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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第2章】 はじまり
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告白(2)

映画を見終わって。

 キャッチフレーズは、『切ないラブストーリーに、あなたの心が揺さぶられる』という映画。

 確かに心は揺さぶられた。切なくもどかしい。

 お互いに想い合っているのに、上手く言葉にできずに擦れ違う心。解っているのに素直になれない2人。

 だから、なにげない言葉がきっかけで行き違って強がり言ってケンカして。 

 

 結局仲直りしても小さなわだかまりがのこったまま。観ている側としては、『なんでまたそういうこと言うかなぁ』『もっと素直になればいいのに』『心の中をぶつけ合えばいいのに』などと、もどかしい想い、切ない想いでいっぱいになる。ハンカチを用意していて正解だった。


 涙もろい私は当然終了後もずっとハンカチが手放せなかった。客電がついて皆が出口へと向かいだしてもなお涙を拭っている私に、龍也くんはもう泣くなよと頭をよしよしと優しくなでながら「いい映画だったね」と声をかけてくれた。


 少しして映画館を後にした私達。すぐさま私は、パウダリールームに駆け込んで泣き顔の確認をした。もうお化粧もなにもあったものじゃない。我ながらよく泣いたなと感心するほどだった。

 化粧直しを入念に終え、彼のところに戻った。


「おまたせ」


「おう。お茶でも行く?」


「そうだね。ちょっと小腹もすいてきたから、軽くデザートも!」


 笑いながら歩き出し、少し落ち着いた照明のカフェでイチゴのショートケーキとコーヒーを注文した。 


 そしてさっき観た映画の感想を言い合う。


 私がこの映画から感じたこととしては、『何を言うかということではなく、どう言うかが大事』ということだ。


 そう言うと、龍也くんも激しく同意してくれて、話は弾んだ。


 そう。同じことを言うのにも、言い方がある。

 その言い方ひとつで相手が受け取る印象が、ガラッと変わるということだ。

 ひとつ間違えると誤解を招きかねない。


 あとでいくら言い訳をしても、最初の印象は拭えない。

 だから、言葉にする前によく考えないと。

 遠回しに言うことも必要なときもあるだろうが、トラブルになることもある。


 語彙がなくても、言葉下手でも、一生懸命語ればきっと想いは通じるはず。

 上手く言う必要はない。大事なのは心がこもっているかどうか。


 まさしく『何を言うかということではなく、どう言うかが大事』なのだ。


 そんなことを2人で熱く語り合った。

 龍也くんとは、価値観が似ているのかもしれない。

 そう思うと、少し嬉しかった。



お読み下さりありがとうございました。


次話「告白(3)」もよろしくお願いします!

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