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ミステリ作家の異世界日記――小説を書こう、異世界で  作者: 黒井影絵
第10章 勇者バトルロイヤル

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075――表彰式

 ゲームが終わった今、彼らは呆然とした表情で、あの荒野に立ち尽くしている。


 俺は、まず、彼らの健闘を称えた。


「この世界では初めての形式の戦いを良く戦い抜いた。残念ながら、俺の眷属には敵わなかったようだが、彼は支配種族を除けば、龍大陸でも最強クラスの一人だ。悪く思わないでほしい」


 俺の言葉に戦士達の顔は一様に青ざめる。


 そう、彼の強さは人間から見ると異常なレベルだが、この龍大陸では支配種族と戦って勝つのは簡単ではない。

 十分な準備と支援を整えれば、エルス族やクオート族なら何とか勝てるだろうが、エルダーエルスや、ましてや龍族には、どれだけ策を弄しても不可能だ。


 人間種は、それほどまでに……弱い。


 彼らは、擬似的な死を通して、この世界の厳しい情勢の一端を漸く実感できたのだ。


「優勝者は、英雄候補クーフリン」

 俺がそう宣言すると、彼の足元から装飾が施された台座がせり上がり、群衆を見下ろすまで伸びた。

「素晴らしい戦いぶりであった。何か望みはあるか?叶えられるモノであったら出来うる限りの事はしよう」

 俺の問いかけに彼は首を振る。

『命も、戦いも、勝利も、全ては我が神への供物。全ては御心のままに!』

 このやりとりは予め決められたシナリオの通りだ。

「それでも、よき戦いを示した者には、それに相応しい褒賞を与えねばならない。では、優勝者と優秀賞を勝ち得た者は表彰式に招こう……それ以外のものは、外に宴の準備が出来ている。そこでゆっくり休息を取るがいい」


 荒野にいたプレイヤー達は次々に外へと転送されていった。


 転送先では、冒険者ギルドから派遣されたスタッフによって、参加賞である記念品詰め合わせが全員に配られている筈だ。

 故郷に帰った際の良い土産になるだろう。



 俺が、ダンジョンに足を踏み入れると、ロビーの背景は荒野から神殿のような建物に変えられていて、死闘を勝ち抜いた戦士達は皆跪いて待っていた。

 俺は神殿奥の壇上に歩みを進め、彼らに言葉を掛ける。

「勇猛なる戦士たち、よく参られた。今から表彰式を行う。名を呼ばれた者は前に出てくるように。では、まずは特別賞から……解説者特別賞、戦士ライアン!」

 緊張した面持ちで、人間領域の名も無い戦士の一人が立ち上がり、おずおずと壇上に上がる。

「其方は能力的には不利な戦いにも関わらず、冷静に周囲を観察して、持てる力と経験を生かし、全てのステージで優秀な成績を収め、何より仲間、チームへの貢献を優先し続けた。その功績は戦士を職業とする者の模範となるに相応しいと、解説者の高い評価によって、ここに特別賞を与える」

「ははーっ!!ありがたき!」

 俺は手を合わせて跪く彼に銀貨とヒヒイロカネのナイフが入った袋を手渡した。


「では次!審査員特別賞、姫騎士クックロココ、魔導師クーデルラ、薬師ヤン・デルシア……代表してクックロココ!」

「ははっ!!」

 彼女は魔大陸トップクラスの武芸者の一人として、堂々とした歩みで壇上に上がった。

「其方らは少人数の若いチームにも関わらず、他を抜きん出る優秀な成績を収めた。これは日頃の努力と秘めたる愛の力で成し遂げた成果と審査員であるシステム管理者達の支持を受けた。よって、ここに特別賞を与える」

