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ミステリ作家の異世界日記――小説を書こう、異世界で  作者: 黒井影絵
第7章 クオート、野望の軌跡

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043――オールアバウト・クオート

「提携……ね。それはどの程度のかな?」

 ゲンマは口元に笑みを浮かべつつも、ジューベーを見つめる目線は鋭く、瞳の虹彩は赤く光っていた。

「それはこれからの交渉次第、と考えております……お互い都合というモノがあるでしょうから」

 ジューベーは先程までの巫山戯た雰囲気を抑えて落ち着いた対話の姿勢を取った。

「そもそも、ボクらは君たちのことを良く知らないからね。知らない相手とは取引のしようがないよ」

「我々は本日の交渉において全権委任を受けて臨んでおります。国家機密以外のご質問であれば全てお答えしましょう」

 ゲンマは口端を吊り上げ、目を細めた。

「ふーん。じゃあ、まず……君たちって何者なのさ?支配種族ってことは人間じゃないんだよね?」

「その質問に答える前に……あなた達はどう予想してますか?我々が何者かについて?」

 俺たちがその質問の真意を捉えかねていると彼は言葉を付け足した。

「あなた達が我々が何者か知らない様に、我々もあなた達のことを良く知らないのですよ。未知なる相手のことを知りたいと思う気持ちは我々も同じです」

 見た目は人形だが、中身は支配種族だけあって高度な知性を有している様だ。

「加えて我々が国外の人間からどう思われているか、それも気になる所です……ではカンナヅキ先生、あなたはクオート族について、どう予想されてますか?」

 この世界の住民の認識だとクオート族は突然降って湧いて出た謎の種族だ。

 文献でもその出自に関していくつもの仮説が述べられているが決定的なものはない。

「俺は“星の民”から派生した種と考えているが……」

 理由としては彼らが星の民と正式に同盟関係であること、それとクオート族が決まった肉体を持たない種族である節がある点だ。

 それは俺が夢を通して見た星の民の娘であるスピカの特徴とも合致している。

 彼らは地上に降りてきた星の民か、もしくは現地民との混合種ではないかと予想していた。

 ……もっとも説明が面倒なのでスピカの話は表には出せないが。

「ボクは別の星から来た寄生体の一種かと思ってたけど」

 ゲンマは軽い口調でそう言ったが、本気で信じている感じはしなかった。

「ほほう、興味深いですね……では、デン君、あなたはどう予想されてますか?」

 ジューベーが名指ししたことによって皆の目線がデンに集まる。

「短い期間でギルド長の信頼を得た、次期幹部候補の推理を是非聞かせて欲しい」

 デンは苦笑した。

「それは気が早いです。私はまだ大した冒険はしていないのですから」

「その若さで、プリムムダンジョンの制御室を発見し、叡智の試練をクリアしたのなら十分な功績です。王都のダンジョン解放に関しても大いに貢献したと聞いてますよ」

「まぁ、どれも表沙汰には出来ませんがね」

 デンは冒険者ギルドからかなり高い評価を得ている様だ。

 その高い知性と能力を考えたら当然だろう。


「これは推理というより、思考実験ですが……私が単身で、この世界に来たらどうしただろうか、と考えた事があります。エルダーエルスに召喚されたと仮定して、この世界でどう振る舞うだろうかと。悲観的な予測をすると、最初は冒険者として活動するでしょうが、早い段階で支配種族との良き縁に恵まれなければ、事業は行き詰まり……やがては列強諸国から離れて人間領域に自分の都市を作る可能性が高いと見ました」

 デンは胸ポケットに刺していたボールペンを手に持ってクルクル回しながら話している。

「蛮族から住民を守り交易によって都市を繁栄させ、統治が安定した段階で次のステップを考えると思うんです」

「次?」

「ええ、どうしたらシステムに列強諸国として認められるか、です」

 この言葉に会議室に緊張が走った。

「列強入りするには支配種族の存在が不可欠です。そして、人間は支配種族には認められない、手っ取り早いのは既存の支配種族の助力を借りるという策でしょう。しかし、それだと単に現列強の属国と化すだけの可能性が高い……だが、自由のためだけに諦めるにはシステムの機能は魅力的すぎます……特に近代科学の恩恵に浸りきった我々には抗えない誘惑です」

