第一話 少年の秘密
初めまして、ご覧いただきありがとうございます!
本作は「異世界での車作り」をテーマにしているため、前書きで簡単な用語解説を載せておきます(知っている方はスルーで大丈夫です!)。
**ダウンフォース:**車体を下に押し付けることでタイヤを地面に密着させ、超高速でも曲がれるようにする技術。
**アンダーステア:**タイヤが滑るなどして、車両が思ったよりも曲がらなくなる現象。
**ライトアウトインサンマリノ:**レースの決勝が始まる時のお決まりの掛け声
それでは、本編をどうぞ!
「ライトアウトインサンマリノ」
そんな声と共にv12エンジンを響かせマシンが走り出した。
「さあ、始まりましたサンマリノグランプリ予選では事故も起きてしまいましたが、
決勝戦は無事に終わって欲しいですね」
実況席ではそんな会話がされていたが、男はレースに集中していた
(次のタランブレ・コーナは高速コーナーだから少し安全マージンを多めに取りたいな)
そんなことを考えながら走り、コーナーに差し掛かった時主人公は一瞬慌てた。
それと同時に「ドーン」と大きな音と共に男のマシーンはクラッシュしてしまった。
「おっとここで久保涼太タランブレ・コーナーで大きくクラッシュしてしまいました」
そんな声が響く中マーシャルが集まり消化活動と同時に救出作業も進めていた。
しかしながら頭にマシンのパーツと思われるものが刺さってしまい即死だった。
「ここで悲しいお知らせです。
日本人ドライバーとして活躍をし、王者となる可能性を持っていた久保涼太選手は
病院で先ほど死亡が確認されました」
そのことはニュースでも大々的に話され、また要因としては過度なダウンフォースによるアンダー傾向が
働いた結果による衝突事故として結論づけられた。
多くの日本人が悲しむ中、彼は死亡後顔をあげた時に天国とも地獄ともいえぬ奇妙な世界にいると
気づいた。
「ここは…」
男の目には殺風景で何もない場所が写ったが、快晴の空が広がり、顔を下に向ければ自分の下には土と草でできた小さな島が浮いていた。
その光景と同時に男は綺麗だと感じたが、それと同時に
「綺麗でしょう?」
そんな声が背後から聞こえてきた気がして男は後ろに向けて体を動かしたが、誰も見えることはなかった。
「あんたは誰なんだ?」
男は四方八方を見ながらもその存在に聞いた。
「私はこの世界で輪廻を司る神である
あなたは先ほどの事故で死亡してしまった」
その声と同時に男の目の前にニュース映像が映る画面のようなものを出した。
「一週間前、唯一の日本人ドライバーである久保涼太さんがサンマリノでのレース中に死亡した件で
死亡要因が判明しました。
その理由は過度に車の地上高が低いことから起こる操作不能によるものとのことです。
この事故で…」
男はそのニュースを見た時俯きながら目から涙が出ていた。
「夢も叶えられずに死ぬなんて」
レース業界でトップと言われているカテゴリで勝利し、年間チャンピオンになることは男以外の全ての
レーサーの夢である。
しかし男はその夢を諦めるしかなかった。
いくら大人だとしても男にとって子供の頃からの夢が消えてしまうことは心を圧するのに十分なことで
あった。
しかし神は見えてもいないのか、男の状態も気にしていない様子であった。
「あなたは生前悪行もせず一生を過ごしてきた。
その功績を讃え転生をする権利を与えます」
男は転生という話を聞き希望を感じた。
その希望を確実なものとするために男は神に多くを聞いた。
その中には記憶についても聞かれたが、神ははっきりとした声でいった。
「記憶を保持しながら転生することは不可能です理由はいろいろありますが、御伽噺や
創作の世界のようにそんな都合の良い話はないのです。しかし、
転生先は人類とその他動物から選ぶことができます。」
その言葉を聞いた男は悲しみながらも自分ならまたレーサーを目指すと考えた。
「俺は人間として転生をしたい。そしてもう一度レース業界に戻り、今度こそ夢を叶える」
そう言い放った男はどこか悲しそうだが、明らかに少しの希望を持ったような顔をしていた。
しかし生きるということはそこまでいいことばかりではない。
「転生先はランダムな場所になっています。
必ずしも前世のように地球のような技術が発展した場所に生まれ変わるとは限りません。」
その言葉を聞き男は自信のある表情で頷いた。
「俺のような最高カテゴリで戦えるような幸運を持った人間ならまた
地球のような星に生まれることができるはずだ」
男の顔はどこか自信で満ちていてそして希望に縋っていた。
