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皆様お疲れさまです。ワタクシです。
ナウンサ様より調査の指令を頂きました。ただ今ワタクシ、森林大陸ティカ王国領のリチョウという港町に来ております。
ワタクシ見た目は人と変わりませんので、調査に打ってつけだとか。
ワタクシに適した役目を与えてくださるとは、流石ナウンサ様。
但し、顔を覚えられてはいけないということで、フードは被っておくように言われております。
海が綺麗で御座いますね。朝日に照らされ、穏やかな水面がキラキラ光っております。ワタクシ感動。研修授業で教えて頂いた時にはこれ程広大なものとは想像がつきませんでした。そして、あれが船ですか。大きな箱です。
おや、何やら木の枝から糸を海へ垂らしているご老人が見えますね。何をしていらっしゃるのか、お話を聞いて見ましょう。
「こんにちは。それは何をなさっているのですか」
「うわっ、ビックリした!何じゃお前。急に声を掛けおって」
「すみません。その、糸を垂らして何をされているのか気になりまして」
「なんじゃお前、釣りを知らんのか釣りを」
「えっ、ツリ?ワタクシその様な物を知りませんでして」
ワタクシが質問を投げ掛けたお方は、大層驚かれておりました。
「本当に知らんのか。魚を取る手法じゃろうが、えっ」
ワタクシが首を傾げるとご老人は続けて仰られました。
「まじか?本当に知らんのか。まあ、結構良い身なりしとるし折角やで何やっとったか教えたるわ」
「おお!本当ですか!有り難うございます」
ご老人は海へ糸を垂らしてサカナをツルという事を教えてくれるらしいです。
一見すると無意味な糸垂らし。人間は時に不思議な事をしていますからね。ワタクシ興味津々です。
「ほんならお前、俺の船に乗せたるわ!気分悪なってもゲロ吐くなよ。吐いても船上じゃなくて海に吐いてプランクトンの餌にしたりい」
はい、良く分かりませんがワタクシ、この機会を逃す理由はなく首を縦に振り了承致しました。
ワタクシのステータスならば、どこであろうと状態異常はあり得ませんので。
船の上。
さほど悪いものでは、ありませんね。
「ほれ!この釣竿貸したるでまずは持ってみぃ!今日はしっぽり釣りする予定やったけど、まぁこんだけ沖に出たでな。手本見せたるわ」
ご老人は餌を糸の先端についていた針に取り付け、大きく振りかぶって遠くへ糸を飛ばしました。
「ところで兄ちゃん名前は何て言うんや。儂はガンクっちゅうてまわりからはガン爺さん呼ばれとるわ」
「ガン爺さん。改めて船に乗せて頂きありがとうございます。ワタクシは、ワタクシで御座います」
「綿串っちゅうんか。変わった名前やな。おっ、かかったで!!そぉれっ!!」
ガン爺さんが釣竿を引くと何と、大きなお魚がくっついておりました。なるぼど、このように食料を確保しているのですね。
「ほれっ、見てみい!!このでかさ!綿串もやってみぃ!」
これは!なかなか、楽しいですね!!
「ガン爺さん、ワタクシも掛かりましたよ!!次こそ釣り上げます!ゆっくり慎重に引くんですよね」
何度か魚を逃がしてしまったワタクシは慎重です。
「そうやっ!綿串はめっちゃチカラあるでな。綿串が普通に引っ張ったら、魚の口をぶっちぎってまうでな!」
そして、ワタクシついに釣り上げました!
ワタクシ感激!
「おい綿串!やばいでっ!軍艦や!!あれは、帝都ダイゲンのマークや。なんや煙も上がっとるし。ってか軍艦の後ろの海が、山のように盛り上がっとらんか?」
ご老人が驚かれている通り、だんだんと軍艦が近づいてきております。
次いで軍艦後ろの海面が大きく膨らんでいき、怪獣が姿を現しました。ワイドなエキドナことナウンサ様より遥かに大きいです。
ワタクシ、軍艦も研修で習っておりましたが見たのは初めて御座います。
怪獣に対し魔力砲で応戦しておりますね。。効いていないようですが。
このままではガン爺さんに被害が及びそうです。あの巨体。怪獣には残念ながらワタクシでも勝てそうにありませんが、せめて追い払えるか試してみましょう。
「なっ、なんじゃー?!」
ガン爺さんは、本当に驚くのが趣味ですね。ワタクシがワタクシの喉に腕を突っ込んで聖剣を取り出すと腰を抜かして驚かれました。
「わっ、綿串。お前さん奇術師やったんか?!」
「まぁ、そんなところで御座います。今からあの怪獣を追い払って来ようと思います。ガン爺さんはしっかり船に掴まっていて下さい。恐らく、凄く並みが立ちます」
ワタクシは海へ飛び込みました。
ジャングルの中の湖。ダンジョン内の湖。それらと同じく、海中も水の中に変わりませんね。
ワタクシは脚力だけでなく、全身を使って水を蹴り、海中を思い切り進みます。あっという間に軍艦の下を越え、もう一度勢いを付け海上へと飛び出しました。
飛び出した後は、落下する訳ですが海面を蹴って怪獣へ向かって跳躍します。
そしてその勢いのまま、ワタクシドロップキックを怪獣に喰らわせました。
けど、やはりびくともしませんね。ワタクシ消沈。
斬り落としますか。ワタクシ怪獣に飛び乗り、聖剣を振るいました。多少斬れますが、これも効果は無さそうで御座います。
これは、突くしか無さそうです。
ワタクシ、軍艦へと飛び移りました。
「なっ、何だ貴様!!」
「魔族か?!」
「侵入者ー!侵入者だー!!」
人間の方々うるさいですね。
「ワタクシ、今からあの怪物を追い払います。少々この船が傷むと思いますが、ご了承下さい」
「なんだと?貴様、敵じゃないのか」
ワタクシ、集中。
聖剣を真っ直ぐに構え、膝と腰を落として構えます。
「いきますよ」
腐っているが生きている。死者にして生者。
喰らいなさい。ゾンビ突撃。
軍艦の甲板に穴を開け、ワタクシ勢いよく怪物へと飛び出しました。
聖剣が突き刺さった勢いは、流石に怪獣にダメージを与えたようで。怪獣が嘆きともとれる咆哮を上げております。
怪獣の身震いに聖剣は抜け、ワタクシと一緒に海面へと落下します。
落下の途中、怪獣の表皮にニテンという文字を見つけました。
はて?どこかで聞いたことがあるような無いような。
あっ、怪獣は去っていきますね。
ワタクシ、反動で体が動かず。暫く海中で動けそうにないです。死にはしませんが。
と、思っていたら屈強そうな人間が数人でワタクシを掴み、軍艦方面へ向かって海上へと引っ張っていってくれるようです。
ワタクシ。釣りの続きがしたいのですが……




