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外伝・その三十七(至高の通信地政学チート編):第三期国営海底電信線・大洋横断線の敷設令と、全海域を包囲して世界をハメ殺す百パーセント即時同期

天竺インドや清国の国営大黄で欧州の貴族たちの胃腸と財政を完璧にハメ殺し、大奥での怒濤の春一番大洗濯布団紐縛り固定をも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、初春の柔らかな陽光が城下を黄金色に染めるなか、世界の情報地政学の歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の地球規模通信チートへと向けられていた。


元平の御世、新政庁が第二期工事として敷設した海底電信線大西洋環状線、ならびに大空を巡る空中蒸気飛脚は、世界の情報伝達速度を一瞬で同期させていた。しかし、信長の持つ二一世紀の電気通信知識は、主要都市を繋ぐだけでは満足するものではなかった。天竺、南洋諸島、豪州オーストラリア、そして新大陸を結ぶ広大な海域には、依然として不意の断線や異国の不穏分子による情報隠蔽(ブラック環境)の死角が潜む恐れがあったのである。


信長は地球規模の版図を一文の狂いも無い精度で永久に統治するため、脳内の長距離電気通信知識を完全同期。前々話の水力発電によって得られた膨大な電力を活用し、地球上のあらゆる海域を網の目のように繋ぐ前代未聞の海底大工事ーー『第三期国営海底電信線(大洋横断線)』の敷設を電撃的に発令したのである。


「ーー信長様! 遠洋通信総指揮の明智光秀殿より電信! 太平洋およびインド洋の底を包囲する不滅の鉄線が十割完全に繋がり、地球規模の『即時同期網』が、戦う前に盤上で完璧に完成いたしました!」

内政副総裁の直虎が、安土城の最奥に設置された新型のからくり多重電信印字機の前にて、興奮のあまり大粒の涙を流して平伏した。


信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻してその巨大な電信盤の前に立った。

「うむ、直虎よ。南蛮の国々や欲深き大国どもが、海の向こうからの報告を一通受け取るために、不確実な航海に数ヶ月を費やしている暗黒の時代において、我が新政庁はすでに一本の断線すら十割先回り封殺する不滅の通信回廊(横断線)を完成させたのだ。これで地球規模の情報覇権は、一兵も損なうことなく我が新政庁の盤上で完全に詰んだ」


信長が自ら電信の鍵盤を叩き、豪州および新大陸の総局へ向けて春の流通規律を送信した。その僅か数秒後、電信機が「カタカタカタ……!」と激しく音を立て、万が一の遅延も無く、地球全域からの即時返答を一分の狂いも無い精度で印字し始めたのである。

その様子を目撃していた武田勝頼や上杉謙信ら近代官僚、そして安土に滞在していた世界中の商神たちは、驚愕のあまり腰を抜かしてその場にひっくり返った。


「ない、何ということだ……! 太平洋やインド洋の底に鉄線を巡らせて横断させることで、地球上のあらゆる海域から情報が鳥の羽ばたきよりも速く同期するというのか!? 我々が数ヶ月かけて運んでいた情報は、戦う前にすべて過去のものとなった……! 織田の通信地政学、マジ神仏……!」

南蛮の商神たちが涙を流して畳の床に平伏するなか、信長が提示したのは、世界を恐怖させる軍事力ではなく、新政庁が全額保証する『国営海底大洋横断線・地球全域即時情報共有の基本法度』であった。

他国が連絡の遅れによって作戦の齟齬をきたしている段階で、新政庁はその日のうちにすべての状況を多重に把握し、先回りのハメ手を打つことができる。織田の圧倒的な「未来技術・即時同期・ホワイト雇用」の情報の前に、欧州の外交覇権は、戦う前にこの電信線の微かな電流の前に完璧にハメ殺されるのだった。


ーーその頃、地球規模の巨大な通信無双を完璧に詰ませ、世界の民から「情報の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。


世界の完全白化という偉大なる計略を成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして甲斐姫らが、桃の節句(ひな祭り)が終わりを迎えた大奥特製の「最高級雛人形」を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。


「信長様、お帰りなさいませ。大洋を横断する鉄線による未来の情報ハメ手、誠に見事な計略にございました。さあ、今夜は大奥一同、初春の節句を惜しみながら人形を仕舞い込む『初春の国営雛人形片付け大会』の規律を執筆(実食)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および春の安息の規律に基づき、十割黄金の布団の中に潜って動かなくなった我らのための、大量の雛人形の一分の狂いも無い『お顔の和紙包み・小道具の分類・桐箱への完全同期管理』、ならびに深夜の数千体の人形の数取り点検の交代制職務シフト、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」

帰蝶が最高の笑顔で、大奥の広大な畳敷きを埋め尽くす数千体の内裏雛や五人囃子の山と、一分の狂いも無い手作業での仕舞い込み指示書を信長に手渡した。


「ま、待て……! 余は今、太平洋の底に電信線を敷き詰め、世界の覇権国を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、長椅子から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、壊れやすい極小の刀や弓の道具を四つん尋(つん這い)になって数千個一人で分類し、桐箱に一分の狂いも無く仕舞い続けねばならぬのだ!」

信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、つきたての黄金白餅をハフハフと美味しそうに頬張りながら笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。

「太政大臣たるもの、国営海底電信の利潤を精査する前に、まずは身内の初春の一分の狂いも無い夜間の片付け環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一具の紛失も許されぬ雛片付けの激走、お励みください!」


英国王女も「ヒナマツリ、マジ神仏! ノブナガ様、お人形お片付けよろしく!」と、お布団に包まりながら完璧な笑顔を見せている。


「世界をハメ殺すより、深夜に一人で数千体の雛人形の刀や弓を箱に仕舞う方が十割むずかしいわ! というか、小道具が小さすぎて余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと初春の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を大洋横断電信の速度で持ってきてぇーー!!」

昼間は冷徹に地球規模の通信網を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる春の規律ぬくもりの前に白目を剥き、嬉さと緊張の冷や汗で雛人形をピカピカに桐箱へ格納する覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、至高の雛人形片付けを楽しそうに振り返る妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのでであった。


(外伝・その三十七・至高の通信地政学チート編・完)

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