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戦闘論(仮)  作者: 如月 恭二
17/17

狙撃について

戦闘論、久々の更新!

噎せかえる硝煙を香りを堪の──ゲフンゲフン。


……噎せた(汗)

 久方ぶりである諸君。

 ──私だ。


 戦闘論が進まなかったのは、ひとえに"異端ノ魔剣士"に掛かりきりだったのに他ならない。申し訳ない。

 さて、早速内容に移ろうじゃないか。サブタイトルから察しは付いているだろうが、ズバリ狙撃について語ろうと思う。本来であれば拳銃の項をもう少し扱うつもりではあったのだが、私もその内スナイパーを取り扱った作品を手掛けたいとも思っているのでな。ここはひとつ、確認も兼ねてライフルも紹介していこうと──こう言う訳だ。


 ○Kar98k

 ナチス・ドイツ開発。短銃身で、騎兵用としての評判が高い。また、制式採用から、小銃の半自動化が進められている最中であり、やや時代遅れとして見られたが手入れ、命中精度など

信頼の高さから当時はよく使用された。

 ボルトアクション方式──手動で弾薬を薬室へと装填する方式で、一発撃つごとにこれを行う──で、安全装置も優秀だった。1945年まで生産されていた。

 7.92×57モーゼル弾使用。装弾数五発、有効射程500メートル。

 因みに、短銃身で知られるカービン銃はこの銃が由来。


 ○レミントンM700

 レミントン・アームズ社開発。1962年の製造以来、現代に至るまで警察機関や軍用品などにも採用されているベストセラー。改良モデルも出回り、海兵隊などでは自製モデルが出回るほど。カスタムパーツも豊富で、狩猟用のみならず競技用としても高いポテンシャルを活かしている。まさに、ボルトアクションライフルの代名詞的な存在である。

 ボルトアクション特有の堅牢さ、動作や精度における信頼も高く、今尚高い評価を得ている。


 使用弾薬により有効射程、装弾数がまちまち。

 某アニメにて、.338ラプアマグナムで実に900メートルの狙撃を行っている為、有効射程はやはり不明。最大射程は2㎞程度ではなかろうかと思われる。


 ○McMillan TAC-50

 高精度で知られるアメリカの、マクミラン社製造の対物小銃。2000年リリース。これは所謂(いわゆる)対物ライフルに当たる。海兵隊のM700改良型モデル──M40のストック等を製造している会社。

 バレットM82A1──セミオート対物ライフルの代名詞──などのトライアルを経て結実した、対物ライフルの金字塔だ。

 持ち歩く大砲と言われる対物ライフルは、その強大な弾薬がもたらす反動を如何にして御すのか。それが課題であった。

 しかし、本銃は重量とマズルブレーキの採用により反動を軽減することに成功。バレットM82A1も同様だ。

 カナダの狙撃手が、実に3,450メートルというデタラメな狙撃記録を樹立したのも本銃。驚異的な数値で、それまでの狙撃記録を一キロ近くも更新したことになる。

 これを機に、精度の高い対物ライフルが注目されるようになる。尚、本銃はボルトアクション方式。対テロ部隊に即した仕様でもある。

 実際、人質を取ったテロリストに対し、某特殊部隊は壁を破壊して狙撃を行うという大胆な作戦を実行し、成功させたという。まさに驚愕するほどの多大な実績を持つ。


 ○ドラグノフ(SVD)狙撃銃

 ソビエト連邦時代に製造。1960年代より採用され、現代に至るまでロシア連邦でも使用される、セミオートマチック──引き金を引くと装薬、排莢(はいきょう)が行われ、発射まで至る方式のこと。初弾のみコッキングを行う必要がある──ライフルのベストセラー。狙撃銃の代名詞。

 ストック──肩当てのこと。反動軽減の働きをする──は、スケルトン仕様で軽い。他には見られない大きな穴が特徴的。狙撃姿勢時の照準が容易となるよう、着脱式の頬当てもある。作動方式はガス圧作動式。腐食を懸念し、この作動部はクロムメッキが施される。

 長期的な酷使を念頭に置いている為、頑丈さで知られるAK47──ロシア製造のアサルトライフル。アブトマット・カラシニコフに由来する──を参考にしている。その為に部品数は少なく、堅牢な作りを実現。尚、ガスチューブなど、形状の異なる部品もあるため互換性はない。

 市街地戦に主眼を置いている為、想定射程は100~400メートル。有効射程600メートル程度。中距離における制圧能力は高い。セミオート機構にしては精度もそれなりに高く、連射も利くため、中近距離における戦闘で真価を発揮する。


 ○PSG-1

 ドイツのH&K──ヘッケラーコック──社開発。開発の経緯は、ミュンヘンオリンピック事件において当局の不手際と装備の不足により人質とされたイスラエル人選手八人全員と警官一人が殺害される大惨事が元。その為、西ドイツ政府は、銃器メーカーに狙撃銃の設計を依頼し、H&KのPSG-1が採用された。

 当時、ワルサー社がWA2000というライフル──グリップやトリガーより後ろに弾倉機関部を配置するブルパップ方式の特異な形状をしたオートマチックライフル──を設計していたが、7000ドルと高額だった為、採用されなかった。

