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第12話 店でかき氷頼むと、来る前に身体冷えちゃうよね

 完全にジアに籠絡されたアイバーンとブレンは、ジアと共に魔石採掘を行なっている。

 そんな中、洞窟の入り口の方から何やら話し声が聞こえて来る。


「誰か来るぞ⁉︎」


 アイバーン達が採掘をやめて警戒していると、ガラの悪そうな男達が大勢入って来た。


「うおっ‼︎ 何だこりゃ⁉︎ 魔獣だらけじゃねぇか⁉︎」


 洞窟内の光景に驚き、声を上げる男達。

 その声を引き金に、大人しかった魔獣達が一斉に男達に襲いかかる。


「ウオオオオー⁉︎」


「襲って来やがったああー‼︎」


 慌てふためく男達。


「止まれっ‼︎」


 ジアの一喝で、ピタッと動きを止める魔獣達。


「ま、魔獣が止まった⁉︎」


「おお、お前の召喚獣か⁉︎」


 ひとりの男がジアに尋ねる。


「あたしの召喚獣じゃないわ! この子達はみんなノラよ! だけどあたしの言う事は聞くから安心して!」


「ケッ! なんでぇ! 脅かすんじゃねぇよ‼︎」


 ひとりの男が、持っていた剣で近くに居たフェンリルを真っ二つに斬り裂いた。


「グオオオオー‼︎」


 雄叫びを上げながら消滅するフェンリル。

 その後には緑色の魔石が残った。


「ヘヘッ! 翡翠石(ひすいせき)ゲットだぜ!」


「なっ⁉︎ やめて‼︎ この子達はみんな大人しい子なんだから‼︎」


「何言ってやがる⁉︎ 現にこいつらはさっき、俺達を襲って来たじゃねぇか⁉︎」


「そ、それはあなた達が急に大きな声を出したから……でもあたしが居れば大丈夫だから!」


「召喚士でも無ぇのに、何を根拠に言ってやがる⁉︎」


「そ、それは……」


 証明出来る証拠が無い為、反論出来ないジア。


「構わねぇ、お前等! こんだけ魔獣が居りゃ魔石取り放題だ! やっちまえ‼︎」


「おー‼︎」


「ヒャッホー‼︎」


「早いもん勝ちだー‼︎」


 男の号令により、一斉に魔獣達に斬りかかる男達。


「グアオオー‼︎」


「キエエエー‼︎」


「ヒヒーン‼︎」


 抵抗する事無く、次々に倒されて行く魔獣達。


「や、やめて……その子達は悪く……」


 目に涙を浮かべて、弱々しく訴えるジア。


「オイ! いいのか、ジア⁉︎ みんな倒されちまうぞ⁉︎」


「魔獣達はジアの命令を守ってるんじゃないのか? なら解除してやるんだ‼︎」


「で、でもそんな事したらこの子達、あの人達を襲い始める……」


 ジアがためらっている間にもどんどん数を減らして行く魔獣達。


「……めて……」


 スッと立ち上がるジア。


「やめ……やめて……やめて…………やめろおおおー‼︎‼︎」


 ジアが叫んだ瞬間、声と風が混ざり合ったような強烈な衝撃波がジアより放たれる。


「ガハッ‼︎」


「カッ!」


「グウッ!」


 その衝撃波を食らった男達の半数が、気を失い倒れてしまう。

 辛うじて意識を保っている男達が驚愕する。


「な、何だ今のは⁉︎」


「何かの魔法なのか?」


「でも、何も見えなかったぞ⁉︎」


 そんな中、後方に居たひとりの男が声を上げる。


「ああーっ‼︎ あ、あのガキ、見覚えがあるぞ‼︎」


 それに呼応するように、隣に居た男も声を上げる。


「そうだ! あの女のガキ! 確かあの時もあの妙な技で俺達の動きを封じたんだ‼︎」


 アイバーン達もその男達に気付く。


「おいジア。あいつらって確か2年前の?」


「そ、そうだわ! あの憎っくき顔、覚えてるわ! あの時あたしとアイ君を散々痛めつけてくれた奴等よ‼︎」


 それはかつて、偶然魔石の裏取引の現場に居合わせたアイバーン達を暴行して閉じ込め、最後はアイバーンに氷漬けにされた男達であった。


「オイ! 何の話だ? あいつら知ってんのか?」


 ひとり会話に入れないブレンが尋ねる。


「あんたは最初から最後まで寝てたから覚えて無いでしょ? このやられキャラ!」


「いや最後の一言、要らなくね⁉︎」


「でもあいつら、まだ服役中の筈だが?」


 そんなアイバーンの疑問を、ストレートに男達に聞くジア。


「あんた達! 豚箱に入ってたんじゃないの? 何でこんな所に居るのさ⁉︎」


「ヘッ! 退屈だったんで出て来たんだよ!」


 兄貴風の男が答える。


「脱獄、か?」


 しかし強気な兄貴とは裏腹に、酷く怯えている子分達。


「あ、兄貴〜! ヤベェっスよ〜! 俺達を氷漬けにしたあの金髪のガキも居ますよ〜!」



「そうですよ! 俺、あれ以来かき氷が食べられないんですよ〜?」


「いや、そもそも牢獄にかき氷なんか無ぇよ!」



「俺なんてあれからずっと下痢してるし」


「テメェは元々腹が弱いだろうが!」



「俺は未だに手が震えてるし……」


「テメェはただのアル中だろっ!」



 子分達との漫才がひと通り終わった兄貴が、子分達に喝を入れる。


「テメェらビビってんじゃねえ‼︎ 今回はあの時とは比較にならない程の人数が揃ってんだ‼︎」


「既に3分の1はやられましたけどね」


「やかましい! それに今回は、最強の助っ人だって居るんだ! 何も心配する事は無ぇ! とっととガキ共をぶっ倒して、魔石とガキ共を売り飛ばしてヘルートへ高飛びだ‼︎」


「そ、そうっスよね? こっちには王国騎士団さえ物ともしなかった先生方がいらっしゃるんスもんね?」


「よーし‼︎ やろうぜみんな‼︎ みんなで自由を掴み取るんだ‼︎」


「オー‼︎」


 脱獄犯達の説明的な会話により、状況を理解したアイバーン達。


「なるほど。そういう事か」


「何だか最後にカッコいい事言ってるけど、やってる事は最低よね」


「そういう事なら、遠慮なくやっちゃっていいんじゃないか? ジア」


「そうね。二度と牢獄から出たく無くなるような恐怖を与えてあげましょ」


 完全にやる気モードになったアイバーンとジアに反し、オロオロしているブレン。


「オ、オイ! まさかあの数を相手に戦うつもりか⁉︎ ざっと見ても30人は居るぞ⁉︎」


「雑魚が何人居ようがどうって事無いわよ! ひとり15人ずつ倒せばいいだけなんだから」


「ん? 15人ずつだと計算合わねぇじゃねぇか?」


「あんたは数に入れて無いわよ? 雑魚だもん」


「だから、そのひと言が余計だー‼︎」





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