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外伝・その十一(経済無双編):新春国営安土大博覧会のハメ手と、欧州の金貨を根底から逆流させる極上絹織物の大無双

大西洋の要衝『聖ヘレナ島』を完全白化し、大奥での壮絶な年末大掃除の試練をも生き抜いて新たな年を迎えた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王は、新春の穏やかな陽光を浴びながら、日ノ本の経済覇権を地球規模へと拡大する、次なる巨大な経済のハメ手を発動させようとしていた。


元平の御世、日ノ本国内は信長が敷いた『国営週休二日養蚕場』の規律により、かつてない大繁栄を遂げていた。過酷な夜なべや搾取(ブラック労働)を十割完全消滅させ、温度と湿度の管理に二一世紀の知識を一分の狂いも無く同期させたことで、職人たちが笑顔で生み出す生糸(絹糸)の品質は、世界最高峰へと達していたのである。


信長はこの潤沢にして至高の富を用い、新春の安土城下にて、世界中の商神たちを一堂に集めた前代未聞の催しーー『新春国営安土大博覧会だいばくらんかい』を独断で発令した。


「ーー信長様。世界中から集まりし南蛮(スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス)の巨大商会の代表、ならびに明国や天竺の豪商たちが、安土城の特設会場へと十割完全に同期(入場)いたしました」内政副総裁の直虎が、金一文の狂いも無い交易帳簿を抱え、誇らしげに報告した。


信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻して立ち上がった。

「うむ。直虎よ、現在、欧州の王侯貴族や欲深き大国どもは、南蛮の限られた商会が独占する高価な衣類を買い漁り、その利潤で軍備を増強しておる。だが、彼らが我が新政庁の生み出した『完全白化ホワイトの極上絹織物』を目にした瞬間、その不当な独占流通網は戦う前に盤上で完全にハメ殺されることになるのだ」


特設会場に、新春を祝う荘厳なる太鼓の音が響き渡ると同時に、織田の職人たちが手掛けた純白、そして絢爛たる黄金色の絹織物が一斉に披露された。

絹の表面を走る気品ある光沢、そして一分の狂いも無い緻密な刺繍の美しさに、欧州の商神たちは驚愕のあまり泡を吹いてその場に平伏した。


「な、何ということだ……! この絹織物の肌触り、そして美しさは一体何なのだ!? 我々が欧州で扱っている最高級の衣類など、これに比べれば戦う前に児戯に等しい! しかも、これほどの極上品が、南蛮の独占価格の『半値以下』の適正価格で、なおかつ鉄甲蒸気船によって迅速に大量輸送されるというのか……!」


南蛮の商神たちが涙を流して平伏するなか、信長が提示したのは、大国を破滅させるための戦の矢ではなく、新政庁が全額出資する不滅の『国営絹織物・長期交易契約書』であった。

織田の圧倒的な「高品質・適正価格・ホワイト雇用」の流通網の前に、欧州の富(純金貨)が、一文の狂いも無く安土の国営金庫へと逆流していく地政学・経済チートの極みであった。


将来的に不当な搾取によって肥え太るはずだった南蛮の国々は、戦う前にこの絹織物の圧倒的な経済の刃の前に完璧にハメ殺され、日ノ本の至高の経済圏へと笑顔で同期(就職)していくのだった。


ーーその頃、地球規模の巨大な経済覇権を完璧に詰ませ、世界の商神たちから「経済の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。


経済の大無双という偉大なる計略を新春早々から成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏み入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして成田家から赴任してきた甲斐姫らが、博覧会の成功を祝うための「新春国営双六すごろく大会」を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。


「信長様、お帰りなさいませ。新春の博覧会の大成功、誠に見事なハメ手にございました。さあ、今夜は大奥一同、一年の運勢を占う国営双六大会を執筆いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および新春の安息の規律に基づき、十割動かなくなった我らへのお屠蘇(お酒)の給仕、ならびに三が日の膨大な御膳の準備と片付けの交代制職務シフト、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」

帰蝶が最高の笑顔で、特大の双六の盤面と、一分の狂いも無い湯加減で温められた酒器を信長に手渡した。


「ま、待て……! 余は今、世界中の商神たちを安土に集め、南蛮の富を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、炬燵に入ったまま一歩も動かぬお前たちのために、一人でお屠蘇を何百回も運び、御膳を片付けるという過酷な単独職務ワンオペに奔走せねばならぬのだ!」

信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、炬燵から首だけを出して笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。

「太政大臣たるもの、南蛮から逆流した金貨を精査する前に、まずは身内の正月の一分の狂いも無いお持て成し環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、双六のサイコロ(賽の目)を振るお手伝いもお任せしますね!」


「世界をハメ殺すより、正月の双六で動かなくなった妻たちを給仕する方が十割むずかしいわ! 余の再生したばかりの限界胃壁がストレスの寒暖差と正月の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を博覧会の特産品と一緒に持ってきてぇーー!!」

昼間は冷徹に地球規模の経済流通を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる新春の規律ぬくもりの前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で御膳をピカピカに磨き上げる覇王信長。だが、ぐっすりと眠る我が子の愛らしい寝顔と、お茶会を嬉しそうに楽しむ妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。


(外伝・その十一・経済無双編・完)

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