935、俺たちを仲間にしてくれ
五味と九頭と加須は森の中の道を馬に揺られながら暗い顔をしていた。
「俺たちがもうすぐ死ぬ?死ぬのか・・・」
「ああ、死ぬんだ」
「じゃあ、なんで俺たちはこの世界に来たんだ?」
「また死ぬためか?」
「レセンには会わなくちゃならない。絶対に」
「ガンダリアにいるのかな?」
五味は言う。
「俺の父さんと母さんがいるはずだ。いや、同じ顔をしたガンダリア国王夫妻が」
加須は言う。
「緊張するか?さすがに両親と同じ姿をした他人に会うのはおかしな気分がするものだぞ」
九頭も言う。
「ああ、父ちゃんであっても父ちゃんじゃない。母ちゃんであっても母ちゃんじゃない」
五味は空を見て言った。
「この世には、いくつの世界があるのかな?その各世界にひとりずつ同じ人間がいるのかな?」
加須は言う。
「こっちの世界の美好麗子とか会ってみたいな」
九頭は吹き出した。
「ははははは、たしかに」
加須は言う。
「出来杉には会いたくないな。あいつがいたら、絶対あいつが主人公になって俺たちは脇役になるに決まってる」
九頭は言う。
「あいつが勇者で、麗子姫を救い出し、ガランを倒して世界を救う?」
加須は笑う。
「ありそう。ああ、嫉妬だな、ジェラシーだな」
五味は言う。
「なにふたりでくだらない妄想をしてるんだよ?」
加須は言う。
「じゃあ、五味、あのふたりが本当にこっちの世界にもいたらどうするんだよ?」
五味は言う。
「べつにどうもしねーよ。ただ、忘れるなよ。俺たちは国王だぞ」
九頭と加須の顔が引き締まった。
九頭は言う。
「国王・・・か・・」
加須は言う。
「逃げ出したけどな・・・」
五味は言う。
「俺たちは逃げ出したけど、最後は王らしく死のうぜ」
九頭は五味の顔を見た。
「王らしく・・・?」
加須も五味の顔を見た。
「王らしく、死ぬ?」
五味は言う。
「とにかくレセンだ。あいつを見つけなくちゃ、前世に転生できない。あいつを探そう」
九頭は言う。
「ああ、そうだ、レセンに会わないと俺たちは完全に死ぬんだ」
加須は言う。
「でも、完全に死ぬってどういうことだろう?」
九頭は言う。
「岩のドラゴンが言ってたろ?意識がなくなって転生するんだよ。前世のことは一切忘れてどこかの世界で赤ちゃんから始めるんだ」
加須は言う。
「人間に生まれるのかな?」
九頭は言う。
「ドラゴンかな?」
加須は言う。
「いや、カエルかもよ」
九頭は苦い顔をする。
「それは嫌だな」
三人がそんな話をしていると、先頭のユリトスが馬を止めた。
ユリトスの前には道を塞ぐように、十人のドラゴンが立っていた。
ユリトスはその中で一番体の大きいドラゴンを見て言った。
「いまさら何の用だ?ベラン」
ドラゴン・ベランは言う。
「俺たちを仲間にしてくれ」




