第38章:魔族領へ
ついに出発の日が訪れた。
アレンは背負い袋と刀を手に取り、宿を出た。
朝の空気は冷たく、街はすでに目覚めていた。
だが雰囲気はいつもと違った。
この日、遠征が始まることを皆が知っていた。
アレンはまっすぐ宮殿へ向かった。
到着すると、すでに全員が集まっていた。
覇者たちと守護者たちが馬車の前に並んでいた。
アレンはすぐにその気配を感じ取った。
レイン、カエル、セラフィーヌ――
彼らは第一の馬車の近くに立ち、その存在は圧倒的だった。
その前にはアリス。
王国の紋章が刻まれた優雅な鎧を纏っていた。
それは王家の鎧だった。
他の戦士たちも準備を整えていた。
アルドリック「元素の継承者」
マーカス「紅の巨人」
キアラ「静風の姫」
シオン「千技の賢者」
ルン「斬月」
皆、戦闘装備を身につけていた。
二台の馬車が用意されていた。
第一の馬車にはアリス、レイン、カエル、セラフィーヌ。
第二の馬車には覇者たち。
アレンもそこへ乗り込んだ。
準備が整うと、馬車は動き出した。
街を進むと、人々が叫び始めた。
――アレン!
――覇者!
――血剣!
――元素の継承者!
市民たちは覇者たちの名と異名を叫び、
多くが手を振り、幸運を祈った。
感動的な瞬間だった。
だが馬車の中では静寂が続いていた。
アレンが口を開いた。
――一つ質問がある。
マーカスが彼を見た。
――何だ?
――皆が魔族領へ行くなら…
――誰が大陸を守る?
沈黙。
そして笑いが起こった。
マーカスが答えた。
――はは…俺たちが最強だと思っていたのか。
アレンは眉をひそめた。
――違うのか?
シオンが静かに言った。
――違う。
――エルドラース大陸にはもっと強大な存在がいる。
マーカスが続けた。
――大陸を守る三つの異形がいる。
アレンは驚いた。
――三つ?
キアラがうなずいた。
――そう。大陸の要所に配置されている。
シオンが加えた。
――彼らが存在する限り、エルドラースは滅びない。
アレンは考え込んだ。
三つの異形――想像もしていなかった。
マーカスが再び言った。
――さらに王国には守護者がいる。
――誰だ?
――帝国騎士団。
――極めて強力な戦士たちだ。
――王と王国を守っている。
アレンはうなずいた。
大陸は無防備ではないと理解した。
旅は数日続いた。
馬車は止まらず進み続けた。
やがて馬車は止まった。
アリスが最初に降り、他の者も続いた。
レインが厳しい声で言った。
――ここからは歩く。
アレンは空気を感じ取った。
雰囲気が違う。
アリスが説明した。
――魔族領は数キロ先。
――馬車では近づけない。
――慎重に進まねばならない。
皆がうなずいた。
そして歩き始めた。
沈黙の中、進軍は続いた。
誰も質問せず、集中していた。
いつ敵が現れるか分からない。
アリスが先導した。
数時間後、彼らは奇妙な場所へ辿り着いた。
果てしなく広がる砂漠。
地平線まで続く砂。
アレンは思った。
――これが魔族領か?
だがアリスが言った。
――よく聞け。
――この砂漠を越える時…
――最大限の警戒を怠るな。
彼らは進み続けた。
太陽は容赦なく照りつけ、
砂は果てしなく続いた。
そしてついに――
砂漠を越えた先に広がるもの。
それが本当の危険の始まりだった。
――魔族領。




