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妄想世界は今日も  作者: ラムネ
第二章 予想外の戦争
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護衛も楽じゃない

裏譜を家に連れた次の日──。

「外出たい!」

裏譜の好奇心が爆発した。

「とりあえず、服着よっか」

昨日はみんなの上着を着ただけのため、まだまともに私服がないのだ。そして、涼香の持っている服を裏譜に着せた。

「外か……。もし万が一、あいつ(クロム)とかに見つかったらめんどくさいんじゃない?」

「でもだからってうちに閉じ込めても、前の生活と変わんないし……」

みんなは俯く。裏譜は今でも狙われているだろう。クロムは涼香が縄で縛った所にはいなかった。あれだけのことをしてまで裏譜を管理していたのだ、その裏譜が消えたらどんな手を使ってでも取り戻すつもりだろう。

「護衛みたいなこと、してみる?」

「……へ?」

卓が言った。途端、周りの空気の流れが止まる。

「護衛って……、裏譜に何かあったら、何がなんでも守るってこと……?」

「うん」

「うんって……。軽く言うねえ」

その後もみんなは反論したが、より良い別の案が生まれなかったため、卓の護衛で決定した。


家の周りの商店街を歩く裏譜と彼女を守る男、それは……、

「言い出しっぺ、か……」

「プラス俺〜」

卓と華佗だ。

「てか、なんでお前も来てんの?」

卓が問う。

「だって、裏譜が……」


「お兄ちゃんと行きたい!」


「なんて言うんだから……。断れないし、そもそもお兄ちゃんになった覚えないし……」

「ま、護衛だし数人いたほうが心強いから」


そして、三人の非常に重要な任務、「散歩」が始まった。


「とは言ったものの、何する?」

ただ歩いているだけではつまらないだろう、と考える卓だったが……、

「いや、もうしばらく歩いたままでいいんじゃない?」

華佗の振った目線の先は、周りを見渡して目を輝かせる裏譜の姿だった。どれだけカプセルに閉じ込められていたかは分からないが、相当外の景色に憧れたのだろう。

「あー、そろそろ何か店入るか。そうだ、なんか食べる?」

華佗は裏譜に問いかける。

「食べる……。……やってみたい!」

(あ、そうか……。食べるっていう行為すら言葉を知ってる程度……)

「ラーメン、ステーキ、寿司……。流石商店街、色々あるね」

裏譜は様々な食べものの看板を見て、うーんと唸る。そして、

「あれ、食べてみたい!」

裏譜がある方向に指を指した。それは、スイーツ店だった。店内はテーブル席で、パフェやケーキなど多くの種類のスイーツを味わうことができる。

「初っ端スイーツか……、まあいっか」

三人は、店内に入った。


「へえ、結構デカイんだな」

意外にも、ほとんどすべてのスイーツのサイズは予想こ遥かを超えた。

「おお……!」

相変わらず、裏譜のキラキラは衰えを見せない。どうやら、一つのパフェに興味津々のようだ。

「これ、食べる?……って、高……」

それは、様々な果物やお菓子が入っており、クリームが層を形作りアイスが頂点を制する、なんともメルヘンで甘そうなパフェだった。しかし、それだけ盛り付けられているからか、値段はメルヘンとはかけ離れていた。

「まあ、買えなくはないし……」

そして、三人はテーブルで各々スイーツを食べた。

「いつもラーメンとかばっかだったから、こういうの新鮮だな。どう?初めてのスイーツ」

裏譜が小さなスプーンに生クリームをすくい、不慣れな手つきで口に運んだ。口の中に乗った瞬間、

「お、美味しい……!」

裏譜の笑顔が大きく咲いた。その笑顔は、周囲の空気を暖かく包み込んだ。

(か、可愛い……)

その一輪の花は、華佗たちの不意を突いた。


「あー、美味しかったな」

「うん、みんなも誘ってまた来よーぜ」

「そしたら、次も同じの食べたい!」

「ぐっ、同じのか……」

雑談をしながら歩き、しばらくして商店街から外れ住宅街に入った。

「ここらへんも人いないな」

「さっきの商店街とは大違いだ」

すると、前から何か影が近づいてくる。

「ッ……!?裏譜……!」

それは、フードを深く被った男だった。

「お前ら……、御神体に何をした!」

男は叫ぶ。

「早速か……。御神体がなんだか分からないけど、裏譜は早く出たかったってさ」

「そんなことはどうでもいい!さっさとこっちにそいつを渡せ!」

男は華佗たちに詰め寄る。しかし、そう簡単には近寄らせない。華佗の足元から湧き出る水が、男の足をすくい距離を取らせるよう遠くに流した。

「チッ……。……あ」

男の視線が捉えたのは、住宅街が歩く女性。男は女性の首に指を構える。

「早くそいつを渡さなければ、この女ぶっ殺すぞ!」

「いやあああ!」

「卑怯だな、あいつ」

「動くなよ。そこまで強くは見えないけど、危害は危害」

裏譜は何か言いたげに口を開ける。少し息を吸ったそのとき、


「それはダメだ」


卓が出力により作られた刀を鞘から抜く。そして数秒後、納刀をする。チャキッンッ、と金属の当たる音を鳴らした刹那──、


ザシュッ。


「ゴフッ……」

男の身体に三つ、大きな切り傷ができた。勢いよく血を吹き出し、男はバタリと倒れた。女性は恐怖のあまりどこか遠くまで走って行った。

「ダメだ、気失ってる」

斬撃を受けた男は、気絶してしまった。


その後、夕方まで遊んだ。家に帰る途中、華佗の視界に何かがうつる。

「ん?どうした、華佗」

「いや、なんかテントみたいなやつがあって……」

「まあ、このへん森に近いし、テント建ててる人もいるでしょ」

華佗は納得し、三人は無事帰宅した。




「あのガキですか?」

「ああ、あの男からの連絡も来なくなった」

「御神体が奪われた今。例の計画、明日にはもう実行しなければならない」


「さあ、世界を変えようか」


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