第10章:アークテルの遺産
本の最初の数ページを聞いた後、アレンは沈黙していた。
だが何かが引っかかっていた。
――「エレナ。他の本も読んでくれる?」
エレナはアレンが持ち帰った本の一冊を手に取った。
古い紙だが、まだ読める。
読み進めるにつれ、彼女の驚きは増していった。
――「アレン……ここには炎だけじゃない。」
――「すべての元素について書かれているわ。」
アレンは首を傾けた。
――「すべて?」
――「ええ。炎、風、水、大地……それに聞いたことのないものまで。」
さらに小さな本を開いた。
――「これは違うみたい。……神器について書かれている。」
アレンは注意深く耳を傾けた。
――「神器?」
エレナは読み上げた。
――「この隠れ家にある物は、弟子たちが力を習得するために作られた。」
ページをめくる。
――「契約の指輪は、精霊や魔獣と絆を結ぶことを可能にする。」
アレンは洞窟で見つけた指輪に触れた。
――「つまり……同盟を結ぶためのものか。」
――「そうよ。」
さらに読み進める。
――「元素の腕輪は、持ち主の自然な親和性を増幅させる。」
アレンは持ち帰った腕輪に触れた。
――「つまり……炎を強化できる。」
――「その通り。」
久しぶりに、アレンは心から興奮した。
何年も孤独に鍛錬を続けてきた。
強くなる方法を探し続けてきた。
そして今――本物の知識を見つけた。
偉大な者が残した知識を。
翌日、アレンは再び森へ向かった。
地下の洞窟に戻り、慎重に探索した。
今回は目的がはっきりしていた。
さらに本を見つけ、金貨や遺物を集め、持ち帰った。
その後の日々、エレナは多くの本を読み聞かせた。
そこでアレンはアークテルの物語を知った。
伝説の戦士。
炎を誰よりも極めた剣士。
書物によれば、アークテルはランク10に到達し、異常存在に近づいた。
だが世界から姿を消す前に、この隠れ家に知識を残した。
いつか、ふさわしい者が見つけるために。
本には重要なことも書かれていた。
本来、この隠れ家は試練によって守られていた。
戦士を試すための試練。
だが年月とともに失われ、場所は忘れられた。
そして偶然、アレンがそこへ落ちた。
その夜、風が畑の薬草を揺らす中、アレンはエレナに語った。
――「エレナ。」
――「何?」
――「僕の運命を変えるものを見つけたと思う。」
彼女は黙って見つめた。
アレンは彼女の手を取った。
――「君に出会えたことに感謝している。……君は大切だ。」
エレナは静かに微笑んだ。
言葉はもう必要なかった。
その日から、アレンは新しい修行を始めた。
アークテルの書に記された方法を用いて。
炎の制御。
剣技。
元素の流れ。
彼は以前に想像した技を再現しようとした。
炎に包まれた剣。
だが今は理論と知識があった。
日ごとに強く、正確に、制御された力を得ていった。
アークテルの遺産は、彼の中で目覚め始めていた。
そしてアレンの本当の旅は――まだ始まったばかりだった。