「光栄にございます……」

 俺が三人分の褒賞が入った袋を手渡すと、彼女は頬を赤らめて「くっ……こんな、間近で……眼福……!」と呟いた。

 なんなんだ。


「そして、上位入賞者の表彰に入る……優秀賞、勇者カケル!」

「は、はいっ!」

 名前を呼ばれたカケルは若干ギクシャクしながら壇上に上がった。

「表彰状、其方は本大会において大変優秀な成績を収めた。よってこれを賞する」

「ははーっ!!」

 カケルは九十度のお辞儀をしながら賞状を受け取った後、顔を上げ……

「……あの……一つ、お聞きしてもいいですか?」

 ん?なんだなんだ?改まって。

「……次は……次の大会は、何時、行われるのでしょうか?!」

 俺が予想外の質問に数秒固まっていると、壇の下から戦士ライアンが声を上げる。

「俺も知りたい!次が有ったら絶対参加するぞ!!是非とも神の眷属と再び戦いたい!」

 その言葉にカケルは真剣な顔で頷く。

「俺は……自分が強者であると、自惚れていた……しかし、万全でないとはいえ碌な抵抗もできずに退場した……勝てるビジョンは全く見えないが、再戦の機会があるなら是非とも参加したい!」

 俺はどう答えたモノか悩んだが、勇者のキラキラした眼差しに負け、

「今後の予定は未定だが、前向きに検討する」

 と、玉虫色の回答でお茶を濁した。


「次、最優秀賞、魔術騎士プルフラス!」

「……御意」

 魔族リーダーの一人である彼は、洗練された所作で壇上に歩み寄る。

 俺が彼の栄誉を称えて、表彰状と賞品を賜ると、彼はこちらに一歩近づいて小声で囁いた。

「我が主人より御方への書状をお持ちしました……どうかお納めください」

 そう言うと、彼は懐から巻物を取り出し、すばやく渡した。

 ……インベントリはシステムに管理されて封印されている筈だが……どうやって持ち込んだ?

「我々も、冗長なる時を過ごす長命種。いくつかの抜け道には通じております。この書簡は必ず、貴方様に直接手渡しするようにとの密命でございます」

 俺に?赤龍族ではなく、か。

 そんな切り札があるなら優勝も狙えたように……どう言うつもりだ?

 俺が怪訝な顔をしているのを見て彼は薄く微笑んだ。

「我ら魔族、高貴なる方にお仕えする身として、いと尊き御方の粋な戯れに水を差すような真似はいたしません。我らの流した血と汗が御方の慰みになったならば幸いでございます……」

 旧支配者といっても、一枚岩では無いだろうが、彼らは交渉に関しては十分手慣れているようだ。

「それと……この戦いで魔族セアルは全てを失いました。恐らく持てる力を全て使って暴れる可能性が高いでしょう……どうか、ご自愛ください」

 その事は予測済みではあったが、「忠告に感謝する」とだけ言うと、彼は満足したように頷き壇上を去った。


「そして――優勝者、英雄候補クーフリン!」

 俺の呼びかけにクーフリンは悠然と歩みを進め壇上に上がった。

「英雄候補に相応しい戦いであった。これからも英雄の名に恥じない戦いを期待する」

「了承した」

 俺がトロフィーを渡すと、クーフリンは高く掲げた。

「皆の者、未来の英雄を讃え――喝采せよ!」

 俺の呼びかけにその場にいた者も城壁外で、この表彰式の中継を見ている者達も、歓声で持ってこの勝利を称えた。



 俺がダンジョンから出て自治区に帰還すると、早速揉め事が発生した。


 新興魔族のリーダーであるセアルが暴走して、ちょっとした乱闘が起こっていた。

「このまま、何の成果もなしに帰れるかぁ――!!!!」

 オクルスが離反した配下から聞き出した情報によると、彼はキマリスの元上官で、キマリスが完全にこっちのコントロール下にあるという事態だけで、配下の大半は怖気付いたとのことだ。

「元々、キマリスの協力を前提に作戦を立てていたようで、完全に当てが外れたのでしょう」

 配下に見放されて孤軍奮闘するセアルは魔大陸の勇者達の共闘を前に追い詰められている。

「下等なニンゲン風情が!全員ブッ潰してくれる!!」

 セアルはインベントリから、黒い宝石を取り出す。

 以前キマリスが使ったのと同じ模様の石だが、あれよりも巨大で禍々しい瘴気を放っている。

「ヤバイ!!離れろ!!」

 奴は宝石を手の内で握りつぶして、砕いた。

 俺は城壁の上から警告の声を上げるも、一瞬遅く、セアルから発せられる波動で勇者たちは吹き飛んだ。


 セアルは嘗てのキマリスと同様に肉体は数倍に膨れ上がり、巨大な角の生えた黒い魔物に変わり果て、その姿は、まるで伝説の“魔王”のようであった。


 あー……めんどくせぇなぁ、もう……俺は内心そう思った。


 ――ゴアァァァァ!!!


