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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第一ステージ 初めての冒険
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仲間不加入

「機械化屋とかジョークだと思ってたんだけど、すでに受けた人もいるみたい」


 まずは情報交換ということで、ナスカはこの町にある隠れ特殊店を教えてくれた。

 とはいえ機械化屋、ペット屋、ゲームセンターなど役に立つのか立たないのかよく分からない情報だ。

 在ってほしくないところでは、奴隷屋とか、暗殺屋とかもあるらしい。


 彼女はクラスメイトと共に四人でこのゲームに参加したらしい。

 始めは仲良し四人組だったのだが、冒険に出てそれは一変した。

 一人が買った雷鳴の杖は全く役に立たず、剣士は腕力の無さで戦力外。


 唯一マシな弓兵は怯えてしまい、ナスカ一人が野犬相手に切り結び、勝利と同時に連帯感を失った。

 血に塗れ、笑みを浮かべて三人を気遣ったナスカに、三人は拒絶を向けた。


 結果、三人は町に篭ることを決意し、あぶれたナスカは新しいパーティーになってくれる者を探していた。ということらしい。

 つまり、誰か仲間が死んだというわけではないらしい。


「ナスカ……っていうのは本名じゃないよね」


「あたりまえでしょ。緋織なんて苗字あるかどうかも知んないし。これ、ゲームなんだしさ、本名名乗るより偽名のほーが気分的にもキャラ作りにも良いと思わない?」


 頼んだナポリタンスパゲッティにフォークを突きたて、ナスカは何でもないように呟いた。

 何か……常人とは考え方が違う気がする。


 まるでここが現実世界ではなくゲームの世界だとでもいうような、彼女の話し方はそういった話し方だった。

 ただ、ちょっとだけ、納得できる部分もあったりする。


 ロールプレイしてしまえば、ゲーム感覚で居れば、きっとこの島でも精神が壊れてしまう事はないだろう。

 果たしてその状況が狂人でないと証明できないという問題はあるだろうが。


「ね、私はモンスター切り殺しただけなんだよ? それなのに快楽殺人者とか失礼だと思わない? これってゲームなのに、おかしーのはどっちだ~ってさ。ゲームだって割り切っちゃえば楽なのに……」


 確かに、ゲームと割り切れれば楽だろう。

 ただ運動しなきゃいけない体感型のゲーム。

 そう思えるなら、たとえどんなに敵を切り殺そうと罪悪感も何も無い。


 ただ、敵を倒しただけ、経験値として体は戦い方に少しづつ慣れていく。

 俺だって多少ゲーム感覚でいるからまだまともに思考できる。

 これがまともだと言えればなのだが。


 だけど、この思考は危険なものだ。

 一歩間違えればナスカの友人の言っていた通り、快楽殺人者への片道切符だ。

 なにせ何をしてもゲームとして片づけられるんだ。

 そのうち人相手に手を染めることになるかもしれない。

 そこまで行ってしまえば、もう後戻りはできないだろう。


「で、どうかな。もしそっちさえ良ければ私も一緒についてっていい?」


 キタ、と思った。

 まず、俺は答えず雄一を見る。


「話を聞いて分かった。こいつの思考は僕とは根本的に違う」


 自分を重戦士と思い込んでいるヤツとどこが違うのだろう?

 俺から見れば同じに見える。同族嫌悪か?


「もしこいつを仲間に引き入れるなら僕は抜けるよ環架」


 ……しかし、こいつはなんでこんな毛嫌いしてるんだろう?

 やっぱあれか? 二次元世界の女の子にしか興味が持てず、現実世界の女なんてクソだとか思ってるからか?


 俺は次にバッタを見る。

 バッタは前足と中足を四つとも組んで考えているようだ。器用なことをする奴である。


 野犬の血に塗れたままなのが少々不気味ではあるが、ナスカはその辺りは気にしてないらしい。バッタの真横で平然と食事を進めている。

 俺としては迎え入れてもいいんじゃないかと思う。


 女性成分は大いに越したこと無いし。別に雄一要らないし。ってのはさすがに酷いか。

 でも、パーティー組むなら可愛い女の子とガリガリの男とどっちと一緒がいいかと言われれば、殆どの男が女の子と答えるんじゃなかろうか?


「う~ん、ダメか~」


 俺が答えに迷っていると、ナスカの方から折れた。

 残念そうに肩を落とす。

 少し影のある笑みを浮かべてまぁ予想は出来てたよとこっちに断わる罪悪感を与えないように手をひらひらと振って見せる。


「俺的には構わないとは思うけど、チームの結束力って大事だしな」


「ま、それもそうか。うん。私しばらくこの町いるからさ、気が変わったら声かけてね」


「悪いな」


「ううん。君が必要としてくれたってだけで嬉しいよ。また、縁があったら会おうね環架……だっけ? ありがとね」


「ああ、じゃあな」


 パスタを食うまで居ると言うナスカを残し、俺たちは外に出る。

 雄一が済まなそうにしていたが、俺は無視してバッタに向いた。


「どっか寄りたいところあるか? 無ければゲーム説明屋に直行するけど?」


 バッタはコクリと頷く。直行していいらしい。


「雄一は?」


「え? ああ……ないよ」


 やや遅れての反応、別に落ち込むのはいいんだが、反対しておいて自分の望み通りになったことで落ち込むのは止めてほしい。

 俺にどうしてほしかったかすらわからなくなる。

 全く、現実はゲームの様にはいかないな。

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