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  作者: 桃花
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失敗からの幸せ

ああ、また破棄されるね。

そう思いながら目の前に立っているカップルに呼び出された時点では考えられたがそれが確定しただけだ。婚約者は貴族の3男なので家を継げないから婿養子に入るか仕事で身を立てないといけない。我が家は領地が広いので誰も跡継ぎがいない領地の管理人として婿に入ってくれる予定だった。

ある程度人を動かす才能も騎士としての才能も有ったので彼に白羽の矢が立ったのだが、残念だ。

「そう。婚約破棄したいのね。別にかまわないけれどアルテル様は今後どうされますの?」不思議に思ったので聞いた見た。彼が連れてきた彼女は貴族の娘だけれども我が家のように婿取りすることはない。寧ろ彼女は嫁に行か無いといけない立場なのだ。

だからこそ彼女は優秀な男たちに接近して媚を売っていた。跡取り息子たちは婚約者がいるので悪名が立たないようにしていようだったので大丈夫だと思っていたが、我が家は一般的に有名ではないが、婿希望の人たちには有名どころで普通に常識人ならわかるはずなのだが・・・

あまりにも男漁りをしすぎて女子から嫌われていたので情報がいかなかったのかと推測される。

推測を終えた私に返答がないので彼らを見てみると驚いたような顔をしている。なぜだろう?

「何を言っているんだい」そうやっと答えてたアルテル様。何を言っているって何を指しているのだろう?

「何をってアルテル様はお忘れでしょうか?我が家の領地の一部を管理代理をしてもらうというお約束は私との婚姻を持って。というお話でしょ?婚約破棄したらその話も消えてしまうのが道理。それとも私と別れても我が家の領地に受け入れられるとでも御思いで?」

聞き返すとスーッと青い顔になっていくアルテル様。私の話を聞いてアルテル様に問いただすような視線を向けている彼女。

話はこれで終わりだろう。さて、部屋に帰ってゆくっくりしようかと席を立つ。

ああそうだ。長兄に言われていたことを伝えないと。そう思い出して振り返る

「そうそう。ロイお兄様からの伝言を忘れていたは。アルテル様に領地経営を学ばさせるために学園の費用を出させていたが、婚約破棄をするなら今後かかる費用は払わないし今までこちらで負担していた費用と婚約破棄に対する賠償金を合わせて請求させてもらう。無論、君の家にも君自身にも。だそうですよ。それではさようなら」伝達もちゃんとしたので用はないと部屋に帰る

「これで5回目だわ」そう部屋で呟いた。

3歳・6歳・10歳・13歳・今回の16歳ともに親の都合と私の将来を心配した親心で結んだものなのだが、政略結婚というか婚約者というかそういうものに縁がない用で今回見たいな感じのは初めてだが相手側の都合でたびたび破棄されている。破棄されるのに慣れたというかなんというか。

今回の件も彼女と良い仲になり始めて来たので両親と長兄に知らせる手紙を出していた。その中に今回を最後に婚約者は要らないと伝えてある。

その言葉で夏休みに1人で帰った(本来ならば婚約者である彼も一緒に帰らないといけないが、彼はそれを拒否したので決定打だったようだ)時に家族会議が開かれた。騎士として領地の警護についている次男や私と同じように婿を取って領地の一部を代理管理をしている長女夫婦・次女夫婦も参加した会議で私が継ぐはずだった領地は私が生活するために建てる屋敷と敷地以外は次男・長女・次女が分担して管理するという話で収まった。現状でもきついのにと困惑している兄姉の姿が印象的だった。

私の屋敷は一人暮らし用にこじんまりしている家で良いとお願いしているし、次女やその他使用人も私付きの数人だけで他は負担をかける兄や姉の仕事を助けるために移動してもらう事にしている。私付きの人たち何故か優秀な人材が多いから私が抜けた穴をフォローするには十分だろう。

良い香りで思考が途切れる。テーブルの上には私が好んで飲んでいる紅茶が有った。使用人の誰かが入れてくれたのだろう。帰ってきた時はまだ日が高かったが今は完全に沈んでいる辺りかなりの時間をボーッとしていたのだろう

明日からは最低限の授業を受けたら引きこもろう。私に与えられた屋敷は私が気に入って使っていた別荘を改装してくれると言う話なのでそこで花をいじりながら過ごそう。

あそこならハーブを数種類植えていたし私が気に入っていた花も植えていたから心穏やかに過ごせるだろう。

ただ山の中の別荘なので物資輸送が面倒だから学園にいる間に生活必需品を転送する簡易転送門の設置と登録の書類を用意しないと。後、家族内の伝達用に手紙とか小さな物を送るための転送陣付の小箱を作らなくては行けない。

寂しさを感じている時間はないかも知れないし煩わしい噂に思考を取られないからいいかも

今シーズンのパーティーは私の婚約破棄について盛り上がるだろうから引きこもらない他の家族には悪いが暫く人と接触するのも我慢できないだろう。

母はガーデンパーティーを開催するのが好きだから屋敷にいれば余計な視線を集めるだろうから山奥に引きこもりするのに否定的な母は反対したけど押しきったから回復したら母が好きなものでも送ってあげないと。

