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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第4章】 転勤決定
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7月25日(水)星空祭 (ほしぞらまつり)ー1

 今日は2人して有給休暇を取って、この辺りではテレビ中継もされるほどの大きなお祭り『星空祭ほしぞらまつり』へ。


 いつもは龍也たつやくんの愛車、黒のSUVでお出かけするのだけど、今回は初めての電車デート。


 駅前広場で待ち合わせして、電車を乗り継ぎ1時間。

 やはり大きなお祭りだけあって、平日の昼間だというのに電車でさえもかなりの人混みだ。


 どこに行くのもほとんど車っていう龍也くんには、この時間もちょっとした冒険気分のよう。


 最寄りの駅で降車し、また人の波に乗って歩き進む。


「すっげぇよなぁ」


「なにが?」


「こんなに大勢の人、一体どっから集まってくるんだろう」


「そうだね。龍也くんは車が多いから珍しいでしょ」


「うん。他人と密着するなんて、エレベーターぐらいしかないからな」


「はぐれないように気を付けないとね」


 そっと差しだした龍也くんの左手に右手を重ねた。


「これで大丈夫」


 そう言って微笑む彼にまた高鳴る鼓動。


「それにしてもあっついよね~」


 ドキドキを悟られたくなくて。


「ホントだよな~。日本の夏は湿度高すぎなんだよなぁ」


「その上、人が多すぎて」


「よけい蒸し蒸しするよな」


「浴衣で来なくてよかったよ」


「オレは海彩みいちゃんの浴衣姿見たかったなぁ」


 ふふ、浴衣を着てこようとも思ったのだけど、こんな真夏に真っ昼間からの電車で遠出。

 はいムリ~。浴衣はね、案外暑いのよ。まあ、一応1人では着られるのだけどね。

 またいつかね。


「暑いから、手はなそっか?」


「それはダメー」


 なんて言いながらもっとぎゅっと握りしめてくる彼。

 内心、ふふふと思いながらも悟られまいと。


「なんかお腹すいたね」


「あ、それオレのセリフ。さき越された」


「へっへっへ」


 お祭り会場に向かう道中、商店街には店頭に屋台をだしているお店も多く、いい匂いでいっぱい。


 あれもこれもと目移りする中、夏には珍しい1件のお店の前で立ち止まる。

 2人は顔を見合わせニヤついて同時に言葉を放つ。


『はい、ここに決まり!』


 クーラーの効いた店内で熱々の……。

 考えるだけでもう美味しい。


「いらっしゃいませ。ご注文は?」


「海彩ちゃんはなに頼む?」 


「私は大根と厚揚げとたまご」


「じゃあオレは、牛すじと大根とはんぺんとたまご。あと生ビール中ジョッキで」


「えっ、ビール飲むの?」


「今日は車じゃないからね。飲むよ」


「じゃ、私はアップルジュースで」


「おでんにアップルジュースって」


「だって好きなんだもん」


「それ、オレのこと?」


「はあ? んなわけないでしょ。アップルジュースのこと」


「やっぱ言ってくれないんだぁ」



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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