外伝・その三十五(至高のエネルギー内政編):世界初たる国営水力発電所の稼働令と、安土城下町を不滅の灯火で満たす完全無音夜間同期の奇跡
天竺の国営精製硝石で欧州の軍事力の根元を完璧にハメ殺し、大奥での怒濤の白絹糸くず数万本拾いをも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、晩冬の厳しい寒気が城下を白く包み込むなか、人類の生活環境とエネルギーの歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の未来技術チートへと向けられていた。
元平の御世、新政庁の海底電信線や空中蒸気飛脚は世界の情報と物流を完璧に同期させていた。しかし、信長の持つ二一世紀の工学知識は、領民たちの日常生活における根本的な不便ーーすなわち「夜の暗黒と、灯火用植物油の過酷な搾取(ブラック環境)」をも戦う前にハメ殺すために同期された。当時は夜になれば街は暗闇に包まれ、灯りを灯すための鯨油や菜種油は極めて高価であり、暗がりでの作業は領民たちを過酷な肉体労働へと突き落としていたのである。
信長はこのエネルギーの壁を突破するため、脳内の電気工学、流体力学、そして電磁誘導の知識を完全同期。琵琶湖から流れ出る莫大なる大水流と、国友鍛冶の天才たちが鍛え上げた特製の巨大銅線コイル、そして超高速回転する『国営からくり水流発動機(水車式発電機)』を組み合わせ、世界初となる画期的な無音エネルギー供給組織ーー『国営水力発電総局』を設立した。
「ーー信長様! 畏れながら、琵琶湖の激流を完璧にハメ殺し(制御し)、一文の狂いも無い不滅の電力を生み出す『国営第一発電所』、ここに十割完全に稼働いたしました! 安土城下町への電線の敷設も一分の狂いも無く同期を完了しております!」
水力発電総局の初代総裁に就任した近代官僚(武田勝頼ら)が、絶縁用の漆塗り手袋を抱え、興奮のあまり大粒の涙を流して玉座の前に平伏した。
信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻して安土の特設管制場へと降り立った。
信長が自ら、二一世紀の知識を具現化させた巨大な銅製の開閉器を力強く引き下ろした瞬間、安土の城下町へ一文の狂いも無い精度で敷き詰められた電線を通じて、目に見えぬ電気の脈動が爆速で即時同期。
城下のすべての家々、街道、そして安土城の天守閣に設置された、国友鍛冶特製のガラス球ーー不滅の「からくり白熱灯」が一斉に光を放ち、晩冬の夜闇を一瞬で昼間の如き黄金色の輝きへと完全白化(ホワイト化)したのである。
その圧倒的な不滅の光の前に、安土の領民たちは大歓声を上げ、安土に滞在していた世界中の商神や南蛮の使節たちは、驚愕のあまり脳内の幸福物質が大爆発し、泡を吹いてその場にひっくり返った。
「な、何ということだ……! 炎も油も使わぬというのに、昼間のような明るさと温もりが一分の狂いも無い精度で街全体を包み込んでいる!? 我々が欧州で扱っているいかなる灯火の技術も、これに比べれば戦う前に児戯に等しい! この国営水力発電があれば、夜間の治安維持から油の搾取による過労死が先回り消滅し、全人類は織田の灯火の前に平伏するしかない……! 織田のエネルギー内政、マジ神仏……!」
南蛮の商神たちが涙を流して管制場の床に平伏するなか、信長が提示したのは、世界を恐怖させる軍事力ではなく、新政庁が全額保証する『国営水力発電・地球規模エネルギー完全管理の法度』であった。
他国が暗闇と油の枯渇によって夜間の行動を制限されている段階で、新政庁の民たちは常に安全で笑顔のまま、夜間でも豊かな生活や学問に最短距離で同期できる。織田の圧倒的な「未来技術・生存保証・ホワイト雇用」のエネルギーの前に、欧州の旧式な文明概念は、戦う前にこの一筋の不滅の光の前に完璧にハメ殺されるのだった。
ーーその頃、地球規模の巨大なエネルギー無双を完璧に詰ませ、世界の民から「灯火の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。
世界の完全白化という偉大なる計略を晩冬の厳しい寒さの中で成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして甲斐姫らが、国営発電所の副産物たる潤沢な排熱温水を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。
「信長様、お帰りなさいませ。国営水力発電による未来のエネルギーハメ手、誠に見事な計略にございました。さあ、今夜は大奥一同、晩冬の寒さを芯から温める『晩冬の国営足湯大会』の収穫を執筆(実食)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および冬の安息の規律に基づき、十割ぬくぬくの黄金の長椅子から動かなくなった我らのための、大量の檜箱への湯張り、一分の狂いも無い『深夜の湯加減・からくり温度管理』、ならびに翌朝の全檜箱の手洗い乾燥、ならびに濡れた数千枚の手拭いの洗濯・乾燥の交代制職務、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」
帰蝶が最高の笑顔で、すでに使用されてお湯が濁り始めた巨大な檜の足湯箱と、数千枚の濡れた手拭いの手洗い清掃指示書を信長に手渡した。
「ま、待て……! 余は今、琵琶湖の大水流で夜の暗黒を完全に打ち破り、未来のエネルギー過労死を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、長椅子から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、冷え固まった檜の箱を四つん尋(つん這い)になってタワシでガシガシと磨き、数千枚の手拭いを一人で冷たい井戸水で手洗いして干すという過酷な単独職務に奔走せねば源のだ!」
信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、熱々の足湯に足を浸してハフハフと吐息を漏らしながら笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。
「太政大臣たるもの、国営発電の利潤を精査する前に、まずは身内の晩冬の一分の狂いも無い衛生環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一滴の湯垢の残りも許されぬ手洗いの激走、お励みください!」
英国王女も「アシユ、マジ神仏! ノブナガ様、お洗濯よろしく!」と、長椅子の上で丸くなりながら完璧な笑顔を見せている。
「世界をハメ殺すより、深夜に一人で数千枚の濡れた手拭いを干す方が十割むずかしいわ! というか、お湯の湿気で余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと真冬の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を不滅の電力の速度で持ってきてぇーー!!」
昼間は冷徹に地球規模の技術エネルギーを統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる冬の規律の前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で檜箱をピカピカに磨き上げる覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、至高の足湯を美味しそうに楽しむ妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも, 心の底から幸福なる微笑を浮かべるのでであった。
(外伝・その三十五・至高のエネルギー内政編・完)