 ──が、PSG-1も同じ金額である。WA2000に至っては重量もさることながら、精度も悪くなく、不採用に至った理由は不明。


 オートマチック方式は、ボルトアクションに比べ機関部が複雑になりがちで命中精度は低下する。しかし、次弾発射までが早く、複数の標的に対する対応の早さから対テロ部隊等で活躍が期待されていた。


 とはいえ、7000ドルにも及ぶ価格と、複雑となった繊細な機構が仇となり、整備が手間である事から一部を除いて使用されていない。有効射程が比較的短い事からも、やや敬遠されがちである。

 弾薬は7.62×51NATO弾。有効射程700メートル。装弾数5・10・20発。


 ○WA2000

 当時、西ドイツのワルサー社が開発、製造していた。口径7.62mmの他に.338ラプアマグナムなど。装弾数6で、有効射程は1kmにも及ぶ。銃身の上に二脚が繋がり、ぶら下げる為、特異な形状。

 オートマチック方式であるにも関わらず、ボルトアクションライフルと遜色(そんしょく)ない命中精度を誇り、PSG-1と並んで高性能な狙撃銃として知られる。

 高価な点と本銃の重さ、七キロあまりで取り回しに難があることから不採用となった。もっとも、PSG-1も八キロとかなり重い。

 このような高性能ぶりを遺憾なく発揮したにも関わらず、全くと言って良いほど注目されず、一説には176丁程度しか製造されていないということも。如月の素人考えによれば、当時の政治的な背景があるのではないか、とのこと。割りとどうでもいい。


 ○バレットM82A1

 アメリカのバレット・ファイアアームズ社開発、製造。1986年製造から現在に至るまで、アメリカやベルギー、フランスやギリシャなど35ヵ国の軍が採用。ヘリコプターや装甲車などにも損傷を与えられるよう、ブローニング社製のM2重機関銃と同じ12.7×77mmという規格外の弾薬を用いる。尚、M2重機関銃を対戦車ライフル代わりとして扱うのは、ベトナム戦争でも見られていた光景だ。この時の狙撃手の報告と、後々の戦果等により、開発に至ったとも。装弾数は10+1(チャンバーに送弾した場合、+1となる)。有効射程2kmの化け物。ショートリコイルと言う、プライマー火薬の反動利用方式によってオートマチック機構を得る。

 戦車の装甲を貫通出来ず、主に陣地や多目的車両を標的とする、"アンチマテリアルライフル──対物ライフル──"としての地位を確立した。

 イラク戦争にも投入され、1.5km先の敵兵を"両断"する威力を見せる。その為か、度々人間に使用するのは禁止という誤解がある。現状、禁止する条約等はない。勿論、有効射程内で命中させれば目を覆いたくなる惨状になるのは必至だが、作戦行動上はそうも言っていられないのが実状だからだと思われる。

 また、伏射でなければ反動を御しきれず、腰だめで正確な狙撃を行うのはまず困難。重さも、13kg弱と規格外。



   ○   ○   ○   ○   ○ 



 目的によって狙撃銃も刻々と進化をしているが、それを扱うのは人間だ。真に恐るべきは、それを使う者の練度であろう。

 そもそも狙撃と言えば、弾が真っ直ぐ飛ぶと思いがちだが、その実、非常に緩やかな曲線を描く。如何に初速が速かろうと、遠ければ遠い程、終端は放物線に近くなる。銃弾はロケットではない。火薬の力で撃発されるのだからな。おのずと、その運動エネルギーは小さくなる。


 更にだ、戦場は風が付き物だ。そよ風程度でも、1kmも離れれば計算に狂いが生じる。僅かな環境の違いで、風向きすら違うかも知れない。それすらも──些細な誤差すらも計算に含ませる狙撃手はそら恐ろしい存在だ。

 照準器のレティクルから覗き込む顔が、嗜虐(しぎゃく)的に(ゆが)んでいるだろうと考えるだけで寒気がする。

 考えてもみて欲しいが、拳銃程度で狙撃手に抗する手段はない。戦いなどとは程遠い、一方的な殺しだ。自身の射程外からの攻撃とは、()くも恐ろしいものなのだよ。

 移動中の車両などは言わずもがな、射線さえ通るのであれば彼らは僅か一発の弾丸で人に肉塊へと変じさせるのだから。


 ……そうは言っても、主人公などに彼らを取り入れる場合は別だ。頼もしい技量と度胸で外敵を排除しに掛かる姿は、きっと最高だろうな。

 思うに、硝煙(しょうえん)の香りや銃床(ストック)から肩を蹴る反動を表現すれば、彼らを取り巻く物語は熱くなる!


 よりリアルに。そして、より重く冷たい銃把(じゅうは)の感触を伝えて欲しい。


 ……そういった物語の締めくくりは、そうだな。



 ──斯くあって、決着は付いた。寒々しい薬莢の落下音は、何処か晩鐘の響きを伴っている──そんな風にさえ思えた。


 ……こんなところか。

 他にも狙撃銃は様々なものが存在するが、興味があればご自分で調べて欲しい。何せリサーチに時間と文字数を持っていかれるのでな。私としては何とも、心苦しいところではあるのだが。


 ……では、また。

TAKE2なんてものはなかった。

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