怪しい仲間
「お兄ちゃん……」
「ああ。今動けるのは俺たちだけだ。暦、来てくれるか? バッタを探す!」
「う、うん」
兄が重傷だが生きていることを確認した暦は、涙を拭いて立ち上がる。
その瞳には今までの気弱さは微塵も無い。
戸惑いこそあれ戦いを覚悟した者の瞳だった。
「よし、まずは服を替えるぞ」
「あぅ、ゴメンなさい」
洞窟から帰ってから全く着替えてなかったので服が凄いことになっている。
巨大蝙蝠を倒したことで手に入った金で装備を整え、減った手榴弾を補充屋で補充して、酒場で情報屋を探す。アンコウモドキは今回留守番だ。
雄一に預けておいた。噛まれても致死性の危険はないし頭の花つかめばいいこと教えといたからなんとかなるだろう。
新しい装備は厚革の鎧1600Lを二人分。暦の分はサイズ調整して貰った。金額の変化はないらしい。
そして、俺はショートソードの派生剣らしいスラッシュソードを購入何気に高く3700Lもした。
ついでに暦の槍も軽くて丈夫な槍に変えておく。
鋼穂の木槍というのが3700Lもしたが目的に合っていたので購入した。暦は遠慮してたけど俺も金を出した。俺が2400L、暦が1300L出しての購入である。
この木槍は一度専用液で樹木を溶かして作りあげた、木でありながら物凄く丈夫な持ち手の槍で、軽さも鉄製の槍に比べても大差ないくらいである。
手榴弾は補充屋で30個購入しておいた。
これだけあれば何とかなるだろう。嵩張るけど。
ちなみに暦も10個購入していた。
これで俺たちの持ち金は二人合わせて400Lしかなくなった。
正直買いすぎた感はあるが、バッタ探索のためだ、文句言ってられない。
とにかくバッタはNPC。
情報なら黒服に聞いていけばすぐに分かると思ったが、どうにも要領を得ない。
どの黒服に聞いても知りませんの一点張りで、黒服に聞いても意味が無いと確信したのは、十人ほどに聞いた後だった。
何か関連性のある場所でも分かればいいのだが、バッタのいそうな場所なんて……あ。
俺は暦を連れてクエスト屋へ向かう。
俺の考えが正しければまだあるはずだ。
俺と暦が生きている以上、きっとそこで待っているはずだから……
クエスト屋に付くと、黒服の店員に俺は詰め寄るように聞いていた。
「オーク大量発生のクエストまだあるかっ」
「はい。スペシャルイベントですね。IDカードの確認をさせていただきます」
黒服に言われIDカードを差し出す。
カウンターにある機械にカードを通し、確認が済むと俺にカードを渡してきた。
「照合確認済みました。イベント発生条件をクリアしています。町周辺にオークが大量発生した理由と原因を究明し、できるならこれを処理してください」
「分かってるよ。で、どこに行けばいい?」
「そうですね。報告では町の北東部を中心に増えていると聞いていますが」
町の北東部。というとまたあのオーク集団と戦わなければいけないわけだ。二人だけでで向かうのはかなりきついと思う。
それでも俺は行かないわけに行くまい。
せめてもう一人くらいいてくれると嬉しいが……
「おや、また会いましたね」
さぁ行くぞとクエスト屋を出た俺たちに無駄にタイミングよく声がかけられる。
誰かと思って振り向くと、人ごみの中からやってきたのは、青いリュックを肩から提げたメガネの男。
軽そうなアルミのアーマーとショートソードを持って、俺の前へとやってきた。
記憶によれば、確か佐川亨だ。
「三つの杖は役に立ちましたか?」
「あ、あ~最初は結構重宝したかな」
それはよかったと亨は微笑む。
確かに、役に立った。むしろこれがあった御蔭で命拾いしたと言っても良いだろう。結構重宝した杖だ。
自力で買うと300Lも消費する事になっただろうが、買っておくにこしたことはない武具だと思う。
そういえば、新しい杖がここの武器屋に並んでたな。余裕が出来たら買って見るか。
「もしよければ僕とクエスト行きません? 長距離狙撃魔法というものが手に入るらしいんですよ」
ちょっと魅力的だなとは思ったが、俺は彼の申し出を断った。
長距離狙撃魔法。といっても現代科学の結晶だろうから、おそらく銃器やら兵器関連だろう。
まさか核兵器が出てきたりしないよな?
狙撃と付いているからスナイパーライフルとかかな?
「悪い、俺は今からクエストにでるんだ。オーク大量発生の調査。行くならその後な」
「そうなんですか?」
それは残念と落胆し、でも亨はメガネをクイッと上げて俺に顔を向けた。
「僕もご一緒していいかな? 一応クラスは冒険者なんだ。鍵開けとか役に立つと思う」
冒険者ということなら、おそらくピッキングツールを持っているはずだ。 というか……この町まで一人で来たのか?
それなら戦力的にも十分使える人材に見えるけど……
「そりゃ、別に構わないけど……いいのか? オークの団体さんに殴り込みだ、いつ死んでもおかしくないんだぞ?」
しかし、亨は薄く笑って大丈夫ですと答える。
何か薄ら寒い気分が押し寄せてきたが、今は戦力が欲しいので彼を引き込むことにした。
怪しい事この上ないので警戒だけはしておこう。
即席のパーティーで郊外に向かう。
目の前には未だに大量発生しているオークたち。
俺は暦と亨に振り向き視線を合わせると、二人ともこくりとうなづきを返してくれた。
久我山環架
装備:スラッシュソード、厚革の鎧、皮のベルト
所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ガスマスク、煙球
万能回復薬
魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 38
所持金:4630L + 3980L - 8600 = 10L
高杉暦
クラス:槍兵
装備:鋼穂の木槍、厚革の鎧
所持アイテム:火炎の杖、雷鳴の杖、万能回復薬
魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 11
所持金:3590L - 3200 = 390L
佐川亨
クラス;冒険者
装備;ショートソード、アルミアーマー
所持アイテム:青いリュック、火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ピッキングツール
ニューナンブ × 2
所持金;3000
松明 × 7
シウレスの森地図 × 1
皮の鎧 × 1
レザーベスト × 1
ショートソード × 1
鉄穂の槍 × 1
テイムモンスター?
アンコウモドキ≪仮名≫
ビッグバット 3500L
スリープマッシュ 200L
パックンアンコウ 10L
マウスボディ 80L




