イベント三日目 昼3
山を降りる時にはモンスターに襲われることはなく、森に入って少しした辺りからモンスターが現れ始めた。
「狼たち、あんまり襲ってこなくなったね」
「そうだな。鳥さんに会ったのがよかったのかも」
モンスターは現れ始めたものの、こちらに気づいても近寄らず、離れて行くようになった。
「その、顔?につけてるやつのせいじゃないの?」
「お面のせい…?」
あり得る…。全身鎧の時と同じ感じなのか?
「お面…」
「ああ、今顔につけてるこれのことだよ」
「へぇ…」
さて、それは置いといて。どうやってリール達を探そうか。闇雲に探しても見つからんし…かといって目印になるようなもんはないし…。俺があいつらに見せた俺特有の物ってなんかあったっけ…………あれ?向こうはくっついて弱くなったとは言えラルナがいるんだよな?あいつなら俺がどこにいるか位すぐにわかるんじゃ?俺、避けられてね?これやっぱ探さなくてもいいんじゃ…。
「ねえ」
「…ん、なんだ?」
「グレスが探してる人って、どんな人?」
「うーむ…。色んな意味で弱い人…かな」
「弱い、の?」
「単純な戦闘能力なら強いんだろうけど、ダメだと思うとそのまんまだし、考えがまとまってないし、あと流されやすい気がする」
「弱いの?」
「弱い。まあ、一緒にいるやつは強いけどな」
「二人探してるの?」
「ああ」
一人に二人入ってる感じだけどな。
「なんで探してるの?」
「え?あー……んー………」
リールからラルナを分離させるのが目的だけど…。ここで探す理由は特にないんだよなぁ…。
「特に理由はない、かな」
「そうなの?」
「ああ。一応探してはいるけど、居場所のわからない人を知らない場所で探すのってかなり難しいんだよ。しかも相手が俺を避けてる可能性が出てきたからなおさらな」
「グレスは、嫌われてるの?」
「どうなんだろうな…。ひどいっつうか、悪いっつうか…迷惑かけたのは確かだよ」
「大丈夫、なの?」
「ああ、大丈夫だよ」
嫌われてたり、嫌だったりしたなら俺が一緒にいるって言った時に拒否したりするだろうしな。たぶん大丈夫。
「そっか…」
んー……どうすっかなあー………〈ビリ〉………ん?なんか、なんだ?今、なにかが…。
『ウソ、気付かれちゃった?』
「誰だ?(ボマーゼ、来い)」
「(う、うん…)」
『ありゃー、これでも気づかれないことに関しては結構自信あったんだけどにゃあ?」
突然、空間に捻れが現れ、その中から少年が出てきた。
「まあ、気づかれちゃーしょうがない。どうも。お初にお目にかかる、僕は時空王。過去、現在、未来、可能性の中に生きる王さまさ。気軽に時王と呼んでくれたまえ、未来の王とその家族よ」
「時空、王?」
ラルナ…覇王の知り合いか?
「うんうん。君が言うラルナは知り合いだね。僕が起こす現象に巻き込まれない人物だから、割りと頻繁に会ってるよ。……あ、そういえば彼捕まったんだっけ?道理で見かけなかった訳だよ」
「お前、いったい…」
「僕は時空王だって。でも、時空王ってなんか言い難いし語呂が悪いから僕的には時王って呼んでくれると嬉しい。なんか誰も僕のこと時王って呼んでくれないんだよね。そんなに変かな?カッコいいのに…」
なん、なんだ?こいつ…?
「じくう王…じ王…。王さまって、何?」
「ん、えぇと王様ってのは「王さまっていうのは国の頂点に立つ存在のことや、何かしらの頂点に立つ者の総称さ。国っていうのは人がたくさん集まってるところのことだよ」……」
「そうなんだ。じゃあじ王とかじくう王っていうのは何?」
ボマーゼ?お前あんまり警戒してないな?
「うんうん。当然の疑問だね。時王…時空王っていうのは、時間を操る者の頂点のことを差す称号さ。過去、現在、未来。全ての時間を超越した時の王者。それが、僕!」
「ふーん…」
「あり?あんまり興味ない?」
「グレスの方が凄そう」
「えー…。いくら王になる存在だからって、僕より凄いなんてことないんだぞ~?」
ん?
「なあ、その王になるってなんだ?さっきもそんなこと言ってたよな?俺は王になるつもりはないんだけど」
「王になるかを決めるのは君じゃなくて世界だよ。世界が、君を王者として君臨させるんだ」
「えぇ…」
迷惑…。
「迷惑とか言うなよ~。まあでも、龍の王は一体だけじゃないし、君が選ばれない未来もあるけどさ~」
「一体だけじゃ、ない?」
「そうそう。まあ、今のまま行くとその龍王には選ばれないんだけどね~」
龍王…か。
「興味出た?」
「いや…。それより、なんで俺たちの近くにいたんだ?」
「別に~。面白い人がいるなーって思っただけさ。君の未来はかなりの分岐があるみたいだったからね。…ん~、そろそろ帰るよ。君と覇王以外で面白そうな人も見つけれたし、いい暇潰しになったよ。またね」
「…またね?」
「……」
行った、か。妙なやつだったな。終始気配を感じなかった。喋ってなかったらそこにいるはずなのに気づけなかったんじゃないか?
