メシとクラスと魔法のすすめ
何をそんなに驚いているんだ?サービス開始から一年経ってるならSクラス位それなりにいるだろ?
《ピピッピピッ、設定された時刻になりました》
「うわっ、もうそんな時間か!」
「どうした?」
「悪い兄貴、俺、落ちるから」
早くしないと色々面倒だ!
「ちょっまっ─」
そこで視界は暗転した。
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「ふう~」
あっちから戻ってくるとなんか喪失感あるな~。今は…四時過ぎだな。
さて、今日の夕飯は何にしようか…。たしか父さんと母さんは遅くなるって言ってたから何か食ってくるだろし軽めの物を作って置いておくとして、…炒飯でも作るか。早速買い出しに行くか。
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~グレスがログアウトしたギルド内~
「ちょっとギルマス!色々説明してもらいますよ!」
「そうです!っていうかなんでログアウトしたんですか!」
「まあまあ落ち着けって。ログアウトしたのはたぶん、メシを作りに行ったんだな」
「メシって、今大事な話してましたよね!」
「そうだな~。でも本当にSクラスになってたとは思わなかったな~」
「そうよ。今確認されてる中でSクラスなのは三人でしょ?彼どうやってSクラスになったのかしら?」
現在、最高到達点であるSクラスになれたのはたった三人。それぞれ龍を単独で討伐した、王種を討伐した、亜神を退けた等の噂がある。
「そこなんだよな~」
「あの、ギルマス。グレスさんっていつ頃からこのゲームを始めたんですか?」
「うぇ?あ~たしか三週間前位からだったかな?」
「なっ…!」
「ちょっと早すぎない!?私達がAクラスになるまで二ヶ月はかかったよね!?」
順調に依頼を達成していくと大体一ヶ月でBクラスまでいくことができ、更に丸々一ヶ月依頼を達成していくとAクラスになれる。そしてその先のSクラスになるためにはなにかしらの条件が必要なのではないかと言われている。何故ならいくら依頼を達成しても一向にSクラスに上がることができないからだ。
「そうだな。確かにそんくらいかかったな」
「Sクラスになるにはなにかしらの条件があるんじゃないかって言われてるけど、実際どうなんだろ?」
「そこはアイツが戻ってからでいいんじゃないか?後二時間位戻ってこないだろうけど」
(現実にて現在、五時過ぎ)
「じゃあ、各々休憩かな。クロムはどうする?」
「俺か?コイツが起きないと俺は動けないから、気にしなくていいぞ」
「zzz…」
「んじゃ、アイツが戻って来たら伝えといてくれ」
そして各々ログアウトしていく。終始会話に入っていなかったトスは自室に戻って行く。クロムはレーンと一緒にこの場に残るようだ。
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「戻って来たぞ~って、あれ?」
誰もいない?いや……、
「あんた誰ッスか?」
一人いたわ。
「えっと、俺はグレス。グレス・ハーフだ。レーン…さん」
振り向きながら挨拶する。
「グレス…、あんたがクロの言ってたギルマスの弟ッスね?あと呼び捨てでいいッスよ。……それにしても、うーん…改めて聞くとやっぱりどっかで聞いたことのある名前ッスね~」
「そうか?」
キャストも知ってるような感じだったけど元の名前そんなにしれわたってるのか?確かにあらゆるゲームで大体それ使ってたけども。
「あ、皆は今休憩中ッス。クロもついさっきログアウトして行ったッス」
「そうか。うーんこの間暇だな、なあ何か時間潰せる物ってないか?」
「そーッスねえ…、じゃあ”あれ„でも試して貰うッスかねぇ」
「あれって?」
「ちょっと待ってて下さいッス、持ってくるので!」
「あ、ちょっと」
行ってしまった。奥に向かったな。………待ってる間、どうしよう…。
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結局皆が戻ってくるまでレーンが戻ってくることはなかった。
「レーンの奴何さがしてんだ?」
「あれを試して貰う、とか言って行っちゃったんだよね」
「あれ…」
「まさかこの前見つけた”あれ„のことか?」
「たぶんそうなんじゃないかな~」
「まあ、暇を潰すのにはちょうどいいかもね」
「やっと見つけたッス~…って皆戻ってきてる?!」
「遅かったな」
「なんかゴメングレス!なんか奥の方に放置されてたガラクタの中に埋もれてて…」
「で?何を持ってきたんだ?」
「これッス~!」
レーンが掲げた手の中には古ぼけた一冊の本が収まっていた。
「本?」
「そッス!この前皆で攻略したダンジョンでゲットしたヤツッス!」
「この本は名前だけで中身が全く読めないんだよ」
「そうなのか…。兄貴、鑑定してもいいか?」
「いいけど、多分なにも出てこないよ?高レベルの《鑑定》スキル持ちに依頼したけど、わかったのは名前だけでさ」
「そっか、《鑑定》」
「ちょっ話聞いてた!?」
魔法大全
「ん?」
説明文が無い?なんだこれ。
「なにも出なかったんだろ」
「いや、名前が出てきた」
「……それ以外には?」
「ない、なにも出てこない。文字化けとかじゃなくてなにも書いてない」
「え、じゃあ名前は?」
「魔法大全。レーンその本貸して」
「普通に見れてる……」
「いいッスけど、読めないと思うッスよ?」
「ああ、俺達でも読めたヤツはいない」
「いいから」
受け取ってから表紙をみる。確かに日本語で書かれてないな。
『魔法大全』
中身は…。
『この本を読むあなたへ、あなたは既に資格を得ている。この本は簡単に読むことが出来ないようにモンスターの言語を用いている。この本には全ての魔法が記されている。 【賢者】セロスルード』
…。……なにも書いてない?
《この本を使用しますか? Yes or No 》
…………………。
「どんな内容だったんだ?読めたんだろ?」
「兄貴、ヤベー本をみつけたんだな」
「どんな内容だったんだよ」
「内容は、なんて言えばいいんだ?…とりあえずこの本使ってみてもいいか?」
「使う?スクロールみたいにか?」
「そのスクロールを知らないけど、魔法を覚えるために使う物ならその認識で間違ってないと思う」
「じゃあ使ってみなよ。使えるならだけど」
「僕達が読んだ時にはそんな表示出なかったよね?」
「出てないな。しかもほとんどが白紙だった」
「なんでグレスの時だけ出てきたッスか?」
「さあ~」
「たぶん俺のスキルの効果…だと思う。とりあえず使ってみるよ」
《使用しますか? Yes or No 》
Yes。
《魔法大全の使用を確認。使用者に称号【賢者】が与えられます。同時に全魔法の取得が可能となりました。以後魔法大全が使用された場合使用者の選んだ魔法を自動的に取得するという効果に書き換えられます。ご注意ください》
また、こういうのか………。
もろもろの説明は次回で。




