文化祭の準備にて
文化祭が近づいてきて、それぞれのクラスで出し物の準備が進んできた頃、俺は別教室で翔太と他の何人かの男子と一緒にいた。ただ来てと言われて来たのでまだ何をするかもされるかも分からない。そしたら翔太が、
「じゃあ今から順番に渡すから並んでくれ」
「ん? 何を渡すんだ?」
「衣装だぞ」
「一応聞くけど、なんの?」
「文化祭の」
「聞いてないぞ」
「言ってないからな。片瀬さんに接客するなら明人も一緒が良いって言われてるし、片瀬さんは接客に行った方がお店的にも良いかなと思ったから。それに前々から言うと拒否されそうだし」
もう、それぞれに合った衣装を用意されていて、逃げ場は残されていなそうだ。
「はぁ、分かったよ」
「そう言ってくれると思ったぜ! 大丈夫、シフトは同じにするし。さぁ、明人は最初に衣装を合わせてもらうぜ」
「おう」
そう、今の通り文化祭実行委員は俺だが、実際に今クラス自体を引っ張っているのは翔太である。
衣装合わせの試着も済んで元の教室に戻ろうとすると、
ガラッ
隣の教室から腕が伸びて来てその教室に引き込まれる。
そこで腕を引っ張ってきた犯人は、和装喫茶の恰好をした七海だった。七海は掴んだ腕を離して、一周くるっとその場で回ると、
「どう? 最初に明人に見せたかったんだ!」
俺はびっくりして周りを見渡すとちょうど七海たち女子の方も衣装合わせをしていたらしく、ホール担当と思わしき人達がみんな衣装を着ていた。男子の衣装は落ち着いた色の着物であるのに対し女子の衣装は青系で統一された茶衣着のような衣装であった。そして、男子とは違ってみんな着替えずにそのまま着っぱなしであった。そうやって周りを見ていると、グイッと俺の両頬が掴まれて、
「むぅ……。他の子見ないでこっちだけを見てよ……」
「ご、ごめん。男子とは違ってみんな着てもすぐ着替えずにいるんだって思って」
「それで?」
「え?」
「私の衣装を見た感想は?」
「めっちゃ可愛いと思う。すごい似合ってるよ」
「うん! ありがと! 明人は着替えちゃったの?」
「まさかこうなると思ってなかったからね」
「期待してたのに……」
少し落ち込んだ様子の七海に慰めるように頭を撫でる。
「ごめんな、まぁ本番の時のお楽しみと言うことで。本番の時は最初に見せるからそれで許してくれないか?」
「うん。それなら許す! けど、もうちょっと撫でて!」
「はいはい」
俺たちはそのまま女子達の視線も忘れて、イチャつくのだった。




