5月13日 GW明け
今日から、1学期が再開した。GW明けだが、いつもと変わらないみたいだった。欠席する生徒は一人もいない。みんな、なんとか登校してきていることに驚いていた。いつもの休み時間は、勉強している者もいれば、話をしている者もいる。4組ほど、受験ムードは高まっていなかった。今日も、いつものように、サッカーのことを考えていた。
俺たちのクラスは、私立受験組と就職組と二つが入り乱っていた。俺は、大学への進学を希望するけど、そこまで賢くないから無理なら就職も視野に入れていた。同じクラスの相田と富山たちは、就職組だ。
最近は、ほとんど勉強せずに遊んでいた。就職試験に向けて、内申点が下がるのだけを防いでいるぐらいの感じだ。俺は、そんな二人を見て、お気楽さが羨ましかった。どっちかというと俺は、4組の沢田、中沢、辰巳。5組の宝来たちと同じレベルを目指さないといけなかった。
相田「どうだった?」
俺 「なんとかなったよ」
昨日の工藤のことを思い出した。一緒には来なかったけど、相田も気にしていることがわかったのは、どこか嬉しかった。
相田「マジか?なんて言ってたの?」
俺 「一週間後には、部活来るってよ」
相田の顔がゆっくり変わっていくのがわかった。
相田「やったな。唐沢」
俺 「そうだな」
たしかに嬉しいけど、まだ足りなかった。
相田「後は、宝来と沢田かぁ」
俺 「まぁ、この2人の方が難しいけどな」
強く誇張した。
相田「宝来じゃねぇの?」
俺 「いや、沢田もだよ」
驚いた顔で俺の方を見る。相田は、よくわかっていない様子だった。たしかに、沢田は怪我で部活に来ていないということになっていた。しかし、チームが沢田中心に動いてるから、沢田がいなくなるとチームが分裂してしまうのだ。
今は、大きく4つに別れているような状態。一つ目が、沢田を慕う中沢や辰巳たち。二つ目が、工藤と仲がいい野木や原田。三つ目が俺がいる相田や富山。そして、四つ目には一匹狼の宝来や川上たちがいた。
この4つのグループは、交わるようで交わらない。どこか異質感があった。特に、FWの宝来とGKの川上は、絶対チームの中心じゃないといけないのだが、彼らが俺たちと交流したがらないから、完全に個人プレーが増えてしまう状況になっていた。それを打開するためにも、いち早く沢田に帰ってきてもらう必要があったのだ。




