#3 秩序のない令和にドロップキック
「あーーーめんどくせーーー!!!」
ガチで面倒臭い。これが神の仕事なのだとしたら今すぐ上層部にクレームだ。
っていうか天界の上層部ってなんだ?
「智乃、どうしたの?」
「貴方が大声で騒ぐなんて珍しいわね」
「おうおうお二人さん聞いてくれよオレの愚痴をさ」
生贄が来てくれた。ナイス。
「YouTube関連の監視と粛清をやってて」
「うん。智乃はデジタル関連得意だもんね」
「現世から報告が上がってきたチャンネルを順番に見てたらさ」
「ああ、勝手に報告が来るやつね」
「迷惑系YouTuber多すぎてクソムカついたんだよ!!」
はあ、マジムカつく。
本当に倫理ガン無視で自己中心のサイコパスが多すぎる。
「美術館とか博物館とか平気で騒ぎながら撮影してるクソとかマジで正気を疑うんだよ。ああいう奴の背中にドロップキック入れてやりたいわ」
「迷惑だよねー」
「今やYouTubeで収益を上げられるんでしょ? 本当に稼げればなんでもいいのね」
アナログ人間の環にも伝わったのでよし。
あー、でもマジで腹の虫収まんねえ。真夏のセミ並みに収まんねえなあ。
「うーん。わたしだったら、鉄アレイぶつけて脊髄損傷させるかも」
「え、それヤバくないか?」
「半身不随は免れないでしょうね」
「迷惑系YouTuberって社会のゴミだから、それくらい許されるよー」
「というか、ゴミなら焼却処分してもいいんじゃないかしら?」
「えー、人間ってどうやって燃やすの?」
「昔は磔に縛り付けてたわ。人体が燃え切る前に煙で窒息することもあったのよ」
「怖っ!!」
「その様子を撮影してTikTokにアップしたらバズるかもー」
「お前も怖っ!!」
「いや、二人とも、もうちょい現代的にいこーぜ。時代は令和だぞ」
「そうね。デジタルに罰を下すのがスマートだと思うわ」
「たとえばスマホから怖い音声と映像が流れ出して止まらないとか、どうかな?」
「怖い音声ってなんだよ」
「みんなのうたの不気味なオープニングがスマホと部屋の壁と床に照射されて一斉に流れ出すの。子供の可愛い合唱のラララ~が大量に同時再生されちゃう」
「結愛、ごめんなさい。私、別にそれを怖いと思ったことないのよね」
「えー、環ちゃんつまんないー」
「結愛黙れ」
「あっ、わかったわ。その迷惑系YouTuberに迷惑な密着撮影をすればいいのよ」
「おっ、それいいな! 十人くらいで囲んで大声で実況しながら撮影してやれ!」
「SNSもトイレもお風呂もベッドも全部密着してネット上映ー!」
「用を足す様子まで事細かに実況させるといいわね」
「○○○○する時の手つきや声や表情やおかずも実況しちゃえー!」
いいねえ! ちょっとイカれてるけど高まってきたぞ!
しかし、現実で人を集めて密着実況させるのはオレの力でも厳しいだろうな。
となると迷惑実況処刑を成立させるには――
「わかった!! 迷惑実況の幻聴を24時間あいつらに聞かせてやればいい!!」
「貴方、もしかして天才? ちょっと今すぐ誰か一人試してみなさいよ」
「智乃頭よすぎー、好きー、惚れちゃうー」
「惚れたついでに良い感じの幻聴の案を出してくれよ」
「いいよ」「いいわよ」
よし、二人からの尖ったアイディアに期待だ!
どんな案をくれるんだろうな、楽しみ!
…………
「なんと!? 朝から3回も排便だー!? しかも便秘! キツめの便秘です!!」
「おーっと!熟女お姉さんの幼稚園スモッグコスプレ画像で○○○○しているー!」
…………お前らそんなこと考えてたのかよ。引くわ。クソキモ。




