code06 配属⑨
そこで高桐警部は。
なぜか少し間をおいて、言った。
「東大のキャンパス見学とかって、
行ったりした?」
「……え?」
なんの話だろうかと思った。
「高校の夏にあるだろ?
あれで東大、見に行ったりしたかなと思って」
「ああ……」
そういえば、と思い出していた。
友達の安永に連れられて、暑い中。
あの広いキャンパスをまわった、たしかに。
「行きました。友達の付き添いで」
「そうか……その時さ」
「はい」
「自販機の横で休憩してなかった? 法学部棟で」
――自販機?
掲示板のあった、あの?
「してました。暑かったから、紅茶? 買って」
「喫煙しに来たやつがいたと思うよ。ひとり」
「いました……ね……」
飲み物を取り出す人と目が合って――。
「奥に座っただろ? 立樹の前、通りすぎて」
「え……」
まさか――。
「え、高桐さんですか? あの……」
「たぶん、そう」
驚きすぎて、声にならなかった。
「……そんなことあるんですね」
「俺も思った。最初は気づかなかったけどな」
嘘だろって事、世の中には、たしかに。
そのあとも他愛のない話をして。
2時間ほどの帰り道を一緒に過ごした。
緊張は、別の意味に換装されて――。
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