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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二ステージ 幻想の現実
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オーク集団突破戦3

 荷車を守りながら進むというのは思った以上に大変だった。

 啓介が荷車を押したり、近づいてきたオークを屠ったりしてくれているのでまだマシだったが、オークが荷車に近づいてこないようにするだけでも大変で、俺はさらに合間を縫って前の道を塞ぐオークを手榴弾で殲滅させなきゃならない。


 はっきりいってこんなに気の滅入る作業を今までやったことがあっただろうか?

 命がけだという事実が気力の高揚に拍車をかけているため今のところは上手くいっているが……


「ああもうっ! やる気ないなら上に乗ってろバカッ!」


 爆弾で手前のオークたちを吹き飛ばした直後、荷車付近から聞こえた声に思わず目線が行った。

 叫んでいたのは啓介だ。

 荷車を押したり剣を振るったり忙しないが、その合間に横で震える妹のフォローまでしている。思った以上に役に立つなあいつ。


 顔面蒼白で涙すら流し、嗚咽交じりに言葉を吐こうと苦悩している暦の姿は哀れに見える。

 だけど啓介は容赦ない。

 いや、彼女がそうあるからこそ兄として妹を守ろうと必死になっているのかもしれない。


 暦は兄の罵声を何度も受け、ようやく渋々荷車に上がる。

 困ったような雄一が、動かすのも痛いだろう右手を彼女の頭に乗せて撫でてやると、暦は抱きつくようににして泣き崩れた。


 キャラじゃないのに……と呟きの漏れそうな顔の雄一は、暦の手から槍を外し自分で装備する。

 彼も彼なりに役に立とうとしているのだ。

 荷車は任せて大丈夫だろうと信頼して、目の前の敵に視線と意識を集中させる。


 オーク集団の途切れが見えた。

 後数メートルで包囲を抜ける。

 差した光明にテンションが上がってくるのを感じたが、努めて冷静を演じる。

 こういう行ける! と思った時の油断が一番危険なのだ。


「皆っ、もう少しで抜けるぞ! 街まで一気に駆け抜ける、行けるか?」


 思わず弾んだ声が出た。

 返事はなかったが嬉々とした表情が啓介から伺えたのがちょっと嬉しかった。

 隙間が見えた。

 オークたちの間に草原と石畳の境目を見つける。


「啓介、突っ込めっ」


 俺の言葉に啓介が荷車を一気に押す。啓介を狙ったオークを雄一が槍で一突き。

 引き戻し際に暦を狙ってきたオークの顔面に槍の柄を叩き込む。

 あいつ、槍使った方が役に立つんじゃないか?

 辛そうに呻くが、なんか元気そうな気がする。


 荷車の半分が石畳を越える。

 俺とナスカも石畳を越え、オークたちがひしめく草原に向かって斬りつける。

 荷車が全て草原から抜け、バッタが俺の横に並んだ。

 オークたちは何故か草原から石畳には入ってこず、境界線で留まっている。


「なんだ? 草原から入ってこない?」


「区切り、ね。ここから町の敷地なのよ。きっと」


 俺の疑問にナスカが答える。

 バッタの横に並び、無抵抗になったオーク数匹を刀で斬り倒し、声だけを俺に返した。


「たぶん、ここが町とフィールドの境目。あいつら町には入ってこれないようにプログラムされてるんじゃない?」


「プログラムって……機械かよ」


「私はそう思ってるよ? どっかの科学者が作り出したナノマシン生物。だってそれ以外考えられないじゃん。こいつらだって管理できなきゃ安全な町なんて作れないだろうし」


 言われてみれば、化け物たちを村や町に入れないようにする方法は、彼らを都合よく操作できるようにしておくことが一番いい。

 でも現実問題そんなことが可能だろうか?

 野犬やオークたちは紛れもなく生物として存在しているのだ。生身の肉だから食べることも出来るだろうし、彼らにも生活だってあるはずだ。


「その謎を解くのも醍醐味の一つっしょたぶん」


 そんな醍醐味はいらないから安全性を高めて欲しい。

 しかし、とりあえずは無事町に着いたってことか。

 あのオークだらけの中よく無傷で辿り着けたよな。


 いくら動きの遅い雑魚だってもあの数相手に……

 よくよく思い返せば、自分やナスカのフォローとして、かなりの数の矢が敵を倒していたことに気づく。

 もし、バッタがフォローしていなければ今の自分はいなかったかもしれない。


 あいつ、見かけと違って運動神経いいよな。

 ナスカもそれに気づいたらしく、バッタの方を見つめている。

 バッタはようやく肩の荷が下りたといった様子で、キグルミの中でふーと息を吐いていた。


 俺は後ろを振り返る。

 石畳の続く通路の先には町並みが見える。

 辿り着けた喜びを噛み締め、荷車の仲間達に喜びを分かち合おうと振り向いた俺は、雄一と目が合った。困った顔で苦笑いを返してくる。


 彼の横で暦がまだえづくように泣いている。

 涙こそ出てないものの、自分が邪魔者扱いされたことが相当心の傷になっているらしい。


 背後のオークたちは未だに境界線で留まっているが、フィールド上にはすでに向こう側が見えなくなるほどに沢山のオークで埋まっていた。

 初まりの街にはもう戻れそうもなかった。


「よし、それじゃ町に入るか」


 全ての問題を考えること後回しにすることにして、一先ず町に向かう。

 歩きつかれていい加減休みたかったのが最たる理由だ。

 久我山環架

装備:ショートソード、皮の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ガスマスク、煙球

魔法:爆裂魔法(手榴弾)

所持金:140L


 保科雄一

クラス:重戦士

状態:安静必要

装備:鉄穂の槍、壊れた鎧

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、錆びた斧

所持金:0L


 バッタ

クラス:マルチウエポン

装備:ナイフ×2、臭いロングソード、小型のボウガン、ショートソード、タンクトップ

所持アイテム:バッタのキグルミ、火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、煙玉

       組み立て式・鉄塊、ハリセン、着替え、干し肉×10

所持金:3510L


 緋織ナスカ

クラス:侍

装備:刀、鞘

所持アイテム:着替え、干し肉×2

所持金:840L


 高杉啓介

クラス:騎士

装備:ショートソード、ショートソード、レザーアーマー

所持アイテム:薬草×5、血清×2

所持金:0L


 高杉暦

クラス:槍兵

装備:レザーベスト

所持アイテム:火炎の杖、雷鳴の杖

所持金:0L


 四輪荷車   1000L


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