「じ王、面白い人だった」
「そうか?俺はなんか怖かったけど」
色々見透かされてる感じがしてな…。
「またねって言ってた。どういうこと?」
「もう一回会いに来るってことだけど…。また来んのかあいつ…」
あ、いろいろ見てたって言ってたし、リール達の居場所も知ってたんじゃ…。聞けばよかったなぁ…。だからってもう一回会いたいとは思わないけど。
「さ、行こうか」
「うん」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はぁ…」
見つからない。気配のあるところへ行ったり全くないところに行ったり、歩き回ったけど剣の破片すら見かけなかった。こりゃあ、剣を使ってないか嫌われてるかのどっちかじゃないかな~?
「また、探そう?」
「ああ、うん。そうだな…」
「ねえ、今日の夕飯?はどうするの?」
「んーそうだな~………一回帰ってから考えようか」
「わかった」
さて、もうそろそろでテントだな。
「お、主達か。どうであった?」
「見ての通りだよ」
「まあそうであろうな」
「ライラ達は?」
「ああ、彼女らは…」
「彼女、ら?」
「チェストぉー!!」
「ぅお」
後ろから斬りかかられたみたいだから半身になって避け、突き出た腕を引っ張って転ばせそのまま腕を後ろ手に組伏せる。ついでに剣を投げて取れないようにし、首に肘を押し付けて足を膝で押さえる。
「ぴゅ…!?」
なんだこいつ?…殺しておくか。
「わー!ままま待ってください、グレスさん!」
「ライラか。こいつ誰だ?」
「わ、私が探してた人です!あ、首!首かかってますって!?」
「んあ、悪い悪い。ほれ、これでいいか?」
腕を離して、足をどける。
「けほっけほっ…。あー痛ったぁ…」
「だ、大丈夫?だから止めときなって言ったんだよ?」
「いやー…ここまでとは思わないっしょ?」
「そうだけど…」
「で、誰だこいつ?」
焦げ茶色の髪をしていて犬のような耳がついている。……ん?耳?
「獣人か?」
「あ、はいそうです。この子が私と一緒にパーティーを組んでくれているミリーです」
「あなたがグレス?」
「ああ、よろしく」
「ええ、よろしく。それにしてもさっきのは見事だったね。私気配消してたと思うんだけど?」
「……あー、まあ…、うん。斬りかかる時に声出してたし、剣が空気を切る音も聞こえたし、そのぉ…後ろにいるなぁってのはすぐわかったから…」
「?なに?歯切れ悪いな?」
「いや、あれ…」
「ん?んげっ…」
俺が指差す先には、当たり所が悪かったのか木の下で折れている剣がある。さっき投げた時かぁ…。
「申し訳ない…」
「いや、しょーがないしょーがない。私が不意打ちしようとしたからだし」
「でもな…」
俺が投げなきゃこうはならんかっただろうし…。
「いーっていーって、丁度ポイントたまって交換しようと思ってたところだしさ」
「…まあ、そういうことなら。んで、そのポイントってどれくらいなんだ?」
「キッカリ一万ポイント!だね」
「一万か…。そうなると、魔剣か聖剣か?」
「そ。剣が折れてなかったら魔剣化権利でよかったんだけどね」
「…すまん」
「いーって言ってるでしょ?」
「いや、まあ…」
そうじゃなくてなぁ…。
「それに、これ見たときから欲しいのは決まってたのよ」
「そうなの?!」
「そうだよ」
「えぇ…」
「…それで、欲しいのって?」
「ふっふっふ…。イエス!これよ!聖剣グラム!」
グラム…グラム?…………は?竜殺しの剣?!ふぁ?!
「これで、遂に私も簡単にドラゴンを…ふふ、ふふふ」
(あ、主…。何故だか妙に寒気がするのだが…)
(しょうがない。あれは竜殺しの剣だからな。俺とお前の天敵だ)
(なんと…そんな物を持っていたのかあの娘は…)
(持ってたっつうか今てに入れたっつうか…。なんにせよ、あれで斬られるなよ?死ぬぞ?)
(了解した)
俺もあれで斬られるとヤバイ気がするんだよな…。騎士団長のドラゴンスレイヤーとは比べ物にならんくらい…。
「ふふふふふ……ふぅ。さて、グレス」
「…ん、な、なんだ?」
「私と、戦ってくれない?」
「…え?」
「ライラから聞いたわ。あなたメチャクチャ強いんでしょ?不意打ちは失敗したけど…今度は正々堂々と勝負したいの。どう?」
「え~っと~…」
どうしよう?
誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。




