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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第2章】 はじまり
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告白(3)

映画を観終わって、感想を言い合った2人。

 それから車に乗り込んでショッピングモールを出ると、雨はすっかり上がっていて、西の空があかね色に染まっている。


「ちょっとドライブしよっか」


「ん? いいけど。どこ行くの?」


「夕陽が綺麗なとこ」


 そう言うと龍也くんは、車を山の手の方に走らせる。

 くねくねと曲がる道を上って行く。少しして小高い丘にある展望公園に着いた。車を駐車場に止め、下界を見下ろせる公園へ。


 ちょうど綺麗な夕陽が、そこから少し先に見える海に沈もうとしている。


 「わあ、綺麗」


 オレンジ色に照らされて2人の顔がほんのり紅く感じる。

 そうしてしばらくそのまま海と溶け合うオレンジを眺めていた。


 陽が沈んで、一瞬だけ空が真っ青になる『ブルーモーメント』が見られ、ラッキーだねとまた目を輝かせたのも束の間。もう夕間暮ゆうまぐれだ。


 そのあともずっと沈黙が続き、ただなんとなく下界を眺めていた。

 いつの間にかうっすらと輝きだした街の灯が、ゆらゆらとゆらめいている。


 その2人の間の静寂を破ったのは彼だった。


「そろそろ付き合おっか」


 私は驚いて彼の方を向いたけれど、龍也くんは照れからか、前を向いたまま話している。


 え? 大事なこと、そんな風に言っちゃうの?


「『何を言うかということではなく、どう言うかが大事』って2人でさっき話したよね」


「そうだね」


「そんな、ついでみたいな言い方ってどうかと思うよ」


 そう。そういうことは、ちゃんと目を見て言ってくれなくっちゃ。


「こういうの照れくさくって」


「何を言うかということではなく、どう言うかが大事。照れくさいのは同じだよ」


 すると彼は私の目を真っ直ぐに見つめて言ってくれた。


「うん。海彩みいちゃん。気がついたら好きになってた。もっともっと一緒にいたい。オレと付き合ってくれる?」


 一生懸命話す姿に、彼の精一杯の言葉だと感じた。


 いつの間にか辺りは暗く月明かりに照らされている。


「うん、いいよ」


 美しい初更しょこうの月がそうさせたのか、少し素直になってみようか。

 そう思えた。


 そうして私達は付き合うことになったのだ。


 今からひと月前の、6月のある日の出来事。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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