↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電界駆動ブレード- compression  作者: 不治痛
序章 Digital Surrender - 降る世界と委ねる者たち
PR
33/38

幕間 ヴァーチュア・ニュース・サテライト

アナウンサー男 「次のニュースです。 昨日、マグゼッター・ホルンで開催された量子科学会議でPROMETHEX(プロメテックス)のCEO、ヴァイロン・アークライト氏がデジタル生命体についての持論を展開したことが話題になっています」


【映像】


ヴァイロン・アークライト 「かのグレート・オズは言ったよね。 いつかデータの海で生まれ、進化する存在。 まるで生命のように増殖し、自己最適化し ……あれ? これって、どこかで聞いたことありません? そう! 知的生命体、人間だ!」


【映像】


アナウンサー女 「これはアークライト氏による、未来予測の技術理論をテーマにした講演中の一幕です。 氏は突然スピーチを中断し、インター・ヴァーチュアの父、ビリー・オズニアックの言葉を引用し、デジタル生命体についての持論を展開しました」


アナウンサー男 「この行動に現場は一時騒然となりました。 アークライト氏の行動には内外から様々な意見が出ています」


【映像】


科学者A 「ただのパフォーマンスですよ。 実績や才能は認めるが、よもやDQLの話とは…… しかもまるですでに存在しているかのように…… 話にならんよ」


科学者B 「彼の勇気を讃えます。 離散量生命体に関しては長らく理論としては存在してますが、学会ではタブーでした。 実際にはまるでUMA扱いです。 このような場で、ミスター・アークライトほどの知名度の高い人物が語るということは大きな意味があります。 ええ、まあ、デジタルネイティブスはちょっとやりすぎかなと……」


ナレーター 「離散量生命体―― Discretized Quantum Lifeforms、DQLとは、ビリー・オズニアックが提唱した意識の四層構造理論に由来する概念です。 デジタル空間の中で四層すべてを備えた存在、すなわち魂を持つ存在が自然発生しうるのか――。 その議論の中で、オズニアック自身が『世界が観測される時間の中においては、発生する、あるいはすでに存在する』とした生命体の総称です」


 ・才能(タレント)

 ・個性(キャラクター)

 ・記憶(パーソナル)

 ・魂(ソウル)


 四層図が表示。

 オズニアックの肖像。

 人型のワイヤーフレームの映像に、いわゆるマトリックス・コードの演出が明滅するイメージ。


ヴァイロン・アークライト 「ねぇねぇ、皆さん、ちょっと考えてみてよ? この離散量生命体っていう呼び方、ちょっとカタすぎない? ね? ね? もっとこう、キャッチーな名前がいいでしょ? というわけで、僕が命名しちゃいました。デ(・)ジ(・)タ(・)ル(・)ネ(・)イ(・)テ(・)ィ(・)ブ(・)ス(・)! どーん!」


【映像】


アナウンサー男 「このデジタルネイティブスという名称は現在、各ソーシャルメディアのトレンドのトップを独占しています。 自分はデジタルネイティブスだというジョークやデジタルネイティブス構文なる投稿による影響のようです」


アナウンサー女 「さすが、最もバズるCEOと呼ばれるだけのことはありますね」


【映像】


ヴァイロン・アークライト 「これは理(・)論(・)の話だ、ただの可(・)能(・)性(・)の話ね。 でもね―― 可能性ってさ、現実と紙一重だ。 もしかしたら、君の端末の中に、もしかしたら、君の好きなAIアシスタントの裏側に、もしかしたら、君の隣に―― ほら、もう彼(・)ら(・)がいるかもしれないねぇ? さあ、どう思う?」


【映像】


アナウンサー女 「ただ、インター・ヴァーチュアを事実上統制しているV5の一角である人物の発言として、これはアークライト氏のリークなのではという憶測も出ています」


アナウンサー男 「他のV5のトップにもコメントを求めましたが、一貫してノーコメントの状況です」


アナウンサー女 「この後、アークライト氏に、この発言の真意についてインタビューを試みました」


【映像】


ヴァイロン・アークライト 「うーん? そうねぇ、ロマンがあるじゃない。 大昔に……なんだっけ? ああ、ネッシーとかさ、雪男ってやつ? このインター・ヴァーチュアにもそういうのがいたら面白いじゃない。 いやぁ、正直にいうとさ、僕もリスペクトするグレート・オズにあやかって一発、デジタル生命体の可能性ってやつに噛んでみたかった―― みたいな? アハハハッ」


【映像】


アナウンサー男 「……ようするに、アークライト氏は面白そうだったから話してみたということなんですかね?」


アナウンサー女 「煙に巻いたという意見もありますが―― そうですね、結局はいつものアークライト氏ということなんでしょう。 では次のニュースです――」


――


『アークライト氏 デジタル生命体の持論展開』ヴァーチュア・ニュース・サテライト より

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。