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940、ザザックの目覚め

ザザックは医療所から個室に移されてあった。

ザザックはまだ目を覚まさなかった。

ラミナはそのベッドの横にある椅子に座って、本を読んでいた。

そこへ、ドアのノックがありラレンが入って来た。

「どうだ?ザザックは?」

ラミナは首を横に振った。

「まだ、開かないわ」

「そうか」

ラミナは言う。

「さっき、ユリトスから手紙が届いたわ」

「なんて書いてあった?」

「ガンダリアとのあいだの峠を越えるまで三日かかったって」

ラレンは呟いた。

「三日か・・・そのあとはどのくらいかかるんだろうな?」

「三日か・・・」

そう言ったのはザザックだった。

ラレンとラミナは驚いてザザックの顔を見た。

「ザザック!」

ザザックは言う。

「俺は何日眠っていた?」

「今日で四日目よ」

「そうか」

ザザックは起き上がろうとした。

「ぐっ」

ザザックはまた体を横たえた。

「これは魔剣の呪いか?」

ラレンは言った。

「そうだ。イッチャンによれば、まだ数日は療養が必要らしい。呪いが解けるまではイッチャンの治療を受け続けなければならない」

「イッチャンとは誰だ?」

ラミナが答えた。

「医者よ」

「そうか」

ザザックは天井を見ていた。

「俺は悪魔に魂を売っていたのだな?」

ラレンは言う。

「ああ、だが、信じられないことにあの九頭が、聖剣士となって、おまえを目覚めさせてくれた」

ザザックは言った。

「ああ、覚えている。あいつは大した物だ。俺が負けるとは・・・しかも悪魔になってまで強くなったのに、それを上回るとは。信じられん」

ラレンは言う。

「ザザック、おまえはまだ、西に行く気はあるか?」

ザザックは一笑に付した。

「愚問だ。行くに決まっているだろう」

「なぜだ?」

「そのほうが面白いからだ」

その言葉を聞き、ラレンとラミナは目を合わせた。そして、笑った。

「「はははははは」」

ラレンは言う。

「俺たちはやっぱりまだアトリフの一味だ」

ラミナは言う。

「ガランがドラゴンの秘宝を手に入れるのを阻止するためとか言うかと思った」

ザザックは言う。

「それもあるが、そもそもそう思う根底にはそうするほうが面白いという思いがある。逆に、ガランを倒して、秘宝の謎が解け、この旅が終わってからの方が自分がどうなるか、少し怖いな」

「ザザックにも怖いことがあるのね」

ラミナが言った。

と、そのとき、窓ガラスを叩く音がした。

外を見るとカラスがガラスをつついている。

ラミナは窓を開けてカラスを入れた。その足には手紙があった。

「ユリトスからだわ」

ラレンは言った。

「見せろ」

ラレンはラミナから手紙を奪うと、すぐに読んだ。

ザザックは言った。

「何が書いてある?」

ラレンは言った。

「ガンダリアでは、ミラル王妃がガランに攫われたそうだ」

「ほう、大事件だな」

ラレンは言う。

「それから、まだある。ユリトスたちはベランを仲間にしたらしい」

「ベランを?ふはははは、それは面白いな」

「それから、もうひとつ。五味、九頭、加須はもうすぐ死ぬ。岩のドラゴンの予言らしい」

ザザック真剣な顔になり言う。

「あいつらが死ぬのか?ひとりは聖剣士だぞ?」

ラレンは言う。

「ああ、だから、早めにドラゴン・レセンに会って転生の予約をしなければならないらしい」

「転生の予約?」

「こっちの世界での人生を全うするためだそうだ」

「それならば俺たちも早めに行かねば乗り遅れてしまうな」

ザザックがそう言うとラミナは訊いた。

「何に乗り遅れるの?」

ザザックは言う。

「この旅のクライマックスさ」

ラミナは、「ふふふ」と笑った。

ラレンは言う。

「安心しろ。俺たちは乗り遅れない」

「なんだ?ラレン、その顔は?なんか策でもあるのか?」

「ある。召喚師バードルに俺たちをガンダリアに送致してもらうのさ」


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