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フィノ・アルベロア

「・・・・・・えいっ!!」


「サラさん、気合入りすぎですよ!!!」


ハヤトのアミカに対する特訓もメニューが進み、二人の試合形式の戦闘が続いていた。


「私はもう覚悟を決めたから、平気だよ!」


「・・・・・・・うう〜、あの後二人に何が・・・・・ま、まさか・・・・・・キスとかしたんですか?」


「キキキキキキキキキキキキキキキキキ、キス!?!?!?!?!?!?!?」


「アミカ、サラをからかうなよ・・・・・・・・・まぁ、抱きしめたりはしたけど」


「・・・・・・・・・・ハヤト君のばか」


二人のムードに、アミカは気まずそうに顔をそらす。


「ハヤト先輩って、結構なプレイボーイですね」


「・・・・・・・・・・本当だよ、あんなことされたの初めてで、ドキドキしたんだから」


これでは訓練にならないと判断したハヤトはいつもよりも早く切り上げた。


朝食を取っていなかった3人は駆け足で学食へと向かう。


朝に訓練や練習を行っている生徒は多く、ゆっくりしていると、すぐに講義が始まる時間になってしまうかるだ。


「・・・・・・まだ空いてるな、ささっと食べるか」


「あっ、あれって」


「・・・・・・・・フィノ?」


端っこでは、一人で食事を取っているフィノの姿があった。


「・・・・・・・・凄い量に見えるんだけど」


「あの小さな体のどこにあれだけ入るんでしょうか、凄いですよね」


「・・・・・・・・・・そういえば、フィノって大食いの男性ばかりが集まるお店で、誰も完食したことの無い大盛り料理をただ一人だけ食べ切ったっていう噂を聞いたことあるよ、真相が知りたい・・・・・・・・・・」


3人はゆっくりと、フィノに近づいていく、すると気が付いたのかフィノが頬を膨らませながら顔を上げた。


「・・・・・・・ハヤト様、アミカ様、サラ様。 朝から3人仲良くお出掛けでもしていたんですか?」


「ちょっと特訓をな。 フィノは・・・・・・・・ってよくそんな量食べられるな」


「・・・・・・・・私の体は少しだけ特殊なので、一般的な方々よりもお腹が空くんです。 沢山食べても体が成長しないのはそれが理由なんでしょうか」


「俺たちも隣で食べていいか?」


「はい、一人での食事は寂しいものがありますから、皆さんとお食事出来るのは大変嬉しく思います」


フィノの喋り方に、ハヤトには一つの疑問が浮かんだ。


「フィノって、喋り方って丁寧っていうか、優しい感じだけど、どこかの貴族の娘なのか?」


「あー、言ってませんでしたか。 私はここに来る前に、ある貴族のお屋敷で、メイドとして雇われていたのです。 そのお屋敷の御主人様はとても博識な方でした」


「・・・・・・・・それなら、どうしてここにいるの?」


「御主人様が最も信頼していた右腕と呼ばれていた方がいました。 その方が、何年もの間、一族のお金を横領していたことが明らかになりました。 その額はボストニアの国家予算に匹敵するほどの額だったんです」


「うわあ・・・・・・」


「そいつはどうなったんだ?」


「当然ながら解雇されました。 しかし、お金が戻ってくるわけもなく、雇われていたものはそれぞれ解雇されました。 中には同盟を結んでいた規則の元へ行った方々もいました。 けれど、私はメイドとして働き始めたばかりの時期で、そんなメイドを雇おうとする貴族様なんてなかなか無いのですよ」


「・・・・・・だから、学園に来たのか」


「路頭に迷った私は働き口を探して歩いていました。 そこに、リエラ様がやってきたんです」


「リエラが?」


「はい、リエラ様は私をメイドとして雇ってくださいました。 今でお屋敷の方では身の回りのお世話をさせていただいています」


「リエラと居なくていいのか?」


ハヤトの問いに、フィノは少しだけ困った顔をしながら答えた。


「リエラ様が、屋敷では主人と使用人だけれど、学園では同じ学園の生徒だから、私に気を使う必要はないとのことでした」



「二人ってどんな出会いだったんだ?」


「・・・・・・それでは、お食事をしながらお話しします」










「フィノ、ごめんなさい。 私たちのせいで」


「そんな、私こそ、御主人様のお役には立てませんでした。 ミスばかりで」


「何言ってるの」


「え?」


「・・・・・・あなたには言ってなかったわね。 私はね、あなたと同じ歳くらいの娘がいたのよ、その子は病気で亡くなってしまっだけれど、あなたがメイドとして雇って欲しいと言ってきた時に私は驚いたのよ。 あなたが娘に似ていたから」


「・・・・・・・私が、御主人様・・・・・・・マリア様の娘さんにですか」


「ええ」


アリアは我が子のように、フィノのことを優しく抱きしめた。


「・・・・・・・私たちは何とか支援してくれる貴族を探したのよ」


「見つかったのですか?」


「ええ、フィノはアルミットという貴族をご存知かしら?」


フィノは頭を回転させて、アルミット家のことを思い出した。


「あの、優秀な魔導士を輩出し続けているアルミット家のことですか?」


「ええ、私たちはそこの傘下に入るの、あなたのことをメイドとして雇う約束も取り付けたわ」


「・・・・・・・・・私はやっていけるでしょうか」


「大丈夫よ、アルミット家のお嬢さんはとても優しい方だから、それに、フィノと同い年なのよ」


「そうなのですか」


フィノは珍しそうに顔を上げた。


周りには年上しか居なかったこともあり、年が同じ女の子というのが新鮮だった。



「・・・・・・仲良くできるでしょうか」


「それはフィノ次第ね。 あなたが仲良くたいと思えば、向こうも仲良くしてくれるはず。 だから、仲良くなりたいって伝えてみなさい」


「はい」


2人の話が途切れると、ドアが優しくノックされた。


「どうぞ」


部屋に入っていたのはメイド室長と金髪で、クリクリとした丸く透き通るような綺麗な瞳、背の高さはフィノと同じか少し小さいくらいだろうか。


母親らしき女性の後ろに隠れて、少女は様子を伺っている。


「ほら、リエラ。 お友達に挨拶しなさい」


「は、はい。 私はアルミット家 継承第1位のリエラ・アルミットですわ。 よ、よろしくお願いいたします」


「フィノ、さっき言ったことやってみなさい」


「・・・・・・・ふぅ、私はフィノ・アルベロアと申します。 以前はメイトをさせていただいておりました。 えっと、リ、リエラ様と・・・・・・・・・お友達になりたいです」


「・・・・・・・・・」


フィノは恥ずかしそうに、顔を赤くして俯いた。そして、フィノが恐る恐る顔を上げると、リエラも同じ顔になっていた。


「わ、私もお友達はルティアとサラという子しかいませんの」


「・・・・・・・このフィノ・アルベロアはリエラ様に一生、お仕えいたします」





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