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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三ステージ 裏切りのPK
33/44

NPCとイベント不履行ペナルティ

「よか……った……よかったよぉ和則ぃ……」


 和則の生存を確認した途端、早百合は力尽きたようにその場に崩れて泣き出した。

 近づいて喜びを噛み締めたかっただろうが、和則の満身創痍さに近づくに近づけなかったようで、咽び泣きながらもその場で喜ぶことにしたようだ。


 巨大蝙蝠を倒した俺たちは、再び和則を背負い帰ってきたのだ。

 道中結構な魔物との遭遇があったため、和則にも参加してもらったのだが、これがまた彼の症状を悪化させていた。

 ぐねた足で戦ってくれたので、手榴弾の爆風で主に足を庇って転倒。

 このため全身に擦り傷を作ってしまっていた。


 病室内のベットに黒服(白衣とかナース服着てるから白服の方が良いだろうか?)達が和則を運ぶのを見届け、部屋を後にしようとした俺に、和則が身を起こして声を掛けてきた。


「助けてくれた礼に、いいこと教えてやるぜ」


「なんだよ?」


「この町で聞いた噂なんだけどな、初めの街にNPCがいたらしい」


 NPCってノンプレイヤーキャラのことか?

 プレイヤーとは別にシステム側が用意したキャラクターというモノのはずだが……


「町に点在していて、見つけると自動的に仲間になってくるんだと。そいつらは初めからここにいたからフェリーに乗ってなくて誰も知らないんだ。でもなぜかすんなり仲間に加わっちまう」


 あ、なんだかバッタの仲間になったときみたいだ。

 あいつNPCだったりしてな。なんて……


「で、しばらくは頼りになる仲間だけど、ふとしたきっかけでそのパーティーを全滅させちまうそうだ」


「……え?」


「ジョーカーだよ。仲間にしたパーティーはそこで終わり。PK引き込んだ間抜け野郎どもだったってことだな」


 突然、冷や水を浴びせられた気分だった。

 なんだ……この嫌な予感?

 凄く、物凄く宿に残した皆が心配になってくる。


 裾を引っ張られる感覚に気付いてそちらに視線を向けると、暦も不安そうな顔で俺を見ていた。

 まるで、心配だから早く戻ろうとでもいうような顔だ。

 ベットに横たわった和則に一旦別れを告げ、俺たちは宿に向かうことにした。

 心なしいつもより歩調を速め、競歩のようになっていたが、俺も暦も気にも留めなかった。




 ようやく宿に戻ってこれた。

 留守にしたこと、ナスカたちは怒るだろうか?

 バッタのヤツは怒りそうだな……

 なんせ小さいとはいえ女の子と二人っきりでいたわけだし。

 彼女としてはむしろ怒ってくれた方が愛らしい。


「悪い皆、またせ……」


 言葉は続かなかった。

 目の前にはただただ誰もいない空虚な宿屋の一室があるだけだった。

 暦と二人顔を見合わせて首を捻り、部屋を二度ほど確かめる。


「お兄ちゃん、宿屋の人に……」


 分からなければ聞いてみる。

 宿屋の主人である黒服に会いに行く。

 カウンターで微動だにせず不気味に立っている黒服に聞いてみると、信じられない話をされた。


 病院に運ばれたらしい。それも昨日全員がいっぺんに。

 病院に連絡を取り部屋の番号を聞いた俺たちは、すぐに引返して病院へ向かった。

 信じたくなかったが、一番嫌な結末が頭から離れなかった。

 殺したのか? バッタ……まさかお前が?




「お兄ちゃ……っ!」


 病室を探し当て部屋に入った途端、兄を見つけた暦は即座に駆け寄り泣き出した。

 全員ベットの上だ。元より包帯巻きの雄一も、ナスカも啓介も。

 ただ……バッタの姿が見当たらない。

 ナスカは腹を一刺しされたらしく、今は死んだように眠っている。

 啓介も似たような状態だが、雄一は何故か起き上がって俺を出迎える。


「よぉ」


「雄一……何があった?」


 押し殺した声で聞く俺に、雄一は躊躇いながら、でも真実を口にする。


「バッタが、裏切った」


 まさかとは思っていたが、実際に聞いてしまうと衝撃はかなり大きなものだった。

 分かっていたはずなのに思わず嘘だろっ! と叫んでしまう。


「嘘じゃない。目の前でナスカの奴が刺されたんだ。バッタの横にいたちびっ子も一緒にな」


「お前は……刺されてないのか?」


「ああ。その……寝たふりしてたからな」


 と、申し訳無さそうに白状する。

 雄一はナスカを見て頭を抱えた。


「事件が起こったのはバッタがちびっ子と帰ってきたときだ。僕は会話とか面倒だから寝てたんだけど、起きてたナスカがバッタに会話持ちかけてさ。驚いたことにバッタがしゃべったんだ。しばらく三人で話をしてたよ」


 俺と暦がクエストに向かった後らしい。

 雄一の話では、雑談の中でバッタがクエストに出ようと言い出したのが始まりらしい。

オーク退治をしようと何故かしきりにナスカたちを誘うが、なぜオーク退治をさせたがるのか怪しんで、でも、しばらく話し合っていると急にバッタが立ったまま動かなくなったそうだ。

 話も途中切れで、まるで糸の切れた人形のようにパタリと行動を止めたらしい。


「バッタが洩らしていた言葉がさ、初クエストはオーク退治にしないといけないんだってさ。イベントがどうのって言ってたんだ」


 でも、次の瞬間、無防備のナスカにナイフを突きたて、驚く啓介までその手にかけた。

 一度は雄一をも狙おうとしたバッタだったが、何か会話のようなものが聞こえて気配が消えたそうだ。


 最後があいまいなのは周囲に誰もいなかったから独り言のようだったそうで、それでも雄一にはちゃんとした応答に聞こえたらしい。

 その後すぐに黒服たちが来て皆病院に搬送されたそうだ。


 皆殺しと聞いていたわりにはなんだか皆無事な気がする。

 さすがに重傷を負ってはいるが医者の話じゃ命の危険はなかった。

 さらに奇跡の粉を一瓶医者黒服に取り上げられ、ナスカたちに振舞われた。


 でも、そんなことよりバッタの行動だ。

 明らかに話に聞いたNPC。

 おそらくオークの大量発生もバッタ専用イベントだったのだろう。


 ……もしかして、あの告白も、イベントだったのだろうか?

 いや、そんなはず……

 信じたくない気持ちと、騙されたんじゃないかという不安感。

 もう一度会って話をしたいと思ったのは、確認をしたいからだろうか? 

 バッタと戦うことになるかもしれないのに俺は……


 久我山環架

装備:ショートソード、皮の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ガスマスク、煙球

       万能回復薬

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 8

所持金:4630L


 保科雄一

クラス:重戦士

状態:安静必要

装備:錆びた斧、壊れた鎧

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖

所持金:550L


 緋織ナスカ

クラス:侍

状態:絶対安静

装備:刀、鞘

所持アイテム:着替え、干し肉×2

所持金:8940L - 6000L(ナスカと啓介の治療費)

    = 2940L


 高杉啓介

クラス:騎士

状態:絶対安静

装備:ショートソード、ショートソード、レザーアーマー

所持アイテム:薬草×5、血清×2

所持金:1250L


 高杉暦

クラス:槍兵

装備:鉄穂の槍、レザーベスト

所持アイテム:火炎の杖、雷鳴の杖、万能回復薬

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 1

所持金:0L


松明 × 7

シウレスの森地図 × 1


テイムモンスター?

 アンコウモドキ≪仮名≫

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