「じゃあ、どうするんだ?」

 デンは無邪気な微笑みを浮かべた。

「私なら、こう考えますね。どうすれば()()()()()()()()()()()()()()?と」

 デンの発言に部屋にいた全員がその発想に唖然とした。

「クオート族は人間が作った支配種族、私はそう考えています」


「くくくくく……面白い。実に面白い……ギルド長が高く評価するのも頷けます」

 ジューベーは沈黙を破り、呟いた。

「しかし、今の推理には論証がありませんね?全て自分ならこうする、という推測でしかないですが?」

「貴国の情報が少ないですからね、憶測するしかないでしょう。ただ強い証拠ではないですが気になるのは“醤油”の存在です」

「ほう」

「クオートから輸入されてくる製品から推察すると宇宙由来にしては地球の文化が色濃く感じます。地球出身の……おそらくエルス共和国で召喚された日本人がメガロクオート設立に深く関わっているのは確実でしょう」


「大変結構。実に興味深い――さて、答え合わせをしましょう……カンナヅキ先生とデン君の推理を足したモノが正解です。クオート族は地球から召喚された人間四人と星の民の技術が合わさって創造された種族です」

 マジなのかよ。

 そんな重要機密聞いちゃってもいいのか。

「この世界の者からすると、星の民も地球人も異星人という点で大差ありませんよ……デン君の推察通り、召喚された四人は人間領域に都市を作って、星の民と同盟を組み、彼らからマザーサーバを譲り受け、そこに仮想世界である夢幻界を構築し、自らの記憶と人格をデジタル化したペルソナを住人として投入しました。それが、歴史上最初のクオート族です」

「なるほど。物理的な実体を持たない、AI、人工知能の類ですか」

 デンの口調に特に驚いた感情が見えないのは予想の範囲内だったのだろう。

「ええ、その発展系と理解していただければ……その四体のクオート族から遺伝的アルゴリズムによって数を増やし、支配種族として夢幻界から人間を管理をしてメガロクオートを支えてきたのです」

「へー、だから龍大陸では、あまり姿を見かけないんだ」

 ゲンマは顎に手を当てて感心している。

「現在、この大陸において外装を得てメガロクオート国外で活動しているクオート族は、私たち外交官とシステムのエージェントを合わせても十人くらいでしょう」

 ここまでジューベーが話してくれたことは、これまでの彼の国の秘密主義を考えると、相当国家機密に踏み込んだ内容のはずだ。

 全権委任とはいえ何故今、俺たちにこの情報を公開をするのか。


「君たちがボクらと信頼関係を結びたいと本気で考えているようなのは分かったよ……さて、噂によると、メガロクオートの上層部は相当揉めていたって聞いたけど……そろそろ、その話はしてくれるのかな?」

 ジューベーは微かに失笑を漏らした。

「ゲンマ様なら……理由は言わずとも見当が付くでしょう?」

「また、あの下らないメシア発現率かい。もういい加減にして欲しいんだけど……」

「お気持ちは理解してますが、そうも行きません。一応我が国の礎ですから」

 メシア発現率?なんじゃそりゃ。

「科学の皮を被った妄想に基づいた妄言の類だよ……」

「これは手厳しい……ご存知かと思いますが、システムに支配種族として認定されるにはメシア論を国の中枢に据えて国是として取り組むという制約があります。我々は星の民の協力の元、マザーサーバに向こう十万年単位でこの惑星にメシアが出現する確率――“メシア発現率”を演算させております」

