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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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遠距離恋愛のはじまり

今話から新章に入りました。

 9月1日。

 いよいよ龍也くんが千葉県に旅立つ日だ。

 新幹線のホームまで見送りに行く。

 龍也たつやくんは荷物もあるので、今年の新入社員で仲良しの後輩、和田浩一さん、そう、新入社員歓迎ボーリング大会で、私と同じレーンだったあのイケメンくんの浩ちゃんの車で送ってもらうことに。もちろん私も一緒に。


 途中昼食を摂り、駅の駐車場に車を止め、3人でホームまで歩く。

 ホームに着くと人気者の龍也くんの見送りにと、数名が待ち構えていた。


 ひとりひとりと挨拶を交わし、雑談をしていると青いラインの入ったN700系が姿を現した。

 13時30分発ののぞみ228号だ。東京着は16時03分。この駅始発ということで、ドアが開くと乗り込むだけだ。


 新幹線はゆっくりと停車し、アナウンスとともにドアが開く。

 みんなに元気よく「行ってきます」と挨拶をする彼。

 それぞれ口々に「行ってらっしゃい」「頑張れよ」など、贈る言葉を述べている。

 龍也たつやくんは最後に私の所に来て、少し会話をすることができた。


「じゃあ、行ってくるよ」


 満面の笑みで言う彼。


「うん、気を付けてね」


 私もありったけの笑顔で答える。


「ああ」


「がんばって!」


「ありがとう。着いたら電話するよ」


「うん」


 引っ越しの荷物が届くのは明日なので、今日は東京のホテルに泊まるらしい。


 そうこうしているうちに発車のベルが鳴り響く。ドクンと心臓が音を立てた。


 誰が始めたのか、「ばんざ~い」って。いつの時代?

 でも、おかげでおセンチな別れではなく、笑いのある楽しい別れ……というか、出発になった。


 ゆっくりと走り出す車両。座席の窓から手を振る龍也くん。

 彼は終始笑顔で。みんなとも私とも。

 初めは小さく振っていた手も、動き出すとだんだん大きな身振りになり、あっという間に見えなくなる。


 新幹線は残酷だ。速い。速すぎる。


 『遠距離恋愛の始まり』だ。


 見送りの人たちが帰った後も、私は少しホームにたたずんでいた。

 もう見えなくなった彼の笑顔を想い出すと、心が零れてきて、次から次から溢れてきて。

 辺りが霞んできて。拭っても拭っても止まらない。


 浩ちゃんはただそんな私を静かに見守っていてくれる。


「しょうがないな」


 目尻を下げたその優しい言葉に、また涙する。


「ごめんね。こんなに泣いてたら、浩ちゃんが泣かせてるって思われちゃうね」


 浩ちゃんは私の頭をなでながら、ニコッと微笑むだけで。




 暫く泣き続けて少し落ちついてきた。気持ちを切り替えて、大きくひと息ついた。


「ありがとう。もう大丈夫」


「そう?」


「うん。ごめんね」


「じゃ、送って行くね」


「え、でも悪いから」


「村上さんの彼女だから、それくらいはさせてもらいます」


 そう言って笑う彼は本当にいい人なんだな、そう思えた。

 今の心理状態で1人で帰るのは、やっぱりしんどい。浩ちゃんと話しながら帰る方が、少しは気が紛れるだろう。


「じゃ、遠慮なく」



いよいよ『遠距離恋愛』が始まりました。

これからのふたりはどのように過ごしていくのでしょうか。


周りの人たちとはどのように関わっていくのでしょうか。


お読み下さりありがとうございました。


次話「日常」もよろしくお願いします!

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