表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二ステージ 幻想の現実
24/44

オーク集団突破戦2

 剣や槍を構え、震えながら対峙する啓介と暦。

 フォローに入ったバッタも右手にボウガンを取り付け、左には数本の矢を番え、近づいてくるオークの頭へと連射していく。

 その速度と命中率は称賛もので、おそらく俺達の中で一番のポイントゲッターだ。


 一日前、野犬一匹倒しただけで震えていた少女とは思えない行動力だった。

 まるでアレが本当に演技だったとすら思える働きである。

 いや、さすがにそれはないよな。アレが演技なはずはない。

 でも、今のバッタの動きは普通の学生とは思えない。

 まるで、何年も特殊な訓練を行ったような動きだ。


 負けてはいられないと俺もショートソード片手にオークの群れに突っ込む。といっても闇雲に突撃したのでは多勢に無勢、囲まれて袋叩きだ。

 そうならないように手近な敵に剣を突き刺し、即座に離れるヒットアンドアウェイ戦法を使う。


 にしても、突き入れたときのこの感触だけは何とかならないものだろうか? 正直鬱になりそうだ。

 肉に異物を突き刺す感覚は何度行っても慣れない。


 そもそもがカイザーマウスとこのオーク以外は殆どバッタが退治した様なものだし、俺が行ったことといえばバッタの攻撃で死に掛けた野犬にトドメをさしたりスライムを焼いたぐらいだ。


 こうして考えると、俺のチームはバッタがいなければ機能していなかったといってもいいだろう。

 あの時、防具屋でバッタと出会えてなかったら……多分、野犬の餌食になっていた。もしくは、上手く戦った後でも、カイザーマウスの餌になっていただろう。


 バッタに感謝しよう。

 俺達が次の町へ迎えているのか彼女のおかげで、俺に彼女が出来たのも、バッタが居たからに他ならない。

 彼女と出会えて、本当に良かった。


「うああああっ!」


 啓介が雄たけびを上げながらオークの一人に剣を突き刺す。

 体ごと飛び込むような形で一体を倒すことは出来たが、勢い余ってオークを押し倒し、無防備な背中が他のオークたちに曝される。


 暦がフォローに入ろうとするが、震えた力の入っていない槍はオークに届く前に払い落とされ、恐怖のあまりへなへなと崩れて尻餅をついてしまう。

 オークを刺した感触に体を震わせる啓介が顔を上げると、目の前には斧を振り下ろそうとしているオーク。


 俺は思わず間に合わないのを承知でそちらに駆け出しそうになった。

 が、そのオークの眉間と暦に襲い掛かろうとしていたオークの後頭部に矢が突き立つ。

 俺の視界に入ってきたバッタがこちらに振り向き片手の親指を立てる。

 まかせとけってことらしい。


 アイツのボウガンかなり役立つよな。

 戦闘よしフォローよし。俺も小型のボウガン買おうかな。

 いや、アレの矢って確か1つ1Lだった気がする。

 それなら俺はこの魔法弾の方が使えると思う。


 ブヒーブヒーと断末魔の悲鳴が上がる。

 一撃離脱の俺に比べ、ナスカの方からは盛大な飛沫の華が咲いていた。

 狂ったようなナスカの楽しそうな笑い声とオークたちの悲鳴。

 辺りには死惨血河の山が広がり、一本の日本刀だけが血濡れた光を迸らせていた。


 確かに、友人があんな状態になったら俺でも引くだろう。

 彼女のクラスメイトたちにちょっぴり同情しながら、ナスカの射程範囲に近づかないように一匹づつ確実に止めを刺していく。


 初めは驚きはしたものの、運動能力の低い敵でよかった。

 攻撃のモーションに入った頃には俺は遠くに避けられているし、斧を振り下ろされる前に相手を絶命させられる。


 気をつけて戦いさえすればなんとか勝てる相手だ。

 カイザーマウスを相手にするより幾分楽だともいえる。

 団体であることが問題で、一斉に攻撃されるならまだしも、

 それにしても……何匹いやがるんだ? マジな民族大移動でもあるまいし。


 すでにちまちまと十五体は倒した。

 ナスカやバッタが頑張ってくれているので100体くらいは倒したのではないだろうか? それでも一向に数が減る様子がない。


 嫌な気分だ。

 まるでオークの巣でも近くにあって際限なく出てきてるんじゃないだろうかと思うほどに嫌な感じ。


「啓介、暦! 荷車を引いて街を目指せ!」


 即座に指示を飛ばし、懐からパイナップル弾を取り出す。

 片手にショートソードがあるので歯でなんとかピンを外し、前方に向かって放り投げた。


 映画でかっこよくピンを引き抜いていたのを思い出してやったことだが、物凄く歯が痛かった。

 もう少し硬かったら歯の方が折れてても不思議ではない。

 たぶん、もう二度とやらないと思う。


 数秒後、爆風とともに数十体のオークが空を舞った。

 驚くオークたちが爆音に気を取られた隙にバッタに促された啓介と暦が荷車を引いて特攻する。

 バッタが後方、俺が前方の敵を切り裂き道を作り、そこを車が駆け抜ける。


 ナスカは……まぁ、あれだ。触らぬ神に祟りなしというヤツだ。

 一応できるだけ近寄って声を張り上げ撤退を呼びかけておく。

 意味は伝わったかどうかわからないが、荷車の進みに合わせてこちらに寄って来てくれているので伝わっているはずだ。


 しかし、むちゃくちゃやってる割にダメージ負ってたりしてないんだなナスカのヤツ。

 アイツもアイツで結構こういうことに慣れてるんだろうか?

 頼りになることは頼りになるのだが、あの表情は怖いよな。


 仲間だとしても近づいたら切り殺しそうだし。

 侍より狂戦士が似合ってそうだ。

 うわ、口元に付いた血を舐め取ってる。怖ぇ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