 セアルが放った咆哮は衝撃波のように空気を切り裂き、近くに立っていた勇者達は一瞬で恐怖に囚われ身動きが出来なくなった。

 それだけではなく、彼から発せられる瘴気は黒い霧となって周囲に広がり、辺りは闇夜のように薄暗くなる。

 この怪異に多くの者が怯え震え上がった。

「あんな強力な上位魔族が現れるとは……この世の終わりだ……」

 カイセットは絶望の表情で頭を抱えている。

 俺たちでも、魔物状態のキマリスを倒せなかったからな。

 あれより強いなら、相当ヤバイ。


 眼下では、ヒーローチーム・アルスターがセアルに対処しているが、クーフリン抜きでは彼らでも抑え込むのが精一杯な様子だ。

 魔大陸の勇者達は完全に怖気付いている上に、まだ硬直が解けそうにない。


 ギルド長とクロード先輩を見ると二人は落ち着いた表情で、ジローの肩に手を置き、語りかける。

「ジロー、修行の成果、“真の勇者”の力を、奴らに見せて来い」

「はっ、“究極奥義”のお披露目の機会が向こうからやってくるとはな!おめー、やっぱ持ってるよ」

 この二人が任せる、というのなら大丈夫なのだろうな。

 ジローは決意を固めた顔でしっかりと頷いた。

「行ってきます!!」

 彼は躊躇いなく城壁から飛び降り、セアルに斬りかかった。


 ――ガキィィィィーン


 ジローの斬撃とセアルの爪が打ち合って生じた衝撃波が周囲に広がり、それによって、勇者達の拘束が解けた。


「ひっ……ひぃぃぃぃー!!」

 ザマイ・マサラ王国の勇者ハルトは屁っ放り腰で真っ先に逃げ出した。

 人間領域の戦士ハンスは冷静に配下に撤退を指示した。

 オチュード達は腰が抜けて動ける状態には見えないが、配下は既に撤退済みで、救いの手を差し伸べる者は皆無だった。

 動ける勇者の中でも、まだ闘志を失ってない者達が遠隔から攻撃スキルを放っているが、ダメージを与えているようには見えない。

 そんな彼らも悔しげに安全圏に撤退する。

 勇者リツは拘束が解けても、その場から動く気配はない。

 怖気付いているというよりは、目の前の戦いから目が離せないといった風だ。


 ジローの攻撃はセアルのHPをじわじわと減らしている。

『調子に乗るな!!この小僧めがっ!!はぁ――!!』

 セアルが背中に力を込めると、背後から小さな黒い使い魔が無数に飛び出し、ジローに襲い掛かった。


 ――危ないっ!


