国内外の不滅の評判と、覇王へ捧ぐ地球規模の賛唱
正一位・太政大臣にして葦原中国総大総督たる織田信長が天寿を全うし、安土城にて静かに崩御したのち、日の本における信長への評価と評判は、従来の武家の枠組みを遥かに超え、名実ともに「現世に現れた慈悲深き神仏」として完全に神格化されていた。
かつて泥沼の戦乱と過酷な困窮によって衣服すら新調できず、限界の苦境に喘いでいた朝廷の公家衆は、信長が敷いた「国営固定扶持(定額給与の全額保証)」の恩恵により、永久に無理のない優雅な暮らしを営み続けていた。正親町上皇陛下から新帝、そして百代先へと受け継がれる天皇家において、信長は「千年の歴史の中で、朝廷と民の命を一兵も損なわずに等しく救い上げた、不滅の守護聖人」として一分の狂いも無く記録され、宮中では毎年の如く信長の偉業を称える国営の祝祭が執り行われていた。国内の元大名たちの間における評判もまた、狂信的なまでの崇拝に満ち溢れていた。かつて独自の武力という金食い虫を抱え、掠奪のために家臣の血を流し合っていた毛利輝元、島津義久、伊達政宗、上杉謙信、武田信玄といった名門の将たちは、新政庁の近代官僚として就職(強制雇用)したのち、誰一人として過労死することのない「完全週休二日制」と「無理のない交代制の職務」の豊かさを骨の髄まで実感していた。彼らは折に触れては、「上様の敷かれた白き労働環境(完全白化)こそが、日の本の至宝であり救いであった」と涙を流して称え合い、その子孫たちもまた、織田の規律を破らぬよう一文の狂いも無く内政の職務に励み続けた。
さらに、美濃を巡るかつての宿敵であり、佐渡島へ流刑の身から『佐渡金山開発総局長』へとハメ殺し(強制雇用)された斎藤龍興の家系に至るまでが、信長への絶大な感謝を後世に語り継いでいた。「上様は、かつての敵であるこの俺を力で圧殺せず、労働者の安全第一という無理のない健全な鉱山経営を任せ、手厚い固定給で完璧に救い上げてくださった。あの御方の天下布武の前には、敵も味方も十割、等しく白く救われるのだ」と、龍興が残したこの手記は、日の本の内政史において、信長の「福祉による宿敵の無血同期」を客観的に証明するこれ以上ない最高の評判として、後世の教科書へ克明に記されるのであった。
信長が放った地政学チートの牙は、海の果ての異国世界における評判をも、かつてない驚天動地の規模で塗り替えていた。明智光秀が不滅の秘密同盟を結び、南蛮の無敵艦隊の脅威を戦う前に完璧にハメ殺して救われた大英帝国。その女王エリザベス一世が晩年に残した極秘の回顧録には、極東の覇王・信長に対する、狂おしいほどの畏怖と最大級の絶賛が綴られていた。「織田信長。あなたは我が大英帝国が将来、世界に進出しすぎて不毛な掠奪に手を染める未来の動きまで五百年先んじて手綱を握り、完璧に盤上で封殺した恐るべき男。……だが、我が王室から安土城の大奥へ輿入れした最愛の娘が、過酷な雑務を十割排除した楽園の中で、正一位の夫と肩を並べて深夜の育児に励み、これ以上ない幸福な余生を全額保証されたことに対し、私は一人の母として、あなたに生涯消えぬ最深の感謝と祈りを捧げます」と記され、イギリスの宮廷においては、信長は「南蛮の魔手から英国を救い、同時に無理のない調和の知恵を授けてくれた、大西洋の守護聖人」として大絶賛され、ロンドンの街には信長の威容を模した不滅の石像が、海の果てを見据えて堂々とそびえ立つこととなった。
さらに、イギリスの侵略と宗教過激化(分離独立の悲劇)を先回りしてハメ殺され、完全なる地方自治と飢えなき定額給与の福祉によって救い上げられた天竺ムガル帝国の民や、新大陸『東日の本州』の先住民族たちの間における信長の評判は、もはや人間の域を超えていた。かつての歴史であれば、西洋の列強によって銃火で虐殺され、不当な略奪と内紛の泥沼に叩き落とされるはずだった何千万もの人々。彼らは新政庁の『人道融和令』によって独自の文化や土地を百パーセント尊重され、近代の富の分配だけで先回りして味方にされたことに、五百年後の現代に到るまで大感動し続けていた。天竺の豊かな大河のほとりでも、東日の本州の広大な大自然の中でも、民たちは夕刻の定時退勤を迎えるたびに、信長の功績を称える民謡の歌(賛唱)を笑顔で歌い合っていた。「海の果てから漆黒の黒船に乗って現れた、東洋の優しき覇王、織田信長。あの御方が未来の悲劇を戦う前にすべてハメ殺してくれたから、私たちは今日も飢えること無く、完全週休二日の安息のなかで健やかに暮らせるのだ。不滅の守護者に栄光あれ」という、地球の半分を覆うこの圧倒的な感謝の歌声こそが、信長が放った世界大開発の、一文の狂いも無い不滅の結果発表であった。