「それでは転生をさせます。あなたが今後が素晴らしくあるよう願っています。」
その言葉と同時に男は明るい光に包まれ体が徐々に消えていくのを見ていた。
(さようなら)男は最後にそう思いながら涙を流して消えた。
「おぎゃぁ」
男は新たにアルフィー・シュミットとして生を受けた。
少年が新たに5歳となった時に男は初めて馬車に乗ることになった。
それまでは少年は外出することを許されず庭で歳の近い姉と遊ぶのみだった。
「父上あれが馬車なのですね」
馬車にのりながら少年は塾考していた。
(馬車があればどこまでも遠くへと歩くよりもっと速く移動することができる)
少年はもっと速く移動という言葉で前世の記憶を思い出した。
前世ではレーサーだったこと、不慮の事故で夢が途絶えたこと、そして今の世界に転生をしたこと
その全てを思い出した。
(そうか俺は前世でレーサーをしていたのか)
しかしながら生まれたのは中世のヨーロッパような国であったため、少年の転生前の夢は再度引き裂かれたように見えた。
少年は考えながらも目に大粒の涙を浮かべていた。
いくらもとは大人とはいえど、前世の子供の頃からの夢が完全に潰えたことは少年の小さな心を押しつぶすには十分すぎるものであった。
「どうしたんだアルフィー」
父は少年が涙を浮かべているのを見て少年の顔を見るように少し顔をあげ聞いてきた。
「いえ、少し」
少年は父に対して前世のことを隠すように俯いた。
父は何かを感じ取ったかのように「そうか」と言いながら父は少年の頭の上に手をのせた。
父の大きな手には温もりがあり、安心を感じていた。
そして父はその手を肩に乗せ外を見るように促した。
「初めての馬車はどうだ?思ったよりも早いだろう」
少年は雑談をあまりしない父にしては珍しいと感じ顔をあげ父の目を見た。
「思っていたよりも速くてワクワクしています」
そんな返しをしながら少年は少し悲しんだ表情をしていた。
(確かに馬車は早い。この世界ではいちばんの速度と言えるだろう。しかしながら前世で乗っていたマシン
と比べてしまえばうさぎと亀である。)
そんなことを考えながえている間も馬車は目的地へと進んでいった。
数時間後、目的地である工房に到着した少年は懐かしいながらも少し違ったような音が耳に入ってきた。
「ウィーン」
その音は近くの見覚えがありつつ、形が違った複数台の機械からしていた。
「父上あれはなんですか?」
少年は顔をあげ、キラキラさせた目で父に聞いた。
「あれは旋盤といい金属を切削して複雑な形を作ったりするためのものだ。
数年前まではなかったが、魔法技術の発展とともに出来上がったものだな」
その話を聞いた少年は希望を見出したような顔をしていた。
(あれがあれば繊細な切削ができる。もしあれがあれば将来的に車を作ることができるかもしれない )
そう考えた少年は顔をあげ父の目を見ながら輝いた目を見せた。
「父上あれは家庭でも使えるものなのですか」
父は少年が旋盤が欲しいのだろうと察した。
「そうだな普通の家であれば厳しいが、うちのように、広い部屋がある場所なら使えるかも知れぬな」
その言葉を聞き少年は諦めていた夢をもう一度叶えられる可能性を考えた。
(車と舗装された道路さえあれば、レースはできる舗装に関しては現在の技術力でも可能だ。
ということはあとは車さえあれば…そうだ車を作ればいいんだ俺はこの世界で車を作ればレースもできる
し、スピードを追い求めることもできる。
前世のような三百キロを超えたスピードを感じながら走り続けることができる。
そうだ俺は、僕はこの中世の技術力しかない世界で車を作るぞ!!)
そんなことを考えながら少年は目をキラキラ輝かせていた。
そんな少年を見て父は不思議がったが、少年が興味の持つものができたことを一人の親として喜んでいた。
「父様私は勉学に励みます」
その言葉に父は喜んだ顔をしていたが、まだ父は知らない将来少年は怪物のような執着と執念で最高速度への挑戦をし続けることを。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
なにぶん初めての執筆のため、まだ拙い部分読みにくい部分が多々あると思いますが、シリーズとして投稿していく予定ですのでよろしければこのまま読み続けていただければと思います。
先述した通り、私は初めての執筆です。
そのため読者の皆様からのご意見をいただけると嬉しく思います。
次回、第二話は【5月19日 昼12時】に投稿予定です!
これからもこの作品をどうかよろしくお願いいたします。