 皆がそう思った次の瞬間、

「ジローさん!!」

 咄嗟に飛び出したミノリが彼の前に立ち、結界を貼って、攻撃を防いだ。

「ミノリさん――!」

「私が、守ります……だから、奥義の準備を……!」

 彼女の言葉を聞いたジローは、目を閉じて剣を構えたまま静止して精神統一を始めた。

『はっ!!魔源解放した上位魔族に対しては、如何なる攻撃も効かぬ!!無駄無駄無駄ぁ!!!』

 セアルは結界に対して、滅多打ちし続け、ミノリは苦悶の表情で必死に結界を維持している。


 彼女が地面に膝をつくのと同時に、ジローの目が不意に見開く。


「【究極奥義・カリブルヌス】!!」


 ジローの剣が眩い光に包まれ、辺りの瘴気は一瞬で掻き消える。


 この聖なる輝きにセアルは狼狽える。


『バ、バカな……その光は……!!!』


「うぉぉぉぉ――!!!!」


 ジローは雄叫びを上げながらセアルに向かって高くジャンプし、脳天目掛けて、剣を振り下ろした。


 辺りは静寂に包まれ、その場にいた全員が、固唾を飲んで決着を見守る。


 静止したままのセアルの黒いシルエットはジローが着地すると同時に左右に引き裂かれ、その巨体は地面に沈み、煤のように粉になって風に飛ばされていった。


 セアルの姿が消え、人間領域の戦士達が最初に歓声を上げ、釣られるように大歓声が湧き上がった。


 俺たちはジローとミノリに駆け寄る。


「よくやった、ジロー!」

 ギルド長とクロード先輩は肩を抱いて労った。

「皆さんのおかげです!」

 周囲の声援を笑顔で受け止めていた彼は不意に真顔になって、ミノリに向き合った。

 ミノリは首をかしげる。

「ミノリさん……」

 ジローは跪いて彼女の手を取った。

「これからも……俺の隣に、一緒にいてくれますか?……必ず、幸せにします!」

 彼らしい不器用なプロポーズの言葉だ。

 ミノリの顔は赤くなった。

「は、はい……こちらこそ……不束者ですが……よろしくお願いします……」

 二人は見つめ合い、幸せそうに抱き合うと、周囲は歓声でもって囃し立てた。

 この場にいる全ての者が、勇者と聖女のカップルに惜しみない祝福を与えた……


 かと思いきや――


「ふっ……ふざけるなぁぁぁあ!!!」


 異を唱えたのは、要塞お花畑王子のナナヒだった。

 その隣には、あの性悪エミリも腕を組んで立っている。


「こんな……こんなの認められるか!!……聖女様の騎士は、私であるべきなのに……何故だー!何故だ何故だ何故だ!!!こんなの間違っている!!」


 いや、間違ってるのは、お前の思い込みだろうよ……。

 俺たちは一気にゲンナリした。


「これも全て邪神の仕業か!!こんな事、認めてなるものか――!!!」

 彼はそういうと、懐から何か取り出して地面に叩きつけた。


 それは、


 俺の新刊だった。


「邪神の教典……こんな邪悪な物!!この世から全て消し去ってやる!!!」


 ナナヒはそう言うと、本に油を撒いて、


 ゲームの参加賞の一つである使い捨てライターで……


 ――俺の本に火をつけた。


「はぁーはっはっはっはぁーーっ!!!ざまぁみろ!!邪神め!!!貴様の思い通りになんてなるモノか!!!」


 俺は信じられない思いで、燃え盛り灰になりつつある本を眺めていた。


 周囲の温度が急激に下がり、辺りに不穏な気配が漂いだす。


 ――本を燃やしてはならない。

 それは許されざる大罪だからだ。




 古来、紙が作られる前まで、貴重な情報は口伝えで伝えられるのが基本であった。

 つまり、人こそが本であった。


 紙が作られるようになって、人は自らの記憶と魂をそこに記すようになった。

 それすなわち、本は人の分身でもあるのだ。


 人は本であり、本は人である。

 本を燃やすと言うことは人を燃やすことと同義なのだ。


 一冊の本との出会いが人の運命を左右するならば、

 本を焼くということは、後の世代が持てる未来への選択肢を一つ失うということ。


 本を燃やしてはならない。


 良い本も悪い本も。


 人間に未来を見通す力がない以上、

 我々は子孫の為に一つでも多くの選択肢を残さなければならない。


 現在の狭量で身勝手な判断で、

 安易に選択肢を狭めるようなことをしてはならないのだ。


 人類の未来にどんな運命が待っているかなど、

 今現在の愚かな我々には全く分からないのだから……


 ――本を燃やすことは大罪である。




 俺は怒りに震える手でナナヒを指差し――宣告した。


「地獄に……落ちろ……!」


 すると、


 次の瞬間、ナナヒとエミリの足元に黒い穴が開き、二人は声を出す間も無く奈落の底へと落ちていった。


 ――えっ?