「だって、そんなのどうやって計算出来るっていうのさ?その説明じゃ全然納得できないよ」

「ぶっちゃげ、ソレガシもアレだけは意味がわかりませんがねー……」

 わかんねーのかよ。なんか素が出てるし、お目付役のナジャも笑顔が引きつっている。

 科学なのか、科学が発達しすぎてオカルトになってるの良くわからんな。

「でも、システムがそれで認可を下したのなら、ある程度は信頼性できる数字ではあるのでしょう……ともかく、我が国が黎明期の時分に、そのメシア発現率を他の列強諸国にも通達したところ……かなりの不興を買いましてね……祖国は孤立することになりました」

「確か、あの時の数値は『0.0002165%』だっけ?そんなのを熱心なメシア論者たちに言ったらどうなるか……少し考えればわかるでしょ?」

 ひっくいなー。

「当時の執行部の弁護をする訳ではないですが……アレは逃亡派のリーク、暴走なんです。元々公開する予定はなかった……我が国もけっして一枚岩じゃないんですよ……おかげでアレ以降は国内のメシア教徒のバランスは崩れて逃亡派が主流となり、他の列強との協調が困難になりました」

 逃亡派はメシアの降臨に懐疑的で他の惑星への進出を考えてる一派だな。

 今までの情報を纏めると、最初は列強諸国は同じメシア論を信じる者として多少は連携していたが、メシア発現率の発表によって、メガロクオートは龍大陸で孤立して大陸の外と交易する羽目になり、エルダーエルスは無茶な召喚を繰り返すようになった……不和の原因を振りまいたとしてガーラに疎まれても仕方がない。

「もう既に嫌な予感がするんだけどさ、メシア発現率が関係してるってことは数字に変化があったってことだよね?」

「ええ……龍王国アースガード自治区が制定したあたりのタイミングで……メシア発現率が『0.8%』に跳ね上がりました」


 なるほど。

 “メシア出現には期待できない”から、“ワンチャンあるのでは?”くらいの確変が起きたと。

 しかし、アースガード自治区制定以後といわれても、かなりいろんな事が起きてるから要素の絞り込みは困難だぞ。

 防衛に成功した事がキッカケなのか、それとも集められた子供達にメシアの血に連なる者がいるのか、もしくはアースガード自治区という場所自体が重要なのか……まぁ、それはいいや。どうせ俺が生きてる間は関係ないからどうでもいい話だ。

「……メガロクオートが設立してから、ずっと誤差レベルの変動しかしてこなかった数値がここまで大きく変動したのは初めてのことです……執行部は不眠不休で議論を重ねて……出た結論は『同盟』です」

「逃亡派は抵抗したんじゃないの?」

「逃亡派も弱体化中なので……彼らの宇宙進出計画も長年の間、行き詰まって停滞している状態です。ここで選択肢を狭める政治的判断は流石に愚策でしょう」

 ここまでの話だと科学を基盤にしているだけあって判断は戦略的なようだ。

「それに逃亡派といっても全員がメシア論者という訳ではないんです。宇宙開発自体にロマンを抱いているものが大半なんで……研究開発部門の予算削減はしないと公式に宣言したところあっさり承認が通りました」

 メシア論を巡る状況はどこの国でもあまり変わらないようだ。

 結局重要なのは信仰ではなく今の生活維持ってことだ。


「そっちの国内事情は分かったよ。ところで、メガロクオートは他の大陸と交易してるって噂を聞いたんだけど、魔大陸にも手を伸ばしているのかい?そうだとしたら向こうの状況が知りたいんだけど……」

「別大陸の情報に関しては国家機密でソレガシの口からは言えない。しかし、然るべき理由があるのなら条約提携後に正式な手続きで情報提供することも吝かではない。今言えるのは我が国メガロクオートは世界各地に中継都市を設置して長年の間、現地勢力と交易を行なっている、と」

「ちゃっかりしてるなぁ……で、そっちは、どの程度の提携を考えてるのさ?先に言っておくけど、通商条約以上の取り決めは姉さんの許可が必要だよ」

「執行部は軍事同盟も視野に入れているが……これはそちらには益がない故、ソレガシはオススメしない。そもそもガーラ様が許諾されるとは思えぬ。まずは交易と民生品の技術提携からスタートしたい」

