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エピローグ
翌年の秋、世界文化共有協定の後継となる新しい枠組みが発表された。
名称は「世界文化対話協定」。
強制的な移転ではなく、各国が自発的に文化を紹介し合い、学び合う場を設けるというものだった。
事務局長に就任したのは、オレ・キプチョゲだった。
日本支部の代表には、明智信人が任命された。
任命の知らせを受けた日の夜、信人はパリにいるマリーにメッセージを送った。
「代表になりました」
「知っています」
マリーはすぐに返信してきた。
「私はフランス支部の副代表になりました」
「また一緒に仕事ができますね」
少し間があった。
「仕事だけですか」
マリーは書いてきた。
信人はしばらく、その一文を見ていた。
窓の外、東京の夜景が広がっていた。
信人はゆっくりと返信を打った。
「それ以外のことも、少し考えています」
既読がついた。
しばらく何も来なかった。
そして。
「私もです」
― 完 ―