 俺が怒りから覚め、我に返った時には、もう黒い穴は塞がり、あの二人は跡形もなく消え去っていた。


 いや、ちょっと待て。


 確かに思わず「地獄に落ちろ」とは言ってしまったが……そういうつもりじゃ……いや、本気で頭に来ていたのは事実ではあるが……。


 そうだ、これは俺の力じゃない。


 きっと、あいつらは本をこよなく愛するお館様の怒りに触れたんだ。

 そうに違いない。うん。


 俺が何気に目線を横に反らすと、死んだ魚のような目のミノリと目が合った。

 彼女は黙って首を振って呟いた。

「いつかこうなると思ってました……」

 彼女は達観したような表情で空を見ている。


「当然の報いですね」「先生の本を燃やすなんて!ありえませんよー!」「うんうん」「作者の目の前であんなことするなんて。アイツ、ばっかじゃないの?地獄行きは妥当ね!」

 背後のメンバー達も、事の成り行きに納得したかのように頷いている。


「まぁ、仕方ないんじゃない?あの二人、かなり悪いカルマが溜まってたみたいだし。底が抜けちゃったんだねー」

 ゲンマも何故に、この異常事態を普通に受け止めてるんだよ……。


 魔大陸の勇者連中は青い顔で震えながら立ち尽くしている。


 あー……あああー、

 この重い空気、すっげー、気不味いなぁ……と、俺が頭を掻いていると……


「うわぁぁっぁぁぁあぁぁあーー!!!」


 突然、悲鳴のような慟哭が響き渡った。


「ももも申し訳!申し訳!!申し訳ございませんーー!!」

 驚いて声の主を見ると、カイセットが這いつくばって泣き叫んでいた。

 急にどうした?何であんたが謝ってるんだよ。


「あの、あの男は!あの男だけは!!前もって殺しておくべきでしたぁー!!!この自治区に訪れる前……いや、龍大陸に足を踏み入れた時……いや、いっそ出会った時点で!!息の根を止めておくべきでしたぁーーー!!!」


 ……何をいきなり、無茶苦茶な事言ってんだよ。


「私に勇気が無いばかりに!!能力の低い戯け者と侮ったばかりにー!このような許されざる罪を防げなかった!!あああ!!!!あああああああ!!!」


 どう見ても、彼はマトモな状態ではない……どうしよう……。


「いや……そんなことはないよ……」

 俺は跪いて、彼の肩に手を置くと、彼は「ひぃぃ……!」と小さな悲鳴をあげた。

「あんな言葉の通じない奴と短く無い期間一緒に行動してたなんて、それだけで道中色々大変だったんだろう?あなたがそれ以上責任を感じて気負う必要はないよ」


「うっ……うっ……うわぁぁぁー!!お許しください!お許しくださいぃぃ!!」


 俺はできる限り、彼に気を使って労ったつもりだったが、カイセットはなお一層怯えて泣きじゃくった……俺が何をした?


「大丈夫だよ」

 錯乱状態が治まらないカイセットの振る舞いに困惑していると、ゲンマが横から口を挟み彼の背中に手を置いた。

「あの子達は取り返しのつかない悪い事をしたから神の罰を受けたんだ。いい子にしていたら、そんなことは起きない、大丈夫だよ」

 カイセットはしゃくりあげながらゲンマを見上げる。

「それに、彼はボクの友達。ちゃんと道を踏み外さないように、いつも見張っているから、安心して」

 おい、ゲンマ。人を指差した上に問題児みたいにいうな。

「ゲ、ゲンマ様ぁ!偉大なる叡智の友人龍様ぁ!!この哀れな愚か者を、どうか、どうか、お救いくださいー!!うわぁぁぁぁぁ!!!」

 彼はゲンマに縋り付いて号泣し続けた。

 なんか納得いかんなー、とゲンマを見ると、奴はニンマリ笑ってサムズアップする。


 ともかく、これだけは、はっきり言っておきたい。




 俺は、邪神じゃ……ないです……。

 本当です……信じてください……。

  【蛇足】カイセットさんは鑑定スキル使用後のSANチェックに失敗して、一時的狂気に陥りました……。

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