「魔大陸で現在進行形で揉め事に巻き込まれているとか言わないでよ?とりあえず、姉さんに話は通しておくけど」

「ありがたし。ガーラ様には我々が龍王国に敵対する意思はない事と、今までの温情を感謝する旨をお伝えくだされ」

「温情?」

「ええ……我々が大陸外に販路を広げていたことは当然ご存知であったと思われます。これまで我が国が自由に活動出来たのは赤龍族の大いなる温情の賜物であったと、執行部一同は感謝の念を表明しております」

「良くいうよ……どさくさに紛れて既成事実にしようとするなんて……本当に抜け目ないね」

 ゲンマは深く息を吐いて、ジューベーは不敵に笑ったように感じた。


 交渉は第一段階を終えた。これから細部をどうするかをメンバーと文官たちで詰めて行く必要がある。

「さて……外交官としての仕事はこれで一区切りとして……」

 緊張から解放された周囲が一息ついたタイミングでジューベーは俺に向き合った。

「カンナヅキ先生にソレガシの個人的要望があるのだが……」

 次に何を言いだすんだと身構えていると、彼はインベントリから何かを取り出し、九十度のお辞儀とともにそれを俺に突き出した。

 それは、正方形の四角い厚紙だった。


「サ イ ン く だ さ い !!!」


 無駄に力の入った迫真の声に場の空気が数秒凍った。


 俺がその場でサインを書いて渡すと、ジューベーはさっきまでのやり手外交官の顔をかなぐり捨てて「やったぁ、サイン貰っちゃったー」と小躍りした。



「ほほー、入会費が五百Cで年会費二千五百Cと……」

「今なら入会特典で、選べるオリジナルアイテムも付きますよ」

「先輩!もう!抜け駆けはずるいですよー!」

 領事館の食堂でジューベーは森川のファンクラブ入会案内を真剣に聞いている。

 王都のファンクラブで出版した巻物はメガロクオートにも流れていて、仮想空間である夢幻界でも俺の著作の海賊版が流通しているようだ。

「通商条約が提携し次第、ロイヤリティはキチンとお支払いしますよ!」

 ナジャは俺のサインを左手で抱え右手で握手をしながら力説する。

 そんなのアリなのか……まぁ、国交がない状態だから仕方がないか。


「まったく、このカカシはギルド幹部としての自覚があるのかしらね?」

 食堂内の売店で俺のグッズを大人買いしているジューベーにアイディは苦言を零す。

「そっちだって、モジュロー殿を前にした時の舞い上がり方は少しどうかと思いましたよ」

「と、当然でしょ!?だってあの大魔導士モジュロー様よ?公開文書の『精霊召喚の運用術』は魔術師界隈では必読文献として古典的名著の一冊に加えられていて――」

 二人はお互い唸りあっている。仲良いなー、ギルド幹部。

 それにしてもモジュローも著作があったのか。


「じゃ、行ってくるから、後はよろしく」

 ジョイスは厨房で夕食の準備をしているローラお嬢さんの料理人だった男に声をかけていた。

 携帯型のストレージボックスに食事を詰めて、どこかに行くようだ。

「どこに行くんだ?」

「ああ、例の隠し坑道だよ。お前たち、ギルドに希少鉱石の採取依頼したんだろ?職員経由で食事の差し入れ注文があったから、ちょっと出前に行ってくる」

 ジョイスはストレージボックスを外に留めていたアシスト付きマウンテンバイクに括り付けて、さっそうと走り出していった。



 先日モジュローにチョコレートケーキを作ったら例によって気に入ったのか、今日も食後のデザートに作るように要求された。

 それと、思いついて事前に試した事があって、ナス子に頼んで錬金術スキルでワインを蒸留させるとブランデーに、板チョコを精錬させると製菓用チョコレートが、それぞれ入手出来た。