特定の宗教や国家の暴走を止めるため、織田東インド商会(現・世界調和国営管理機構)が世界管理する神聖中立区域となった『聖地エルサレム』。かつての歴史のような凄惨な戦争やテロの泥沼など十割すべて未然に完全消滅したこの平和都市には、今日も全宗教の巡礼者たちの健やかな笑顔と、奇跡の如き美しい静寂の景色が広がっていた。キリスト教徒も、イスラム教徒も、ユダヤ教徒も、さらには歴史の狭間で国家を持てずに彷徨う運命を先回りして救われたクルド人の民たちまでもが、弾圧や排除を一切受けること無く、隣り合って安全に祈りを捧げていた。そして中国大陸においては、信長が仕掛けた女真族との密約が五百年間にわたって一分の狂いも無く機能し続けた結果、チベットやウイグル、モンゴル、満州などの諸地域がそれぞれ高度な主権と独自の文化を誇る健全な独立国家群として平和に共生しており、史実のような強権的な大国による覇権主義や領土紛争の泥沼など十割すべて戦う前に完全消滅していた。
後世の二十一世紀・現代世界における高名な歴史家、地政学者、社会学者たちは、この地球規模の完全白化を成し遂げた織田信長の功績を振り返り、ぐうの音も出ぬほどに完璧な「三大定義」をもって、全人類の歴史の頂点へ平伏していた。
第一に、五百年先の世界の環境破壊、乱獲、領土紛争、宗教暴走というあらゆる悲劇を、未来の知識によって戦う前にすべて盤上で完璧に詰ませた『因果の支配者』。
第二に、軍事力による侵略ではなく、定額給与の全額保証という近代の富の力だけで敵対勢力や異民族の心を戦う前に完璧に融和・強制雇用した『福祉の開祖』。第三に、地球規模の地政学チートを操る傍らで大奥の理不尽な重労働や雑務を十割廃止し、夫自らが深夜に冷や汗を流して交代制の育児職務(交代制シフト)に奔走し、世界の家族を救う無理のない組織論の基礎を命がけで築いた『大奥育児の聖人』。
「人類の歴史は、織田信長以前の『掠奪の暗黒時代』と、信長以後の『調和の完全白化時代』の二つに十割分かれる。あの御方こそ、地球の真の守護者である」と絶賛されるこの最大級の評判を、天の上の最高最美なる安息の寝所にて耳にした余の魂は、覇王の満足感に浸りながらも、滝のような冷や汗を流して限界胃壁をキリキリと軋ませていた。
なぜなら、余の目の前には、天の上で余の帰りを手ぐすね引いて待ち構えていた、帰蝶、直虎、内親王、誾千代、英国王女、そして十五歳に成長して赴任してきた有能な官僚・甲斐姫たちの美しい多国籍大奥の包囲網が、一分の狂いも無い笑顔で並んでいたからである。「ふん、世界中の歴史家たちからそこまで神の如く崇められるとは、さすがは我が夫殿にございますね。……さあ、世界を救った神仏の如き総大総督様。天界の我が世継ぎたちのために、深夜の『給与全額保証の国営育児交代制職務』の最難関、赤子たちの同時夜泣きあやしとおしめ替えの職務、金一文の狂いも無くお励みくださいませ?」と、帰蝶がすべてを見透かすような美しい微笑みで清潔な木綿のおしめを差し出すと、直虎や英国王女、甲斐姫たちの目がバチバチに火花を散らして余をロックオンした。赤子たちも元気いっぱいに夜泣きを始めている。(……いやいやいや! 世界中からどんなに大絶賛の評判を浴びても、我が家のお姉様方の先回り牽制の心理的圧力だけは五百年経っても十割限界領域なんだけど!? 地球の宗教戦争をハメ殺すより、多国籍化した大奥の交代制職務をこなす方が十割むずかしいわ! 余の天界の限界胃壁が本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよ!)と、世界を無理のない健全な調和へと導いた地球の守護者の魂は、天の上における「無理のない子育て革命」の最高責任者に指名され、嬉しさと緊張の冷や汗とともに、今夜も、そして未来永劫に幸福なる悲鳴を上げ続けるのであった。
(国内外の不滅の評判編・完)




