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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第4章】 転勤決定
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7月21日(土) 行き先

今日はいよいよ……。

 今日は、いや昨日から私は心落ちつかずにいる。

 龍也たつやくんの転勤先が昨日の面談で決まったはずだからだ。


 そして今日のデートで龍也くんから直接行き先を聞くことになっている。

 昨夜、電話で聞くこともできたが、直接話したいということなので昨日からドキドキしっぱなしだ。



 いつものように自室から見える公園の横に、時間より早く着いた龍也くんのSUVを確認してから家を出る。


 ホントは走って行きたい気持ちでいっぱいだが、心を落ちつかせるためにゆっくりと歩いて向かった。


 運転席のサイドミラー越しに目が合った彼に手を振って、助手席側に回る。

 ゆっくりとドアを開けてまず微笑む。


「おはよう」


「おはよう」


 シートベルトを締めていざ出発だ。


 言葉少なに車を走らせる彼。ホントは今聞いてしまいたい。でも我慢する。

 彼が言いたいときに彼のタイミングで話してくれるのを待とう。


 まだ聞いてもいないことについてあれこれ悩んでいても仕方ない。




 車は空港の近く、離着陸する飛行機がすぐ傍で見られるほどの場所に止められた。


 しばらくは行き過ぎる飛行機を眺めて、行き過ぎる時間を見送った。



「500キロ」


 ため息交じりでおもむろに口を開いた彼の言葉。


「え?」


「飛行機ならあっという間なんだけどな」


「……」


「千葉県に決まったよ」


「……そう」


「これから準備やらで忙しくなるな。来月下見にも行かなくちゃいけないし」


「そっか」


 千葉県って、地理の授業で習ったくらいでよく知らない。


 ああ、有名な大型テーマパークがあるとか、九十九里浜だっけ、凄く綺麗なところだとか。

 それから、特産品がピーナッツだったかな。


 遠いな。


 それ以外なにも浮かばない。


 少しうつむき加減な私に彼は明るい声色で話す。


「来週さ、お祭り行かない?」


「え、忙しくなるんじゃ」


「それは来月からかな。有休も取っていいって」


「へえ、そうなんだ。で、お祭りって?」


星空祭ほしぞらまつり


「え、それって有名なお祭りじゃん。すっごい人混みみたいだよ。あの辺あんま行ったことないからな」


「有休取ってお昼から行こうよ。月末までまだ日にちあるから、仕事の方にもあまり影響なさそうだし」


「そうだね。私もその日なら休めそう」


「じゃあ決まりだな。11時ごろ迎えにいくよ」


「うん、楽しみ。でもたまには電車で行くっていうのもいいんじゃない? 車だと止めるところも大変だし。きっとその日は渋滞するだろうし」


「そうだな、たまには電車っていうのもいいかもな。ってか初めてじゃないか? なんか緊張するな」


 

 星空祭か。2人で有給休暇を取ってお昼間からお祭りにいくなんて、ちょっとドキドキするな。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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