 ちょっと贅沢だが、今日は客人もいるし、これらの材料を使ってガトーショコラを作ってみよう。

 デンに魔石で稼働するハンドミキサーも作って貰ったのでメレンゲも作り放題だ。

「あ、新しいレシピですか?楽しみだなぁ」

 料理人はメモを片手にニコニコしながら近づいてきた。



 メガロクオートの使者とギルド幹部を交えた夕食会は和やかなムードで進行した。

 ジューベーは人形の体でも見事なテーブルマナーで豪華ディナーを優雅に食し、実際にあるのか分からない舌鼓を打った。

 場の雰囲気が変わったのは食後のデザートをコーヒーと共に出した時だった。

「あなたは何て物を作るのですかっ!!」

 モジュローはガトーショコラを一口食べるなり目を見開いて涙を流しつつ突然キレ出した。

「こんな……こんな罪深い物を食べてしまったら……一体明日から何を食べて生きていけばいいんですか!!」

 お前は何を言っているんだ……そう困惑していると、同じエルス族のアイディの様子もおかしくなっていた。

「……ふへ……ふぇ……ふへへへへ……」

 目の焦点が合ってなく口はだらし無く開き恍惚としていた。

 何が起きているんだよ……ただのチョコレートケーキだぞ……。

「さっきまでギルド幹部の自覚がどうのとか言ってた人とは思えませんね……と、言いたいですが、確かに、このケーキは美味しすぎる。正に罪の味ですな」

 ジューベーは冷静にコメントする。

「これで、製菓スキルも料理スキルも持ってないってのが不思議なんだよなぁ……」

 クロード先輩は首をひねっている。

「そうであるのか?」

「ああ。本人はレシピ通りに作っているからと説明してるけど……それだけとは思えないんだが……」

「……それは面妖ですね」

 ジューベーとクロード先輩は疑問を感じているがレシピは大事だぞ。

 それに良い材料と適切な道具、特に材料は希少素材を贅沢に使っている。

 逆に、これで美味しくならない訳がない。

 一口食べたローラお嬢様は、

「この味は……確かにエルス族が我を忘れるのも無理はないでしょうね……彼らの甘味への情熱は常軌を逸しているので……このレシピを巡って人死がでてもおかしくはないですわ」

 この世界の連中って……黄金の林檎といい、食べ物が原因で殺し合いしすぎじゃないか?

 しかし、理性的なエルス族がここまで変になるのは異常事態だ、このレシピは封印した方がいいのか。

「はぁーー?!なんですって!!もう二度とこの奇跡の一品を口にさせないと、あなたはそういうのですか???」

 俺の呟きを聞いたモジュローは必至の形相で詰め寄ってきた。いや、落ち着けよ。

「まさか!――これが……あなたの言った“罰”なのですか……そんな……何て残酷な!!こんな酷いことを……!!」

 モジュローは血の涙を流す勢いで号泣している。

 いや、もう作らないとは言ってないだろ、いい加減落ち着けっての。

「このケーキ美味しいねー、おかわりはないの?」

 ゲンマは呑気に通常営業だった。



 来客たちが自治区を縦横無尽に満喫していると、ゲンマを通してガーラの判断が伝えられた。

「姉さんの考えでは、技術提携は時期尚早で通商条約で様子見だって。まぁ、妥当かな」

 今までのことを考えると全面的に信用出来ないって感じか。

「で、条約制定となると、ボクらもメガロクオートに赴く必要があるんだよね……」

 メガロクオートはレイドの件もあって、取材の足がかりを作るためにも行ってみたいとは思っていたが……悩んでいる顔しているな。問題があるのか?

「なんか、彼らの態度に変な余裕みたいなのがあるのが気になるんだよね……引っかかるなぁ……」

 ふーん。残念だが素人の俺には難しいことは分からないぞ。

「君も無関係じゃないんだよなぁ……テル・ムーサは何か知らない?」

 ゲンマがテルさんに話を振ると、彼女は一拍おいた後返答する。

「今、私からお知らせできることはありません」

 その機械的な口調に俺たちは若干の疑念を感じたが、条約締結のためにメガロクオートを訪問する事はなし崩し的に決定したのであった。


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