#1 法律も規則も名誉も何でも神には勝てない
あれ……?
お客さんとは珍しいですね。
ここに迷い込んでしまうほど彷徨っている魂さんでしょうか。
では冥界へお送りするための手続きをしますので、ちょっと付いてきていただけますか? 担当者が向こうにいるものでして。
……え、あなたは誰かって?
これは失礼しました。歩きながらで恐縮ですがご説明します。
ここは天界。
日本という国を統治する三人の神が住まう居城と思ってくださいね。
そして、わたしは結愛。
三人いる神のうちの一人です。
……え、そうは見えない?
まあ、そうですよね。見た目だけは10代半ばですし。
これでも結構頑張って重い仕事をしてるんですよ。
腐敗した政治家の魂を抜いて従順な傀儡にしたり、性犯罪者を即座に始末して死体を警察署に引き渡したり、ブラック企業の役員を洗脳して真人間に更生させたり。
そんな感じで毎日現世をより良い場所にすべく働いています。
あ、たぶんそこの居間に二人ともいますね。
残りの二人のうちの片方が、冥界送りのプロフェッショナルです。
「智乃ー、冥界にお送りする魂さんを連れてきたよ」
あ、一瞬面倒臭そうな顔をしたけど、仕事だからと1秒で気持ちを入れ替えて立ち上がったのが担当者です。そう、あの金髪ツインテのロリ美少女がそれです。
ダルそうな雰囲気出してますが大丈夫です。
お、怯えないでくださいね。彼女はただの合法ロリです! 無害です。
「おい、今オレのこと合法ロリ扱いしただろ!」
「実際そうじゃん」
一人称がオレなのも怖いですよね。でも大丈夫です。
根は優しくていい子です。
「っていうか急に仕事を割り込ませるな!今めっちゃ大事な仕事してたんだよ!」
「何してたの?」
「LGBT理解増進法の条文を弄ってた。不当な差別はあってはならない、っていう手ぬるい文章があったから、差別は決して許されない、に書き換えてたんだよ!!」
「え、すっごく真面目に仕事してるね」
「……まあいい。そいつを間違いなく冥界に送ればいいんだな?」
「うん」
「じゃ、ちょい準備するから待ってな」
智乃は真面目な子で仕事熱心です。
あなたのような魂を冥界に送る役目を担ってもう数十年、神になってからは――
「おい! 乙女の年齢を晒すな!!」
「え、今年で(ピー)歳になるBBAが何言ってるの?」
「晒すなっつってんだろ!!」
「若作りで今っぽい言葉遣いしちゃって可愛いね」
「お前のその栗色ふわふわ髪の毛ほわほわ癒しガールスタイルも大概だろ!!」
「金髪ツインテのイキり放題ガキスタイルよりはマシだよー」
「お前マジで潰すからな」
あら、お見苦しいところをすいません。
神の仕事って大変なので、こうやって無駄話で息抜きも必要なんです。
いやあ、それにしてもちんまりした低身長貧乳ロリ美少女がせっせと儀式の準備をしている様を見ると癒されますねえ。低賃金で児童労働をさせているかのような興奮と高揚がたまりません。ミニスカ和服っていうのもジュニアアイドルのコスプレ系イメージビデオ撮影感があって背徳感マックスです。あなたもそう思いません?
……ええ、そうですよね! 思いますよね!
理解者がいてくれてわたしは嬉しいです!
「……おい、そこのお前、オレの準備見ながらいかがわしいこと考えたな」
あっ、やば。
小声でお話ししてたのにバレた……
「許さねえ……今から冥界までの途中にお前が尿管結石を2回連続で排石する刑に処してやるからなああああーーー!!!」
うわあああ担当者を怒らせちゃったあああ……!
ごめんなさいごめんなさいすいませんでしたーーー!
「オラア! 血尿垂れ流しながらあの世に行けえええええ!!!!」
ごっ、ご武運を…………!




