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隣人



天音

「こ、こんばんは…あの、何か?」


「あ、いや

お隣さんですよね…確か…」


天音はそう言われて気がついた


「あ、あー、こんばんは

びっくりしました」


びっくりしたのは突然話しかけられたからでもあるが

この男の風貌が

いつも見ているお隣さんからはまるで想像もつかなかったからだ


いつも朝エレベーターのところで見かける

この男は

かっこよくスーツを着こなし

いかにもできる男風なイケメンだ


部屋はすっきりとモノトーンでまとめてあり

無駄なものはなく

1人時間を充実させていそうな…そんな人


それが…

頭はボサボサで、スウェットもシワがよってて

ザ・ズボラさんと言った感じなので

すぐにはお隣さんとは気づかなかった


天音

「…で、私に何か用ですか?」


隣人

「いや、これ忘れてたから…」


そういって

スーパーのレジ袋を差し出した


天音

「…えっ!?

あ、それ私が買ったやつだ…」


そういえば

今、私が持っているものといえば

スマホだけ…

買い物袋は…持ってない


「あ、あのすみません

ありがとうございます…」


袋を受け取ると深々と頭を下げた

恥ずかしくて…顔まで赤くなった


(買い物をして、買ったものを忘れるなんて

何しに買い物に行ったんだって話だよね…)


隣人

「いえ、そんな気にしないで

俺もたまにあるんで…」


そういってにっこりと笑う


「…とはならないよ笑

なかなかこれ忘れる人いないかなって笑」



天音

「…ですよね

ちょうど袋に詰め終わった時に友達からLINEきて…

返事を返してたら、そのまま…」


そうあの時、麻央がネイルの道具を部屋に置いてきたとLINEがあったのだ


隣人

「そっか笑 それなら忘れることもある…かな…」


そう言ってまたにっこりと笑うその頬は

少し赤くなって腫れている…


さっき打たれてたのは

この人だったのか…


どうしてそうなったのか…

気にはなったが

聞くわけにもいかず見て見ぬ振りをした


この隣人のおかげで

後からスーパーに忘れ物をとりに行くなんて事をせずに済んだのは本当にありがたい


しかし…

家が隣なので

このまま一緒に歩き続けなくてはいけない…

ほんの5、6分と言ったところだが

話すこともないのでとても長く感じた


こういう時はとりあえず、自己紹介か…


天音

「私、立花天音と言います。

お名前伺ってもいいですか?」


隣人

「俺は、水瀬祐希、よろしくね」


天音

「よ、よろしくお願いします」


祐希はクスッと笑って


祐希

「そんな緊張しないで

お隣さん同士だし仲良くしよう?」


(仲良くって?お隣さん同士で何するの?)


朝の印象は

クールで無口なイメージだったけど

意外とフランクなタイプのようだ


ようやくマンションにつき、玄関を開ける


天音

「ありがとうございました

おやすみなさい」


祐希

「そんな何度もお礼なんていいよ

おやすみ」


天音

「あ、ちょっとここで待っててもらえますか?」

 

(そういえば、あれがあったはずだ

この前、熱を出した時に買ったやつ…)


天音はリビングの引き出しを開けた


「あったあった」


天音

「お待たせしてすみません…

あのこれ、よかったら…」

 

『冷えピタシート』

 

祐希

「あぁ、これ…

ここ冷やす用ね笑」


そういって腫れた頬を指でなぞった


「天音ちゃん、優しいんだね

ありがとう、冷やすよ

じゃあおやすみ」


天音

「おやすみ…なさい」



「………天音ちゃん?」


いきなり「ちゃん」付け?

(……まぁ、いいけど)


天音は部屋に入り

さっそくハーゲンダッツを食べた  


「こんな時間にアイス…だめだよね

でも、いっか…今日くらい

だって今日は私の誕生日だもん」

 

「おめでとう…私」












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