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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二ステージ 幻想の現実
18/44

バッタ危機一髪

「……ん……?」


 自然と目が開いた。

 起こされていないのでまだ食事はきていないのかとあたりを見回すが、バッタの姿がない。

 おかしいなと起き上がろうとして、真横に気配を感じて視線を向ける。


「うおっ!?」


 バッタが見当たらなかったのは俺が起きた拍子に視界の死角に入ったというだけだったらしい。

 当のバッタは俺の横ですうすうと寝息を立てていた。何時の間に運ばれたのか俺たちはベットの上にいて、布団を被っている。


 残念ながら頼んだ食事は着ていないようだ。

 それにしても、自分が起こすとかいいながら自分も寝ちまったのかよこいつ。

 なんつー無防備で幸せそうな面して寝てるんだ。ったく。


 バッタの寝顔を見ていると、なんとなくこういうのもアリかな。と思えてくる。

 約束破りでムッと来るかと思ったのだが、俺の胸のうちには渦巻くような怒りは全く沸いてこなかった。

 むしろバッタの寝顔を見ているだけで幸せな気分になってくる。


「彼女……なんだよな」


 換金所での出来事を思い出し、顔が熱くなる。

 気持ち良さそうに寝ているバッタは規制正しく呼吸をし、時々「うぅん」と艶かしい声を出す。

 俺はついつい艶やかな唇に目線が行ってしまっていた。


 現実感など喪失してしまったような場所とシチュエーション。

 無防備に横で眠る女の匂い……

 男としての性が蠢く。


 付き合うわけだし、その、キスとかくらいなら許してくれるかな?

 ここはそういう場所だしそうなったとしても必然というか……いや、でもそんなことして嫌われたら……


 いやいや、換金所ではキス直前まで行ったわけだし、あの時は人がいたから止めただけで……

 ゴクリと唾を飲み込む。そっと片手を彼女の髪に。

 さらさらとした感触に気持ちが高鳴る。

 今までの自分からすれば想像も出来ないほど行動的な自分に驚きながら、緊張で震える手でバッタを起こさないように必死に自分を諌める。


「ん……」


 バッタが寝返りを打つ。思わず触れそうになった手を引っ込めると、バッタは俺に抱きつくような体勢になる。

 抱き枕に抱きつくような体勢。

 太ももに巻きつく感触に視線を向けると、布団が盛り上がり、中で俺の太ももに何かが重なっているようだ。


「ふおっ!?」


 バ、バッタさん!? ヤバイとこに手が……

 ヤバい、無理だ。もう……我慢できない。

 十数年間彼女いない歴で占められていても、若者の性のリビドーには抗いがたい何かがあった。

 ただでさえ今までに無い状況で緊張しているのだ。

 これ以上誘惑されれば抑えきれる自信は無い。


「ご、ごめんバッタッ」


 高ぶる想いに突き動かされるようにバッタに顔を近づけた瞬間、狙いすましたようにチャイムが鳴った。

 嫌に響き渡るその音に思わず停止する。

 つい舌打ちしてしまったが、バッタを襲うという感情はなくなったわけではなかったが、理性で押さえつけられるほどには小さくなった。


 逆に自分に対する嫌悪感が沸き起こる。

 自分はこんなに獰猛な奴だったっけ? 嫌な奴だったっけ?

 できるだけバッタを起こさないようにベットを抜け出し、疲れた足取りで玄関口に向かう。

 覗き窓を見てみると、黒いサングラスの男が一人。横にワゴンのようなものがある。


 怪しいことこの上ない格好の奴ではあるが、管理者の一員と見て間違いないだろう。つまり安心して開けてもいいわけだ。

 鍵を外してドアを開く。


「ご注文のカルボナーラとシーフードスパゲティ、お届けにあがりました」


「ずいぶん遅かったな」


「お届けにあがる前にお客様が眠ってしまわれましたので、起きるまでお待ちしておりました」


「は? じゃあ冷めてるんじゃ……」


「いえ、カメラで確認しておりましたので、起きられてすぐに暖めました」


 ……監視、されてたのか……

 危なかった。いや、むしろこのタイミングでこいつが来たのはよかったというべきか。

 一気に性欲が消えたのが理解できた。


「料金は?」


「部屋を出る時カウンターに。宿泊料込みでお支払いいただきます」


 黒服から食料を受け取りテーブルに持っていく。

鍵をかけに戻った時には、すでに黒服は廊下からいなくなっていた。

 ソファに座り息を吐く。


 ムダに熱を帯びた体を冷ますように虚空を見上げ、今の自分の状況を思い返す。

 この島にきてありえないことだらけだった。

 沢山の死を見た。魔物であるが、自ら殺しもした。

 少なくとも仲間もできたし、彼女も出来た。

 いいことも悪いことも沢山で、たった一日なのに充実した一日だった気がする。


 一ヶ月。その先に何があるか分からないけれど、こんな生活もありかな。なんて思っている自分に驚いた。

 多分、バッタがいなかったらこんな思いはしなかったと思う。

 いつもどおりに一人きりで、たった独りむなしく死んでいる。

 それか震えて街で縮こまっていただろう。


 バッタと、一応雄一もいたから頑張ろうとして、ネズミみたいな化け物を倒した。自分達の力だけでだ。

 今思い出しても胸が震える。倒したと思った瞬間は大して「やった」とは思わなかった。


 いや、思える状況じゃなかったけど。

 思い出すたびに強敵を倒した喜びが体から溢れ出そうになる。

 何しろ、自分の数倍ある巨大な生物を自分たちの力だけで打ち倒したのだ。気分が昂揚しないわけがない。

 それは自信の現われか、はたまた狂気の始まりか……


「……ん? あ……」


「あ、起きたかバッタ」


 身を起こしたバッタに俺は手招きをする。


「ついさっき食事きたぞ」


「あ……ぇ……?」


 少しぼぉっとした声を発っしながら起き上がり、四つんばいでこちらに移動してくる。

 寝ぼけた顔に胸元が見える体勢でこちらにやってくるので思わず赤面したのは言うまでも無い。


 慌てて視線を斜め上に上げ、不自然な体勢を維持する。

 ベットから降りたバッタはテーブルの脇を越えて俺の元へ。

 真横に座り込みしなだれかかるように体を預けてくる。


「お、おおおおおいっ!?」


 そのまま目を閉じてすぅすぅと寝息を立て始めた。

 誘ってんじゃないだろうな? 次やったら襲っちまうぞ本気で。

 カルボナーラをプラスチックフォークでいただきながら、出来るだけバッタの体を意識しないように努める俺だった。

 久我山環架

装備:ショートソード、皮の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖

魔法:爆裂魔法(手榴弾)

所持金:420L -250L -10L = 160


 保科雄一

クラス:重戦士

状態:重傷? 入院中

装備:錆びた斧、壊れた鎧

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖

所持金:400L


 バッタ

クラス:マルチウエポン

装備:ナイフ×2、臭いロングソード、小型のボウガン、ショートソード、タンクトップ

所持アイテム:バッタのキグルミ、火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖

       組み立て式・鉄塊、ハリセン、着替え

所持金:5110L -300L = 4810L


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