code06 配属④
「あいつが居ないと静かでいいなあ」
「ホントですよ、毎日毎日。
セクハラで処罰されたらイイのに」
男女の先輩が笑い合っている。
昼下がりの道警本部、食堂。
堀口が非番なので誘ってくれた。
「立樹さんも、絡まれて大変よね。
外でも、ああなの?」
「え、いやあ……」
「大丈夫だよ」
男性先輩が、箸で鮭を刺した。
「来月、班がえするってさ。室長が」
女性先輩が驚いている。
「ホントですか」
「班長そのままで、メンバーチェンジするらしい」
「へえー……堀口のせいかな」
「どうかな。
あの調子だから。早まったかもな、班がえが」
「賢明な判断ですよ。良かったね、立樹さん」
「そう、ですかね……」
たしかに。
解放されるのは有り難いが。
愛想のない、あの警部の下ってのも。
……大丈夫なのか?
「でも、いいなー。うらやましい」
「え?」
「イケメンだよー。とんでもない腕だし」
「何言ってんだ、旦那もちが。お前はアレで我慢しとけ」
「分かってますよ。
いいじゃないですか。ちょっとくらい」
「いいから言うな」
「えー、なんでですか」
「だってだな」
ちょっと声の様子を変えた。
「あいつ。女、いるからな」
一瞬、間をおいて。
女性先輩が笑いだした。
「やだー。噂でしょ? 信じてるんですか?」
「いや」
男性先輩は笑ってなかった。
「見たんだよ、俺は」
「……うそ」
「見た、この目で。
ショッピングモールの食料品売り場で。
仲良く野菜とか見てさ。
ちょっと居ないくらい綺麗な人で……
空気がちがって見えた」
「えー。じゃあ同棲してるって、本当なんですか」
「ここ北海道だからな。東京じゃないから」
「そうか……なんかショック」
不満げに曇らせた目を。
すいっと、こちらへ向けた。
「残念だったね、立樹さん」
水を飲みかけていたグラスを置いた。
危うく、むせるところだった。
「残念て、お前。なに言ってんだ」
「えー、だって。
彼女いるなら、チャンスないじゃないですか」
「チャンスって」
「ね、立樹さん」
「いえ、私は別に……」
「あれ―? まさか、じゃないよねえ?」
思わず言ってしまった。
「そりゃ、いるんじゃないですか。
あんな格好いい人なんですから」
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