第46章:四次元斬
宝の広間で戦いは続いていた。
剣の衝突音が響き渡る。
――ギィン!ギィン!ギィン!
アレンと守護者は常人には追えぬ速度で動いていた。
他の者たちにはただの閃光にしか見えなかった。
アレンは荒い息をつき、
体は傷だらけ、衣服は破れていた。
それでも立っていた。
止めなければ――皆が死ぬ。
守護者も消耗していた。
攻撃を受け、腕を失っていた。
だがまだ笑みを浮かべて戦っていた。
――悪くないな、人間。
アレンは考えた。
――三次元斬は通じなかった…
敵は避けただけでなく、章を使える。
――奴にとって章は特別ではない…。
歯を食いしばる。
戦いは続く。
避け、攻め、防ぐ。
だが体は限界に近づいていた。
感覚が鈍り、世界が霞み、音が遠のく。
守護者が笑った。
――死にかけているな…。
アレンは後退し、体を震わせた。
その時、思い出した。
妻――エレナ。
子供――ライアンとエリラ。
弟子――レッドとブルー。
全てを。
――まだだ…。
刀を強く握る。
――ここで倒れるわけにはいかない。
気配が変わる。
刀が震え始める。
アレンは弱々しくも確かな声で言った。
――章…
守護者が見た。
――またか?
アレンは深く息を吸う。
――第三節…
気配が爆発する。
――四次元斬!
刀が振り下ろされ、
空間そのものが裂けた。
空中に亀裂が走る。
覇者たちも、アリスもそれを見た。
――何…?
守護者が目を見開き、剣を掲げた。
――第九章…終焉!
両者の技が衝突する。
空間が震え、気配が不安定になる。
だが――何かが起きた。
アレンの斬撃が勝っていた。
守護者の第九章が崩れ始めた。
――ありえぬ…!
避けようとしたが、遅かった。
斬撃が貫いた。
沈黙。
――ドサッ。
守護者の首が落ち、体が崩れた。
戦いは終わった。
誰もが言葉を失った。
やがてキアラが息を吐いた。
――勝ったの…?
シオンが死体に近づき、
マーカスも意識を取り戻し始めた。
敵は動かない。
死んでいた。
覇者たちは歓喜した。
――やった!
――アレンがやった!
アリスは急いで彼のもとへ。
治療しようとした。
だが近づいた瞬間、驚いた。
アレンはまだ立っていた。
刀を握ったまま。
動かない。
――アレン… とアリス。
返事はない。
さらに近づく。
――勝ったのよ…。
だが気づいた。
アレンは意識を失っていた。
それでも立ち続け、刀を離さなかった。
アリスは衝撃を受けた。
三十一年の人生で、
こんな光景は見たことがなかった。
――意識を失っても倒れぬ戦士。