そんなことを考えながら食事を取らずに布団に入った。

夢では昔のことを色々思い出した。今さらになって淡い恋心や愛情を感じていたんだと思い出したが、離れてしまった心は戻らないから。あがいた方が滑稽だと自分を慰めて制服に袖を通す。

いつも通り早朝の授業を受けた後は転送陣と門の登録についての本を読んだり書類制作について教員に聞いて準備した。クラスでは腫れ物を扱うような雰囲気だが数日経つと普通に戻った。友達たちも気を使っているのか知らないが元婚約者とその彼女が出没する場所にはいかないし噂をしなかった。そもそも彼が居なかったら行かない場所が多いから用事が無くなったら足が遠のいたといった方が正しい。

予定通りに元婚約者たちより1年早く卒業した。友達には連絡できる心境になったら連絡するから。と私の小箱と対になった小箱を送った

山に引っ込んでからは花畑を弄ったり山を散策したりと貴族らしからぬ活動をしているが好きでやっているので問題ない。山に散策しながら木の実を採取したり薬種を採取したりしている。それを乾燥させて砕いて保管する。ある程度の溜まれば兄姉達に連絡して必要物品と物々交換してもらっているし。親しい人達が好きだと言っていた花を押し花にして栞に仕立てたりして時折送っている。ハーブたちも乾燥させてブレンドした物を送っていたりしている

町中と違ってゆっくりした時間の中で過ごすのは好きだから母が心配してと言う手紙は困っている。親としてはいつまでもと言う気持ちが有るのだろうが、残念ながら神様の元に召されるまでここにいようかな?と思っている私には良い迷惑立ったりする。

ふと押し花を作るために使用していた辞典が魔力を帯びているのに気がついた。山奥にいるので花や木の実に魔力を帯びているものが有ったがそのせいだろう。魔力に鈍感な私が気づくのだからかなりの量だろう。何かあれば困るので長兄に渡した方が良いだろうがいつも通りだとダメな部類だろう。致し方がないので、使用人に声をかけて山を降りることにした。屋敷は守りの術を掛ければ良い使用人だって私のお守りで山に入ったのだからたまには里に降りたいだろうと言う配慮からの行動だ。

里に降りて人に触れながらあぁこういうのもたまには悪くないな。と思いながら実家に戻る。

家族には連絡していたが門前払いされそうになった。しっかりフード被っていた私も悪いが有れば無いなと思ってしまったが致し方がないないだろう。何せ3年ぶりに実家に戻ったのだから

私がいた頃からの使用人が私と私付に気づいてくれたので家には無事に入れたが、汗を落としてください。と浴室に連行されて磨かれた。そのお陰で人目に出れる位になったのだが、手加減をお願いしたい。嬉々として私付も参加して磨きあげられたのでぐったりしながら兄に会うはめになった。

少し笑いを帯びた雰囲気で迎えてくれた長兄に辞典を渡して処分をお願いした。数日滞在するように言われてしまったが他の家族に会うためだと言われたら帰れない。

ゆっくりしながら姉達や次兄にあって談話した。色々話したが意図的に避けられている話題が有ったが。

まあ、そこは致し方がないので気づかない振りをしておく

彼らの話は友達から何となく聞いている。私との契約を一方的に破棄した彼は彼女以外との婚姻を結べない状態担ったそうだ。支援してくれた家の娘を手酷くふった男に次はなかったのだろうし。彼女は近づくと婚約者や伴侶を寝とられると言うか噂が流れて彼を切れない状態らしい。自業自得だろう?と言っていたのが印象的だ

一応文官としての資格は取れたらしいが好条件で雇ってくれる人はいなく居ても彼女との噂で解雇となったりしているから逆恨みに気を付けるんだよ。そう言われていたが、本当に成るとは思っていなかった

次兄が付き添い山の屋敷に帰ることになったのだが、移動のための物品を買い足すため商店街へ

危ないからと喫茶店に私と私付を置いて何やら買いにいった次兄を見送りお小遣いでおやつを楽しんでいたら凄い勢いで迫ってきた人がいた

みすぼらしいとは言えないが人前に立つのはどうだろう?と言う格好の女性だ。何か店に用があるのだろうと見ていたら私の目の前に来て

「何のつもりよ!」とけたたましく騒ぎだした。誰だろう?と何だろう?と混乱している私を他所に店の人と私付が連携して女性を店から閉め出した。

次兄が戻ってきてから家で夕食を食べてから思い出したと言うか気がついた

「あの人達は我が領地に住んでいるんだ」と呟いたら以外との大きな声だったらしく父にあの人達は?と聞き返されたので、今日有ったことを食後の一服の時間に教えたら

苦々しい顔をしてそうか。と言っていたが何かあるのかしら?

面倒事でなければ良いがと山に帰る。山の生活は変わらず他の兄姉達や友達から手紙貰ったり依頼を得たりしている。

あの婚約破棄がなかったらこうならなかったのだが、それも過ぎたら笑える思い出だなと振り替えれるくらい自分の中で消化出来始めてきた。

まだ、人と会うのは怖いがそのうち友達だけには会いに行きたいな。そう思えるようになってきた




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