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読んで頂きありがとうございます。
皆様、日々のお務め、いつもお疲れさまです。ワタクシです。
ワタクシ、魔導車に乗っているのですが中々のスピードで御座います。
ガン爺さんは嘔吐しておりますが、ワタクシは魔導車を楽しんでおります。
カリンさんが魔導車を操縦する中、魔導車の魔力膜越しに空から無数の影が方々に落下してくるのが見えました。
その影の中の数個が、だんだんとその大きさを増してきます。どうやら影の本体は回転しているようです。
カリンさんのテクニックによって、その回転する影を避けたは良いものの、影は形を変えてワタクシ達を追って来ました。
その姿はムカデに人の上半身が生えたような姿で御座います。
「綿串さん!シジュッテンから放たれた魔物です!魔導銃で迎撃をお願いします!」
えっ!?これを使っても良いのですね。
ナウンサ様、これも任務妨害を払いのける為のやむを得ない事態なので御座います!
ワタクシ、普通に愛刀で切り伏せた方が早いと思いますが、魔導銃を使ってみたくてウズウズしております!
「こうですか?」
魔力を込めて弾丸を精製し、相手に狙いを済ませて引き金を引きます。
鋭い爆発音と共に弾丸が射出され、その弾丸に当たった魔物は見事に消失しました!
ワタクシ、コレ好みです!
「流石、ニテンを退けたお方!実力を見込み、高ランクの魔導銃を渡した甲斐がありました。しかも聖属性の弾丸だなんて」
「コレ、良いものだったのですか?」
「いえ、お気になさらず。その調子でお願いします!」
はい、ワタクシ。バンバン撃っております!あはっ、楽しいですね~。
迫り来る魔物さん達には申し訳ないですが、魔物なんて次々に湧いて来ますし、輪廻の底から出た灰汁ですからね。遠慮なく的にさせて頂きます!
「しかし、カリンさん。軍港施設の方は大丈夫なのでしょうか。ワタクシ心配です」
「ご心配。ありがとうございます。私の仲間達なら大丈夫です!前魔王のバカな息子を捕らえるのだって、そう容易な事ではないんですよ!もちろん犠牲はありまし、彩色の勇者達の力も借りましたが、私達だって強いんです!前部長の息子という強力なカードをてに入れたんです。ここが、正念場なんです!」
ああっ、何でしょう。ワタクシ、何故だか感動しております!
応援したい。ワタクシ、応援したいです!
「やれやれぇ。熱い所申し訳無いね」
ん?誰でしょう。って、ガン爺さんが知らない男?に捕まってます!一体いつの間に?!
ワタクシ、愛刀を出して斬り掛かります!
「中々やるじゃないか。察しの通り、前魔王の息子の居場所を聞きに来た。実力差は分かっただろう。さっさと教えな」
なんと。ワタクシの斬撃が受け止められました。
ワタクシ、本気モードに……
「止めとけ」
そんな。僅かな挙動も読み取られてしまいました。
「なるほどな。持っているのは嬢ちゃんか。取り敢えず車を止めろ」
なんということでしょう。カリンさんは冷や汗と苦渋の顔を滲ませ、魔導車を止められました。
「ほらよ。爺さんは返す。でだ。そこのキモいの。俺と戦え。興味が湧いた。嬢ちゃんは勿論、逃げられるなんて思うなよ」
きっ、キモッ?!あの方、人を指差してキモいと。ワタクシのことをキモいと仰いましたよ!
で、決闘で御座いますか。これは本気ではなく、真剣でいきたいと思います!
「我らに仇なす聖属性かあ。お前どっか余裕あんだよなあ。さぁ、本気を見せてくれ」
そうでしょう。そうでしょう。ワタクシ、不死ですから!でもって、仇なしてませんから!ネタばらしたいところでも御座いますが、ワタクシをバカにしたばかりか、ガン爺さんを盾に取りカリンさんを追い込んだ。この方をワタクシ許せません!
「精々、ワタクシを侮らないことです。行きますよ」
居合いっ!を、止められるのは想定済み。脚捌き。掌底。聖剣(刀)、ゾンビ突撃!!
名も知らぬお方は、吹き飛びました。どうですか。
「やるじゃあ、ないか。流石に利いたぜ。だが、この程度の傷は、どうとでもなるのさ」
確かに刺さり、そして吹き飛ばしたはず。
それが、目の前に。傷も治っていきます。
「敬意を込めて名乗ろう。俺の名は、ナペルティ。魔人造魔族。魔力線乱しも、聖属性さえ俺には効かないと思え」
ナペルティさんの自己紹介が終わるや否や、今度はワタクシが殴られ、吹き飛ばされてしまいました。
なんという力でしょう。結構利きますね。
直ぐに戻らなければ。幸い、前回ゾンビ突撃を全力で使った時よりも体は動きます。ワタクシ、強くなってる?
ワタクシ、急いで先ほどの場所へ戻ります。
「お待たせしました。ナペルティさん」
「ああ?生きていたのか。俺は目当ての牢玉を手にいれた。目的達成だ。それにしてもしぶといな。手前、ゾンビかよ……ん、ゾンビ?」
ナペルティさんはこぶし位の赤い玉を手にしておりました。
最後の方に小声で何やらぼそぼそ呟かれたと思ったらワタクシ、再び吹き飛ばされました。
吹き飛ばされた先に、ナペルティさんもやって来ました。
「なあ、たまたま聞いたことがあるんだが。お前は、ナウンサ様がアナザーダンジョンで拾ってきたゾンビか?」
どうしましょう。バレてる様です。ワタクシ、ポーカーフェイス。
「なるほどなあ。スパイって事か。上手くとけ込んでるじゃあないか。しかし、俺も任務をこなさなきゃあいけないんだ。今回のは結構重要でねえ。トゥアさんも居るし失敗は出来ないからなあ」
ナペルティさんは、ワタクシの前に右腕を差し出します。
「俺の片腕で勘弁してくれや。俺を貫いた力が有るなら斬り落とせるだろう。流石に回復に時間が掛かるからな。俺はその状態でシジュッテンに戻ろう」
ワタクシ、ナペルティさんの右腕を斬り落としました。
これで、健闘したことになるだろうとのこと。そして、スパイを頑張れと仰って帰られました。
ふう、正体がバレてしまいましたが、何とかなったのでしょうか。|極秘任務だろうということで魔王軍《職場》にも黙っていてくれるとのこと。ナペルティさんの腕は、人間側に凄腕の剣士がいたということにするそうで。
それにしても、ワタクシのお仕事はそんな大層なスパイでは無いのですけどね。




