猪肉、葱の味噌汁、庭で採れた青菜の和え物。質素だが温かな料理が卓に並ぶ。高順は六人の子供たちの顔を一人ひとり見渡し、それから蔡琰と董媛に目を向けた。
「しばらく留守にする。許昌で皇帝に戦後報告をせねばならぬ。それが済めば、また戻る」
「また戦ですか」
蔡琰が静かに問うた。高順は首を振った。
「いや、今回は報告だけだ。戦はもう十分にした。これからは、この地を守り、子供たちを育てる。それが私の役目だ」
「ほんとかよ。あんたが戦をしないなんて、信じられないね」
董媛が笑いながら言った。高順は微かに口元を緩めた。
「私だって、いつまでも戦場に立ちたいわけではない。この子たちが大人になるまで、せめてあと十年は生きねばならぬ」
「十年どころか、孫の顔を見るまで生きてもらうよ」
董媛の言葉に、高順は小さく笑った。蔡琰もまた、優しい目で夫を見つめている。
「そうですね。景ももう十二歳。あと十年もすれば、私たちもおばあちゃんです」
「おばあちゃんか。想像できねえな」
高順は卓の上の麦飯を見つめながら、ぽつりと呟いた。
「私はこれまで、死にたくない一心で戦ってきた。生き延びるために法と秩序を作り、国を固め、敵を討った。だが、今は違う。生きたいのだ。この子たちの成長を見届けるために。お前たちと共に、老いるために」
蔡琰の目に、涙が光った。董媛もまた、照れくさそうに顔を背けた。
「ばか、急にそんなこと言うなよ。らしくねえ」
「らしくないか」
「ああ。あんたはいつも、もっと無骨で、不器用で、感情を表に出さない男だ。それが今日はどうした」
「少し、疲れたのかもしれぬ」
高順は静かに笑った。それは、肩の力が抜けた、自然な笑みだった。
やがて、高順は薊県を発ち、許昌へと向かった。彼の随行には、魏越と成廉、そして少数の近衛騎兵だけが選ばれた。驍風の蹄が乾いた官道を蹴り、秋の風が高順の頬を冷たく撫でる。道の両側には収穫を終えた麦畑が広がり、農民たちが冬に備えて麦わらを束ねている。高順はその光景を馬上から眺めながら、これが自分が守ろうとしてきた風景なのだと思った。
彼は馬上で、これまでの戦いを振り返っていた。草原での激戦、呂布との再会と別れ、家族との束の間の安らぎ。百万の軍勢を率いて草原を征し、数え切れぬ命を失いながらも、ついに北方の脅威を取り除いた。しかし彼は知っていた。これは終わりではなく、始まりに過ぎない。これからは、この地を守り、法と秩序を育て、子供たちの世代に引き継ぐための戦いが始まる。戦場での戦いではなく、為政者としての、父親としての、一人の人間としての戦いが。
許昌には、曹操がいる。陛下がいる。そして、まだ見ぬ新しい時代の胎動が、きっとある。高順は手綱を握り直し、南の空を見据えた。彼の戦いはまだ終わっていない。しかし少なくとも今は、家族を守り、国を守り、法と秩序を育てるために、また一歩を踏み出す時だった。
驍風の蹄が、夕日に染まる官道を軽やかに刻んでいく。行く手には許昌の城壁が、秋の陽を受けて静かに輝いていた。




