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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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連載始めました!

よろしくお願いします!

「フローラ、大きくなったら僕とけっこんして!そしたらずっと一緒にいられるよ!」

「サン、本当に?本当に私とけっこんしてくれる?」

「うん、だってフローラはとても良い香りがするんだもん」

「良い香り?」

「うん!だってフローラは・・」



「・・さま!お嬢様!!」

「!!!」

「お嬢様、そろそろ起きて下さいませ。今日は婚約者のクルト様がいらっしゃいますよ」

「・・おはよ、ばぁや」


 何だか懐かしい夢を見た気がした。もう忘れてしまったけれど子供の頃に出会った子だったような・・


 思い出そうと思ったが窓から入る日の光が眩し過ぎて懐かしい夢はすぐに忘れてしまった。

 顔を洗い鏡の前に腰を下ろせば、ばぁやは私の髪に櫛を通す。髪に香油を付けながら丁寧に梳かしていく。


「クルト様は昼過ぎに見えると聞いたけど・・」

「ええ、と言ってももうお昼近いですよ!また遅くまで本を読まれていたのですか?」

「ええ、メイベルから借りた本がとても楽しくて!」


 私の婚約者であるクルト様は伯爵家の次男で、私と結婚した後は我が子爵家に婿入りする事になっている。

 一方メイベルは私の友人で侯爵家のご令嬢だ。

 侯爵家で開かれた夜会で知り合ってから意気投合し、今ではお互いが薦める本を読んでは感想を言いあう仲だ。

 ばぁやはやれやれと言わんばかりの態度で支度を進めると、


「クルト様〜!」


 外から甘えた声色で私の婚約者の名を呼ぶ義妹の声がした。私はそれとなく外を覗くと案の定義妹のリーナがクルト様の腕に絡んでいた。


「まぁリーナ様ってば何度言えば・・」

「良いのよ、私が早く起きなかったのが悪いのだから」


 私はばぁやに急いで支度をして貰うと庭へ出た。

 庭は花から新緑へと変わっていて、風に揺られる葉がカサカサ鳴っている。

 もう少ししたら夏の虫の声が聞こえてきそうだ。

 庭の奥にあるガセボに近づくと楽しげな男女の笑い声が聞こえてきた。

 クルト様とリーナの笑い声だ。

 私は一度立ち止まると深呼吸をする。いつの間にか身に付いてしまった私の癖だ。

 私が深呼吸を繰り返している間にも二人の楽しげな笑い声が耳に入ってくる・・


 クルト様とのお茶会が毎回庭になる理由・・それは・・


「リーナは本当に可愛いな、僕の婚約者がフローラでは無くリーナであったなら良かったのに」

「私もです!私がお母様の連れ子だからと言って、お義父様が決められてしまったのが悔しい。成績だって悪く無いのに・・」

「僕のために努力をしているリーナを心から愛しているよ」

「嬉しいクルト様!!」


 そう、この二人は隠れて相引きをする為に外でのお茶会を提案して来たのだ。

 しかもワザと間違えた時間を私に伝えて・・

 私の母は前子爵夫人で、リーナの母は後妻だ。

 リーナの父親が亡くなり実家に戻されたあと夜会で出会い、お互いに一目惚れをした。と言うのが周りに伝わっている理由だが、本当は元々若い頃の恋人同士でお互い伴侶が亡くなったのを知り元の鞘に戻った。


 これが真相だ。


 私は二人の前に出る事を躊躇ったが勇気を出して声をかけた。


「ごきげんようクルト様。リーナ、クルト様のお相手ありがとう」


 あくまでも冷静に、笑顔も忘れずに・・

 そんな私の存在を疎ましく思ったクルト様はチッ!と舌打ちをする。リーナもクルト様に凭れ掛かりながら私を睨んでくる。

 まるで邪魔をした悪者扱いだ。

 そんなに二人きりで会いたいのなら屋敷では無く外で会えば良いのに。

 そんな心の声を必死に堪え二人の向かいの席に座る。


「お義姉さまったら、クルト様を待たせるなんて婚約者として失格ですわよ?私がお相手していたから良かったものの」

「ああそうだ、フローラよりリーナの方が余程私の事を想ってくれているぞ!」

「・・クルト様がこちらに来られるのは昼過ぎと伺っていたものですから」


 私の話し終わる前にクルト様は立ち上がるとリーナの手を引き歩き出すと


「お前の顔を見ながらお茶を飲む気にならん!リーナ、美味しいケーキでも食べに行こう」

「まぁ嬉しい!!」


 まるで二人が婚約者同士なのでは?と思えるほど寄り添いながら歩く後ろ姿を見て、本当にそうなら私もどれだけ気が楽か・・

 と、深いため息を吐く。

 結局クルト様とのお茶会は、ものの数分で終了した。


「ばぁや、着替えを手伝ってちょうだい。王宮へ行くわ」

「まぁ!今日はお休みのはずでは!?」

「そのつもりだったけど・・婚約者様は義妹と共に出掛けてしまったから」


 私は二人が席を立った後に用意されたお茶を一口飲むとばあやに声をかけた。ばぁやは仕方ないですね・・と言いながら屋敷へと戻って行く。


 ごめんね、ばぁや。それでも私はリーナが、クルト様の相手をしてくれて本当に嬉しいのよ。

 だってクルト様は初めから私では無くリーナの事を気に入っていたのだもの。


「僕、この子の方がいい」


 そう言って指したのがリーナだった。

 もちろん喜んだのはリーナとお義母さまだ!

 伯爵夫妻と我が父も驚いたが大喜びをしたお義母さまとリーナは三人にねだった。


「クルト様がこう仰っているのですから!」


 と。

 お義母様からすればリーナが結婚して子爵家を継いでくれた方が嬉しいのだから。

 だが、たとえリーナが本当にお父様の子だったとしても正式な子爵令嬢では無い。

 前夫である男爵が父親なのだ。

 我が国ではたとえ親が再婚して爵位が上がっても、子の爵位は生まれた時の爵位のままだ。女はまだ結婚相手次第では爵位を上げることが出来るが、男は簡単ではない。

 何代か前の王の時代に、男爵令嬢が侯爵令嬢となり王太子妃になった。男爵夫妻が実権を握りたいが為に娘を利用したのだ。

 その事が露呈して依頼、親が再婚しても子の爵位は生まれた時のままと法律が改正されたのだ。


「お嬢様!」

「ごめんなさい、少し眩暈がしただけ・・大丈夫よ」


 立ち上がった際に目眩がし身体がふらついた。最近、いや数ヶ月前から目眩がひどく寝込む事も増えてきた。

 その原因は分からないが今は義母と義妹に内緒で王宮の医師に診てもらっている。

 お父様と王宮での夜会に参加した時、目眩がひどくソファーで休んでいた所に声を掛けられたのだ。


「君、誰に呪いをかけられたんだ!?」


 と・・

 

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