2.作戦を考えました
考える主人公の図
やる事は決まった。
時間はない善は急げ。兎に角心配する3人に元気アピールをする。
「でも3日も…。」
とエメルダは言うが、
「…いつもの事でしょう。」
とモルガの一言で押し切る。ママン、ナイスアシスト。
納得した様な、していない様な曖昧な表情でヘリオとエメルダは部屋を出て行ったのは、言うまでもない。
深呼吸する。そして、落ち着いて周りを見る。
シンプルな淡い青を基調とした部屋…これは、アクア、つまり私の部屋だ。単純に考えて、ぶっ倒れてからここに居たという事だろう。
ベットから起き、勉強机に向かう。あまり使った形跡のない本達が、私の勉強嫌いを如実に示している。
まっさらな紙と、羽根ペンを手に取る。
ー[ヒロイン:スピネル、殿下:テッド・レイ・クォーツ、悪役:アクア・マリ以下省略(私)
スピネルは、平民だから家名がない。実は、どこぞやの貴族の娘とか言うありきたりな設定。…ゲーム時は、名前変更可能な上にその弊害で、どこの娘かはわからないのはご愛嬌。
テッド殿下は、クォーツ国…この国の第1王子。言ってしまえば、王太子様。ちなみに腹黒系。道を歩けば、視線と黄色い声が上がるイケメン。ヒロインに出会って、真実の愛を知るありきたりなお方。
そしてアクアは、私。スピネルと一緒にいるのを見て、嫉妬に狂う系の悪役令嬢。
つまり、アクアの筋書きはこう。
ー[殿下と仲良くする平民に嫉妬して、嫌がらせからの断罪される系悪役令嬢
よくあるパターンよね…。私から、嫌がらせしたりさせてた記憶はないけど。正妻(予定者)の余裕ってやつ?単純に、恋愛に興味なかっただけだけど。
何だかんだ言って、罪をなすりつけるでしょうね…。
…ゲームのアクアって、断罪されるとどうなったっけ?確か…殿下の台詞は「卑しくも、目下の者を虐めた挙句、咎めがないとでも思うのか?」って言ってたのよね…でも、アクアって後日談ないのよ。そう言うのって、需要あると思うんだけどなぁ。特に今。今まさに。
おっと脱線。パターンを考えると、最悪死刑。他は…縁切られて追放、領地へ幽閉、牢屋行き。そりゃまぁ、良い事はない。やはりパーティ回避で断罪フラグを折って、スローライフ逃亡安定だな、うん。
ー[なら、どうやって回避する?
ペンを走らせる。
ー[提案1:学園退学
単純、学園の生徒じゃないならパーティに出る必要が微塵もない。必要以前に資格がなくなる。完璧!完璧すぎ!!…るように見えて、明らかに困難極まりない。卒業1週間前で退学?現実的ではない。
顔を歪め、悔しみを示しながらバツを大きく付る。
ー[提案2:ドレス破壊
パーティに着ていく物がなければ、出なければ良いじゃない理論。破壊まで行かなくても、汚して着れなくなれば問題ない。1週間で見繕うのも、かなりキツめ。
…って言っても、今回用のドレスを着れなくしても持ってるドレスは山程。流石公爵家ですね、その無駄に惜しみのない財力を別のところに活かしてください。
それに、見繕うのは“キツめ”。不可能じゃないあたり、本当に優秀な人材方だと思います。
色々仇になりすぎ、辛い。バツを書き加える。
ー[提案3:今から家出
荷物を全力で纏めて窓から逃げるだけの簡単な作業。メリットは手軽、デメリットはその後の生活について。まぁ、何処かで住み込みで働けば問題はないでしょう。いくらアクアだって言っても、中身は平民だし。飲食店でのバイト経験が活かされる日が来るかもしれない。転生飲食店改革チートとか、ワクワクが止まらない。
…が、我が家の護衛だって馬鹿じゃない。今すぐだと、直ぐに見つかって連れ戻されて、茶番現場に差し出されるのがオチ。
でも、ギリギリならいける。早くて前日、遅くても当日の朝に出ていけば問題ないでしょう。丸を付る。
荷物整理と、警備時間を調べ家出時間を考える事。後は家出先にふさわしげな飲食店情報と、念のため婚約破棄希望を認めた手紙に、探さないで下さいと一筆。
「ふふふっ。絶対ざまぁされないんだから。」
楽しげなに目論見を書いていく。ついで出し悪役っぽく、3段高笑いでもしておきますか。
※余談:名前について2
・クォーツ王国
→クォーツ(水晶)
・王太子殿下:テッド・レイ・クォーツ
→ルチルレイテッドクォーツ
・ヒロイン:スピネル
→スピネル
石から外見情報取ってるので、ある種ネタバレ?
問題ないでしょう。