実家の食卓にて
「どうよ。これは厳しんじゃないか?」
「ふふ。おにぃ、あの存在を忘れてない?」
「なに? 京まさか持ってるのか?」
「残念だったね。おにぃ」
そう言って京は空いている所にジョーカーを置いた。
「ほら、おにぃ早くスペードの6を置きなよ」
「……」
ただ、俺が止めているのはそこではない。親父が無言でそこにカードを置いた。
「え」
「見当が外れたらしいな。京」
俺はハートのエースを置く。
「……パスだ」
「父さんそれでパス3回目だよ」
「分かっている」
「でもまだ負けてないし」
京はスペードの5を置いた。俺は次いでクラブの3を置いた。父さんはクラブの2を置いた。
「……パス」
「それ最後のパスじゃない?」
「うるさい。早く置きなよ」
俺はクラブのエースを置いた。父さんは無言で自分の手札を全部並べた。
「ほら京の番だぞ」
「もー、終わり!」
そう言って七海は手札を机に投げた。
「おにぃ本当にゲームだと性格悪い」
「誉め言葉だと受け取っておくよ」
「あんたたち、そろそろご飯できるから片付けてー」
「はーい」
俺たちはトランプを片付け始める。
「おにぃ、覚えといてね。あとでおねぇ巻き込んで一緒にやるから。さすがにおにぃもおねぇには勝てないでしょ」
「いや、負けないよ」
完全に片付けたと同時に料理が運ばれてくる。唐揚げにポテト、サラダが次々と机の上に並ぶ。最後に京の大好物である餃子が運ばれてきた。京はいつもより体が前傾姿勢になっている。料理を見る目も心なしか輝いているように見える。
「じゃあ食べましょうか」
「はい!」
みんなで手を合わせた後、食べ始める。京はすぐに餃子に手を伸ばしていた。
「でももう京も高校生か……」
感慨深そうに父さんは呟いた。
「そうだよ」
「お父さんなんだかんだずっと心配してたんだから」
「……母さん」
「はーい」
父さんは誤魔化すように咳ばらいをしてから、もう一度口を開いた。
「そういえば今日はどうするんだ?」
「なにが?」
「今日は泊まるのか?」
「あー、いや、七海もいるし俺は帰るよ」
「いいから泊まりなさいよ。来客用の布団もあるし。七海ちゃんもいいでしょ?」
「え、えっと……」
七海は俺の方をちらと見る。
「七海ちゃん、私もっと七海ちゃんと仲良くなりたいなー」
「分かりました! 泊まらせていただきます!」
「……母さん」
「なによ。いいじゃない。減るもんじゃあるまいし」
「それはそうだけどさ」
結局俺は母さんには抵抗できず、七海が実家泊まることが決まってしまった




